都知事選についてあれこれ思う2014年01月21日 11時14分14秒

★原発の是非だけが選挙の争点ではない      ランキング: 162位

 さて、猪瀬前知事の身の不始末、辞職によりまた都知事選が近づいている。都民でない方にはカンケイナイことではあるが、ある意味、国の顔である都の知事を選ぶ選挙でありその争点も含めて国政にも大きく関係してくることなので思うところを書く。都民でなくても関心を持たれた方も多いと信じて。
 それにしても慎太郎の都知事職中途での投げ出しに始まりこのところ毎年のように都知事選挙が続いている。まったく都民をバカにした情けない異常な事態である。都知事というのは「公職」なのだから病気などで仕事ができなくなった時以外は「一身上の都合」で簡単に辞めてはならないのではないのか。選挙にかかる費用もまた都民の税金なのだ。さておき、次の都知事を決める選挙である。

 先に、小泉元首相は本当に「回心」したのかと疑義を書いた。あれから彼のあちこちでの発言を読みしだいに見えてきた。彼は回心など全くしていないし、彼の考えの変化は一言でいえば「転向」もしくは「変心」「変節」の類でその根本は何一つ変わっていない。そのことについてはまた細かく分析のうえ書き足したいと考えるが、もし本当に回心したのならば、今回の都知事選でも間違いなく宇都宮氏を支持していたはずだとだけ記しておく。

 さて、毎度のドクター中松氏を含めて今回の都知事選は様々な顔ぶれが並びまだ告示前なのに早くもマスコミはあれこれ先行報道に熱を上げている。また、その小泉元首相が担いだとされる細川元首相の「脱原発を争点に」との発言も大きな話題となっている。一部では、早くも小泉・細川タッグ対舛添・安倍政権との遺恨試合だと煽る向きもある。それこそバカバカしい都民を愚弄する見方でしかない。

 また、細川氏が脱原発を掲げて立候補に名乗りでたとたんに、脱原発候補が二人もいると票が割れて敵方・自民党の推す候補を利するだけだからと「一本化」に向けて調整を呼びかける人たちが出てきたことも理解に苦しむ。だって、まだ宇都宮氏はともかく、細川氏は脱原発以外にほとんど何も他の公約を示していないのである。まだその公約もでないうちから原発問題一点だけで候補者を一人に絞れと言い出す人たちはそれもまた都民をバカにしている。

 まして今朝の新聞では、脱原発のルポライター鎌田慧氏らの「脱原発都知事を実現する会」なる団体が、元首相・細川氏を支援することを決めて記者会見したという記事が出ていた。
 記事によると会では、脱原発を掲げる細川氏と宇都宮健児氏に、候補を一本化するよう申し入れしたが両氏が応じなかったので、同会では、首相経験者で知名度があり、さらに小泉元首相の支援があることなどから、細川氏が宇都宮氏より選挙戦に有利と判断、今後は会のメンバーが個別に支援していくことにした、とある。思わず目を疑った。鎌田氏らのこの選択は明らかに誤りである。あれほど脱原発で鋭い発言をしてきた人が細川氏を支持するとは呆れ果てたとさえ記しておく。

 むろん、脱原発候補が都知事選で当選することはとても意義あり大事なことだと強く同感する。しかし、繰り返すが都政の課題・問題は原発だけではないし、その一点のみ見ても果たして細川氏が都知事にふさわしい人物かと考えれば自分はとても賛同できない。何故なら、彼は過去に、佐川急便からの一億円の裏献金事件で、真相が解明されないまま首相の座を投げ出したという「経歴」の持ち主なのである。猪瀬前都知事とどう違うのか説明してほしい。猪瀬氏は5千万の裏金、細川元首相は1億円と額も上なのである。そんな人物を「選挙戦に有利」という判断だけで支援し都知事に担ぐというのはまさに愚かな選択でありもし仮に彼が当選したとしてもまたそこに新たな火種が起きるのではないのか。
 徳洲会からの裏金で辞した都知事の席に、佐川急便からの裏金で首相の座を辞した者が就くのはまったく道理がない。これこそマンガである。

 こうした「政局」優先の判断に腐心する前に、選挙では正々堂々と各候補が原発問題も含めて政策論争を公開討論会も含めて活発にやっていけば良いだけのことではないか。そのうえで、都民はもっとも信頼できる、自らの考えと近しいと思える候補に一票を投じて都知事が決まる。そしてそこで、仮に舛添氏が当選したとしても宇都宮・細川の脱原発を掲げた両候補の合わせた票が舛添氏を上まったとすれば、それもまた一つの民意として都民は「脱原発」を求めていると示せるかと思う。
 いずれにせよ、当選の如何に関わらず「脱原発」を公約に掲げる候補が一人でも多いことは良いことではないのか。それを無理に一本化を求め挙句に無理ならば当選できそうだからという理由で怪しい人物を担ぐのは浅はかであり危険かつ誤った判断だと自分は断ずる。そんな道理のない選択では都民の支持は広がらない。

 小泉氏はよほど暇なのか、個人的に安倍首相に何か思うところがあるのだろう。思うに漫画「巨人の星」で、人気者となって独り立ちした星飛馬の前に、親父一徹が、オズマなる選手を育てて新たな障害、敵として立ちふさがった図式を思い出す。要するに、彼は安倍政権の順風満帆ぶりが面白くないだけなのである。そしてまた懲りずに、自らにスポットが当たる、大衆演劇「小泉劇場」を再演しようとしているだけだ。しかし国民はバカではない。もうそうした毎度の彼の手法、全てを単純化し二者択一を迫るマンネリ芸にどこまで歓声を上げ拍手を送るか定かではない。
 問題はバカなマスコミが、これをプロレス的遺恨試合として捉えて、果たして勝つのは、安倍陣営か小泉陣営かと茶化すことだ。これでは「争点」の脱原発さえもその他の都政の抱える問題もまた霞んでしまう。

 いずれにせよ、安倍政権の悪政と原発再稼働が今後も続くことないよう名護の選挙に続いて都知事選挙においても今度こそ都民が良識ある判断を示すと信じたい。

 マス坊は誰に入れるかだって? もろちん今回も宇都宮健児氏である。長年人権派弁護士として弱者救済にその半生を費やしてきた人だ。反原発集会で握手した彼の手は柔らかくて暖かくその熱い思いがしかと伝わってきた。本当に都政を、民意からかけ離れた政治を変えられるのは彼しかいない。