今の日本人の知のレベル、人としての品位の低下を憂う2014年02月07日 10時53分28秒

★自分には他者をあれこれ言う資格はないのを承知で書く    ランキング: 135位

 筆者、マス坊もバカで愚かであるのだから他者の愚かな選択や誤った行動、おかしな発言を嗤ったり論うことはすべきではないと心している。しかし、今の日本の文化人、知識人、言論人、そして政治家のレベルはあまりに低すぎると思える。レベルが低いのは「知」に関することだけでなく、人としてのレベル、つまり人間性がちょっと異常なぐらい低くなっていると思う。
 昔の日本人ならば公人として、人前で絶対に口にできないようなことを臆面なくまさに罵詈雑言としか呼べない言葉を大の大人が公言している。しかもそれが教育を受けていない市井の人が酔ってくだ巻き仲間内で放言しているのとは違う。聴衆を前に公人として堂々と聴いているこちらが恥ずかしくなるような異常な、汚い言葉を発言している。

 こんなことを書くのは、近年、政治家、要人たちからの失言、妄言が目立っていたところに安倍政権誕生後、その公人としての立場を度外視した異常とも思える発言や行動が相次いでいるからだ。

 先のNHKの籾井新会長の1月25日の就任記者会見の席での「慰安婦は戦争しているどこの国にもあった」と容認するような発言は後ほど取り消したものの、常識的に考えても、個人的見解であったとしても公共放送の会長としてあの場で絶対に発してはならないものであった。一度口から出た言葉は、慌てて取り消したとしても映像に、文字に残り世界中に発信されてしまう。海外メディアもさっそく大きく報道しNHKの報道姿勢に疑念を持たれることとなってしまった。

 また彼は、特定秘密保護法についても「通っちゃったんでしょうがない。政府が必要だと言うんだから、様子をみるしかない。昔のようになるとは考えにくい」とNHKがこの悪法について報道しない理由を述べ、さらには「政府が右と言っていることを左と言うわけにもいかない」と放送法で記されている「放送の不偏不党、真実及び自律を保証することによって、放送による表現の自由を確保する」という理念をも放棄し時の政権に寄り添い従う姿勢を語っている。

 思想信条の自由とか個人的な意見や考えなのだから何を話してもかまわないという論は成り立たない。居酒屋や家庭内で仲間うちでの会話ではないのである。そういう考えの持ち主がNHKのトップにいるということが偏向を排し公平を第一に求められる公共放送では異常な事態であろう。まして就任の会見の場でそんな「私見」を語るとはこの人の常識と人間性さえ疑われよう。こうした異常な事態が今NHK周辺では相次いでいる。

 百田尚樹氏という昨今話題のベストセラー作家がいる。作品はあいにく未だ読んだことはないのだが、彼もまた昨年の11月にNHKの経営委員に就任した「公人」のはずなのに、先にツイッターで「私が都民だったら田母神俊雄氏に投票する」と書き込み問題となった。その行為もまた「放送の不偏不党」という理念に抵触すると思えるところに、あろうことか当人がその都知事候補田母神氏の応援演説に登場しマイクを握り演説の中で他の都知事候補を「人間のクズ」と評して新たな問題となっている。※2月3日、新宿西口での田母神候補の宣伝カー上での応援演説。

 ネットで流れていたそのときの演説動画はすぐに消されたらしくなかなか今は見れないのだが、三回?彼がした応援演説のうち候補が登場する前に約30分、彼の演説を見ることができた。内容は「放言」に近いようなもので思いつくまま好き勝手に彼の持論を興奮気味に語っている。彼の歴史観にも問題は多々あるが今はさておき。田母神氏を持ち上げ支持を訴えるのは当然のことだが、話の合間に何度も他候補を、実名は出さないものの「日本の(人間の?)のクズみたいな奴に投票するな」、(他の候補は皆)「テレビを見ているだけで人間のクズだとわかる」と言った「クズ発言」が口をついてくる。
 ちょっと耳を疑った。いやしくも作家の方なのである。そしてNHKの経営委員という「公職」に今いる人が、特定の候補者の応援演説にのぞみ他候補を何度も「クズ」と言い放っているのだ。非常識とか以前にどうかしていると思う。公衆の面前で他者を「人間のクズ」と断じることは許されるのか。恥ずかしくないのか。放言だとしても度が過ぎよう。

 また、この候補を支持しているやはり作家である元都知事も同様に他候補に対してあきれ果てるような罵倒を応援演説で発している。
「五輪を中止するというバカが都知事選に立候補している。もう1人、それを支えている、頭のおかしい元総理大臣。これは原発を全廃するという。どうやって原発をつぶすのか。つぶしたらどうなるのか。《略》 風評被害か何か知らんが、人間、センチメントに弱いから。感情的論で『原発が怖いからやめろ。全廃する』と。やめろ、やめろとバカが2人そろって。こんな人間に日本を任せたら、みなさんを養っている企業は死ぬ。電気は経済産業の血液だ。血液が止まったら心臓、頭も止まる。そして企業が死んだら人間が死ぬ。こんなことを東京の問題として持ち出して選挙をやるなんてバカな話だ」と、まさに「バカ、バカ、バカ」のオンパレードである。

 この男は以前からこうした「放言」を臆面なく繰り返してきた前科があるので今さらだとも思えるが、しかしいったいいつ頃からこうした「敵」と目した相手に対して罵倒としか呼べない汚い言葉を人前で平然と日本人は口にできるようになったのか。
 先日の国会では、共産党の志位委員長の質問のときに、ここで文字に出せないような非常識な野次、ヘイトスピーチに類するものが「共産党」である故に、与党?側国会議員の間から投げつけられていた。国民の代表、良識ある国会議員の品位はどこにいってしまったのか。少なくとも昔の政治家は対抗する敵方の士であっても礼をもって敬意を示して相対していた。クズとかバカとか、これは常識ある大の大人が、まして政治家が発する言葉ではない。子どものケンカとしか呼べない。

 いっとき「国家の品格」とか「女性の品格」とかいう言葉が流行ったが、思うに、今の日本人に一番欠けているのは他者に対する当たり前の礼儀、言葉に出すときの敬意であろう。まさに「品格」と「常識」が皆いい歳して足りなさすぎる。だからといって教育の場でまた「道徳」とか「愛国心教育」を押し付けろと言っているのではない。たとえ「敵」だとしても礼をもって接する。そんなことは世界中どこだって同じでかつての日本人はその美徳を当然のこととしていた。それがいつしか消えて厚顔無恥として嫌いな相手を汚い言葉で罵る。「愛国心」とかを口にする作家自らがそうした言葉を平然と使っている。作家こそがもっと言葉というものを大事に丁寧に使わねばならないはずなのに。
 彼らの発言は自ら人間性の低さを露呈し品位、品格を自ら貶めている。

コメント

_ モジロー ― 2014/02/08 21時42分58秒

 同感。中高年の日本人(とくに男たち)は品位を喪い、若者たちは幼くなった。後者に関してはおれたちの世代の責任だと思う。

_ フタバ ― 2018/08/19 05時11分30秒

知識人の知性はなくなってしまいました。
そう考える人ももはや少なくなって来ております。
それでも諦めずに考え続けないといけないことだと思います。
女性へなんでも押し着せるパワハラ社会は原因は男性のふがいなさだと思います。
そこで反論をグッと抑えて、女性に住みやすい、全てに取って住みやすい社会へ戻してもらいたいと思います。
責任があるなら取ってほしいと思いますね。
知識人は勿論、男性が威張る分しっかり社会を元に戻してもらいたいと思います。
男は本当に劣化しましたよね。そこに、目を瞑らないでもらいたいと思います。

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