大工さんを連れて山梨へ行ってきた2014年06月21日 21時57分14秒

★これから古民家と人生にもっと手を加えていく アクセスランキング: 111位

 事後報告となるが、昨日金曜の夜から一泊二日でまた社員氏を招いて一緒に山梨の古民家に行って今日土曜の夕方に戻ってきた。今回は旧知の大工さんも一緒である。その報告を少しする。

 画像で説明できればよかったのだが、ウチの山梨県北杜市にある古民家は、いちおう二階もあり、二階へ上がる階段も付いている。
 が、その階段がどうしたものか急で小さく、しかも場所が悪くともかく不便で使い辛くて難儀している。
 もともとは蚕部屋だった天井の低い二階部に上がるための簡易なハシゴのようなものだったらしく、上るのも降りるのも頭をぶつけないよう、足を踏み外さないよう慎重に手すりにつかまらないと危険な「階段」なのだ。
 で、今後のこともあり、水漏れしている水道も内部にひく再工事をする前に、大工を招いてその階段と位置を付け替える工事を頼もうと考えた。

 地元の業者でも良いのかもしれないが、ツテもなく、先の韮崎のリフォーム会社には懲りたこともあって、ウチと長年の付き合いのある大工のカワムラさんに状況を説明して頼むことにしたのだ。彼のところで今の家、「無頼庵」の工事もやってもらったし長年友人同様に家族ぐるみで親しくしてもらっているので気心もしれている。まずは古民家の状態も診て階段も含めて相談に乗ってもらおうと考えた。ただ、山梨まで来てもらうのがネックでなかなか彼の都合がつかなかった。

 が、今回急に彼の日程がつき、土曜日はトラックも空いているので行けると連絡があった。行くなら本も積んで載せて行こうと、彼の青梅の作業場にずっと置かせてもらっているウチの古本、古雑誌の移動、運搬も兼ねることになって金曜日の夕方にまずその作業場で待ち合わせた。
 拙ブログでも以前に記したと思うのだが、ウチの増改築の際に、そのカワムラさんの青梅の作業場にも本を移動させた。家は3年ほど前に「完成」したのだが、近くに借りている「倉庫」の分も含めてまだそうした保管してある本の整理がついていない。全部、ウチに運び入れてしまえば、無頼庵などのスペースは全部埋もれてしまい人を招くことはできなくなる。
 かといって、このままカワムラさんの行為に甘えてずっとその作業場の中に置きっぱなししても申し訳ないし何よりデッドストック、デッドスペースで無駄である。あれから3年、彼もさすがに痺れを切らして何とかしてくれと思っているはずだ。それで山梨県北杜市に古民家を手に入れたというのが事の流れであった。
 このところ、近くの倉庫の本は少しづつウチの軽ワゴンで行くたびに積んで移動はさせているわけだが、積める量が軽なのでたかが知れている。遅々として進んでいないというのが正直なところなのだ。で、今回、その青梅の作業場の中の本もトラックに積めるだけ積んで行くぞと彼が言うので、社員氏と久しぶりに青梅の作業場に行ったのだ。数年ぶりになるか。

 4時過ぎに着いてカワムラさんと向こうの職人も手伝ってくれて4人で手渡しで運び出した。自分が荷台に上がって隙間なく崩れぬように積み上げていく。ところが本を積み込みの最中に一時、夕立にも降られて慌ててビニールシートで天幕を作ったりとかなり大騒ぎするはめに。まあ、やがて雨もやがて上がり、ともかくトラックの荷台いっぱいに平らに本や雑誌を載せてシートかけて終了。それでも作業所の中の本はまだ山高く残っていて減った感じすらしなかった。
 自分たちが乗ってきた軽ワゴンにも荷重載限界に、後ろは何も見えないほど積み入れていったんウチに戻ってきた。カワムラさんには向こうの住所と地図を渡したので、現地で10時頃落ち合う約束した。

 それから・・・少しだけ休憩して、どうしようかと考えた。社員氏もウチに泊まって明日朝早く東京を出ることも検討したが、それより今晩中に走って向こうに行って泊まったほうが明朝に慌ててばたばたするより楽かと思い今晩行くことにした。車も後部座席まで本でいっぱいで犬たちは今回乗るスペースがなく置いてきぼりにされた。

 夜の8時45分に、八王子インターに入る。山梨に去年の5月以降もう十数回も高速使って行っていることになるのだが、そんな夜遅くに帰りはともかく行ったのは初めてのことだった。道は空いていたが、松本や飯田行の高速バスと、ヤマトなどの宅急便の大型バスがいっぱいすごい勢いで走っていて追い越されていくたびに煽られて緊張した。雨は降っていなかったから助かったもののやはり深夜は大型トラックばかりになるので危険だと思い至った。車も重かったので慎重にハンドルをしっかり握りしめてゆっくり走った。

 韮崎で買い物したりもして牛丼屋のドライブスルーで暖かい丼ものも買い込んで11時頃古民家に到着。牛丼を肴に缶ビール呑んで夜も更けた。寝たのは2時頃だったか。

 翌朝、7時起床。社員氏は高血圧で異常に早起きだから5時から起きて動き回っていたので、こちらも眠りを妨げられ実質3時間ほどしか眠れなかった。青梅での積み込み作業の疲れはまったくとれていない。
 それでもカワムラさんたちが来る前にと、ウチの車の荷物を下して、軽を移動させてトラックが入れるスペースを作った。
 彼らのトラックが到着したのは10時半頃。土曜の午前だったが、渋滞することなかったとのこと。カーナビが付いているのですぐ近くまで来て携帯に連絡があった。

 さっそく、手分けして前日積み込んだ本などを古民家の一階の奥の畳部屋に運び入れる。使っていない洋服ダンスなどのある八畳部屋の半分が本の山で埋まってしまった。
 本を下してからカワムラさんに階段の件を始め古民家の中をあちこち見てもらう。家周りから屋根にも上がって直すべきところなどアドバイスをもらった。
 けっきょく、階段は、全部新しく場所を変えて付け替えるのではなく、位置を平行移動させて使いやすくすることになった。それなら頭をぶつけない。一階の天井の梁の関係もあり、当初自分が考えていた場所には空間を開けて階段設置はかなわなかった。やはりプロに見てもらわないと素人考えではダメだとわかった。

 その他、屋根も積んである瓦に、隙間ができてきていて強い雨では吹き込んで雨漏りに至るところがあると知らされ、自分でコーキング材を買って埋めることを勧められた。先に韮崎のリフォーム会社に大雪で落ちた瓦などの修理は頼んでやってもらったわけだが、まさにやっつけというか、こちらが頼んだところしか見てくれなかったのだ。カワムラさんに最初から来てもらえれば良かったと後悔したが、彼も忙しかったし、瓦が落ちたり割れたままにしておけなく急を要していたのだから仕方あるまい。

 巻尺で寸法とったり、階段を動かす工事に必要なものなどメモして、近くの根古屋神社の天然記念物、大ケヤキを見学して、明野の元のひまわり太陽館、今はアルプスの少女ハイジの何たらと変わってしまった温泉と食事できる施設で昼食。南アルプスを望むパノラマ食堂はあいにく曇って山々はぼんやりとしか見えなかったが、天然温泉にカワムラさんたちは入って帰られたようだ。
 風呂嫌いの社員氏とはもう温泉に入らないことを決意したこともあり、自分たちは、カワムラさんと別れてから産直即売所で、生ワラビやルバーブなど季節の地場野菜と母に頼まれた百日草の苗など買ってまた韮崎インターから高速に入り、幸い渋滞もせずに夕方早めに帰ってこれた。

 まあ大工のカワムラさんにようやく見てもらえたわけで、階段も近く移動させてもらえれば使い勝手はだいぶ良くなるだろう。それが終わって水道工事。次々とこれからも出費はかさむが、ある程度思い通りに使いやすいように手を加えないことにはこちらの思いもこの家に込められない。長く使って維持するためにもそれは仕方ない。手をかけてこそ家なのだ。

 今回運んできた本も半分は全く価値のない紙ごみだと思えるので、来た時に少しづつでも分別して処分していく。その中にいくらかでも金になる、動く本はどれだけあるかだ。幸いこの北杜市も紙のゴミは無料で回収してくれている。人間関係も含めて全てを抱えていくことはできやしない。どこかで本当に必要なもの、大事なことは何かということを念頭に線引きしていかないとまさにモノゴトは全ていっぱいになって収拾がつかなくなる。

 このブログを読んで頂いた方はお分かりだが、マス坊はともかく多くのものをあれもこれも抱えて生きている。おそらく一人あたりの持つ延べ床面積だけでは相当高いランキングであろう。しかしだからといって広いスペースで快適に生きているわけではまったくない。モノがいっぱいで身動き取れず悶々鬱々と日々屈託を抱えている。つまり、バカ、頭がおかしいのである。
 これから残りの人生、いかにその広いスペースを広く快適に思い通りに使いこなすことができるかなのだ。がんばりたい。
 家に手を加えることは即ち人生にももっと手を加えていくことに他ならない。