夕暮れ時に日米の国歌が流れる町で2015年04月14日 17時27分00秒

★戦後70年たっても日本は独立国家ではない。          アクセスランキング: 114位

 古本稼業とは家でやっている仕事、居職なので、勤め人のように毎日出かけることは基本的にない。買い物や犬たちの散歩以外、一日中家にいることもある。後は、注文受けた本の発送に、郵便局に出向くぐらいだ。
 3月末まではヤマトのメール便が利用できていたので、下の多摩川べりのヤマト運輸西東京ベースまで自転車やときに元気な時は犬たちと散歩ついでに歩いて行ったが、メール便が廃止されたので今は近くの郵便局だけとなってしまった。

 さて、夕方どき、その日の便に間に合わせるために注文本の梱包作業をやっている。発送に際し再度ページを繰って書き込みなど見落としはないかとか確認しpp袋で封入する。送り状を書いたり宛先を封筒に貼ったりと時間との戦いのときもある。

 そうしたとき、毎日夕方の5時になると、必ず北側、ウチの後ろ側となる方向から流れてくる音楽がある。
 まず5時を知らせる鐘の音の後、軍楽隊風に重々しく「君が代」が厳かに流れる。そしてすぐその後から米国国歌「星条旗よ永遠なれ」が明るく朗々と華やかに続く。
 放送はそれだけで何も言葉はない。これが毎日必ず午後5時になると流れてくる。ウチの北側には米軍横田基地がある。

 子供の頃からこの地に移り住んで半世紀近く経つが、昔はこんな音楽は聴こえてこなかった。気がつくとこのところのことで、この数年来のことのように思える。
 最初はどこから放送されているのか訝しく思った。が、その選曲からして要するにこれは米空軍横田基地からのものに違いないと推定した。防衛施設庁とかに確認したわけではないが、たぶんそうだと思う。
 別に我々日本人に向けて流しているわけでもなく、基地内で5時の時報として、米軍人たちに知らせるために近年始めたものが風に乗ってこちらにも届くのではないか。日曜は聴いた記憶がないから平日だけのものと思える。

 今通っている山梨の北杜市でも夕方5時になると、ドボルザーク作曲「新世界から」のメロディ、「遠き山に日は落ちて」が流れてくる。確か八王子では、「夕焼け小焼け」だったか、4時半か5時になると流していたはずだ。外で遊んでいる子供たちに帰宅を促すために市が街頭スピーカーを通してメロディで時刻を知らせていたのだ。

 そうした行為は良いことだと思う。昔は寺の鐘が人々に時間を知らせていた。むろん子どもでも今は携帯や腕時計も持っている子が多いだろう。あまり意味ないかもしれない。が、その音楽で、ああ、もうそんな時間かとわかるのは有難いことではないか。

 じっさい、毎日その「君が代」とアメリカ国家が流れてくると、慌てて本の梱包作業にとりかかる。というのは、郵便局の最終便は午後6時〆なので、その日の便に乗せるには6時までに窓口に持ち込まないと一日遅れてしまうからだ。
 しかしである。何で君が代なのか。陰鬱と言ってもよい重厚なゆっくりした件のメロディの後に、朗らかかつ高らかに「星条旗」が流れてくると、何とも名状しがたい気分にさせられる。

 「君が代」自体は嫌いではない。いかにも日本的で良いメロディだと思える。ただ国歌斉唱!と強制させられれば違和感を抱くが、他に代わる「国歌」がない以上、日の丸と共に国旗国歌として扱われることにもあえて異を唱えるつもりは今はない。
 しかし、夕方5時の、横田基地から流れてくるこの「時報」としての組み合わせだけは勘弁してもらいたいと願う。
 彼らとしては日米友好としてのメッセージなのかとも想像する。しかし何故にその時間告知に両国の「国歌」を流す。しかもこの近年始まった習慣なのである。
 三沢とか岩国、嘉手納とか他の米軍基地でも同様なのか知らない。ここ横田基地だけの思い付きなのかもしれない。が、うまく言えないが、非常に屈辱的な気持ちにさせられる。曲順も関係しているのかもしれないが、マイナーとメジャー、どうにも分が悪いような気もするし、そもそも何でこれを流すのであろうか。自分には不快でならない。

 戦後70年も経つのに、日本は今もまだ他国の軍隊が首都圏の広大な土地を接収し駐留している。そして彼らにこの国は思いやり予算として多大な援助を国家予算からねん出して与えている。
 積極的平和主義を標榜するほどの軍隊、いわば「国防軍」を持つ国に、何で同盟国とはいえアメリカの軍隊がデカい顔で居座っているのであろうか。これでも独立国なのであろうか。沖縄内の米軍基地を移転させるのにどうして沖縄の海を埋め立てて新たに米軍基地を作ろうなどと考えるのか。
 日本は今も占領=occupiedされているのではないのか。こんな独立国家はありえない。

 毎日5時になるとそんなことを考えつつ手を動かし本の梱包に追われている。

コメント

_ ナツヨ ― 2017/11/20 20時37分10秒

その「屈辱的」と言う気分、納得します。

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