「本」というメディアの終焉・前2015年04月19日 21時56分26秒

★まして古本屋に未来はない。            アクセスランキング: 134位

 あれこれ書きたいことも多々あれど久々に商売の話を書く。

 先に、ブックオフがどんどん減っていることを書いた。その理由はつまるところ、本自体が新刊であろうが古書であろうが売れない、読まれない、流通しないからであって、本などは商売の種とならないと見切りつけた故であろう。
 さて、あれからウチにあった1円本を、立川のブックオフに6箱ほど持ち込んで愕然とした。以前と異なりまったく値がつかなかったのである。受け取った額はわずか300円ちょっと。これではガソリン代程度になるかならないかだ。

 拙ブログで以前にも書いたことだが、Amazonのマーケットプレイスで売ろうにもあまりに売値相場が低価格過ぎてウチでは出品できない「1円本」とそれに類する本は、溜まれば段ボール箱に詰めてブックオフに持ち込んで査定のうえ引き取ってもらっていた。
 むろんご存知のように、向こうの買値はとても低く、1刷10円どころかそれ以下ということも多々あり、それも値が付けば良いほうで、「こららはお値段の付かない本ですがどうしますか」と、ときに半分、それ以上も1円にもならないことも多い。それでも有難いことにブックオフは、それらクズ本でも引き取ってくれたから「処分」には大いに助かっていた。

 ひと箱に何十冊詰めたか数えていないが、以前は、持ち込んだ本の種類にもよるけれど、うまくすればひと箱500円程度の値がつき、何箱も持ち込めば、一回ごと2~3千円の儲けが出ていた。もともと自店では売れない、処分する本だったから、どれほど買値が低くとも、たとえ値が付かなくともいくらかにはなり、さらに一括して引き取ってくれるのだから大いに助かっていた。

 それで査定を待っている間に、100円コーナーの本で、何冊かセドリして得た金から代金支払っても多少の小遣いとして手元に残った。むろん値がつくのは、綺麗な準新刊だけだから、紙が焼けたりクスミのある本は値段が付かないこともわかっていた。が、市の古紙回収にゴミとして出すよりは、ブックオフに一括して引き取ってもらう方が少しは金になったしまだ流通する可能性があるのでいつもそうしていた。

 が、向こうの査定の基準もここに来て変わったというか急に厳しくなったようで、前ならゲーム攻略本の類やコミックスも数円で引き取ってくれていたのに、ベストセラーはいっさい「値が付かない」。そうした方針に変えたようで、こちとら、いつも通りの予測で「今回はうまくすれば二千円にはなるかもな」と期待してたら、6箱持ち込んだのに、値が付いたのはほんの僅かしかなく、示されたのは300円~そこらだった。

 抗議したって仕方ない。まだ幸い持ち込んだ本は全部向こうが引き取ってくれたからまた車に積み込み持ち帰る手間はいらなかったけど、帰り道運転中、もうブックオフに持ち込むのは終わりにするしかないなと考えた。淋しさのような深い失望感を抱いた。
 そのときも2冊、108円の本を買った。赤字にはならなかったが、痛い腰をかばってうんうん唸って重たい本の箱を車にいくつも積み込みガソリン代かけて持ち込んでもこれでは手間賃にもなりゃしない。

 向こうの気持ちもわからなくない。つまり紙ゴミとして持ち込んだ本を全部引き取るだけ有難いと思えということだろう。何しろベストセラー本など溜まる一方なのだ。そして当然ながら少しでも旬を過ぎればそれらは売れない。
 まだハードオフのように多彩なアイテムを扱うならば、高値も付けられ利潤も大きい。本やゲームソフト、CDでは、どうやったって定価の半額~それ以下だ。ましてさほど売れず、100円コーナーばかり増えていく。

 いっぽう、話をAmazonのマーケットプレイスに戻せば、中古本の類は、売値がつけば何でも出品できるのかというとそうではなくなってきている。
 ネットの世界では、kindleなどの電子書籍化がこのところ一気に進んでいるから、コミックスなどは、Amazonのリストに載っていても、Amazonが扱う電子版のそれしかなく、「本」では出品できないものも多くなってきているのだ。

 手持ちの成人向けコミックスを検索してみて、電子版のは載っているのに、本としては扱っていないことに気づき愕然とした。Amazonではこのところ、この本の電子書籍化を希望しますかとアンケートを募っている。つまり、これからの流れとして、流通すると判断される本は、電子書籍化されてしまい、リストにもそれだけしか載せず、紙の「古本」は扱わなくなっていくのだろう。
 むろんこの世にある全ての本や古本が電子化されるはずはない。しかし、動く本こそ、著者と出版社と計らって電子化してしまえば、Amazonや楽天などマーケット運営会社だけが儲けを独占できる。

 じっさい、ミュージックの世界では、物としてのCDでは扱ってなく、希望者はダウンロード版を「購入」するしかないアイテムも多くなってしまっている。マス坊も先日、初めてダウンロードして、荒木栄作品集をパソコンに取り込んだ。本当はCDで欲しかったが、そもそもダウンロード版のしかみつからないのだから仕方ない。

 おそらく、うんと古い希少な専門書の類は別として、広く流通する可能性の高い本は、今後は全てダウンロード版しか、つまり電子書籍しか扱わなくなるのではないか。それがこれからの流れだと思える。
 そこには個人が参入する余地はない。つまり手元に「本」があっても販売手段は自らのホームページ、自サイトとかしかなくなってしまうのだ。

 文字を集めた文書の類、本や雑誌、新聞は未来永劫なくなりはしないだろう。が、従来の紙に印刷したものは、これからはもう「不要」として存在しなくなると断言してもよいのではないか。
 ならばそれを扱う商売、新刊書店も古本屋にも未来はない。どうしたものかと自問している。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://masdart.asablo.jp/blog/2015/04/19/7615271/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。