死に行く者と新しい命と2018年06月14日 21時43分28秒

★また子猫が生まれて睡眠不足

 自縄自縛という言葉がある。我、マス坊のやっていることはまさに自ら自らを面倒な方向へ、大変な状況に追い込んでいくことを望まず?期せずしてやり続けているように自分でも思う。

 去年の正月明け、山梨県須玉のスーパーやまとのレジに、飼主を探している迷子犬の貼り紙を見た。飼主がみつからないので、このままだと最終的には保健所で殺処分になる可能性もあった。誰か新しく買ってくれる人も求めていた。
 それは雌の甲斐犬で、年齢不詳だが、もうあまり若くなくないが10歳には満たないだろうと推定されていた。
 その頃、ウチには、齢18才にもなる雄の雑種、黒い老犬ブラ彦がいて、だいぶ衰弱してきて死期も近いと覚悟していた。他にも雌の、はるかに若いベルコという雑種もいたのだが、ブラにとっても、ベルコにとっても新しい犬が来ることは良いことかと考え、その貼り紙を見て迷うことなく何も考えずに市役所に電話して後日その犬を貰い受けた。犬には珍しい縞模様だったので、おトラさんと名付けた。
 
 その経緯も含めその甲斐犬については当ブログで何回か書いたが、あまり前の飼い主には可愛がられず、常にぶたれたり虐待を受けていたようで、結局捨てられて保護されたという感じでなかなか我にも慣れなかった。
 ウチに来た年、ブラ彦がまだ生きていた頃は元気で、三匹で付かず離れず共に散歩もできていたし大して手がかからなかったのだけど、ブラが春先に死んで、その年の冬になってから急に弱り出しあまり歩けなくなり外の小屋に繋いでいると夜鳴きし吠えて騒ぐのでこちらは大いに手を焼く事態となった。

 来た時から、人に慣れず愛想もなく覇気のない犬で困惑したが、散歩の途中にへたり込み、歩けなくなり、結局、かかりつけの動物病院に連れていく羽目となった。
 診断は、特にどこか悪いわけではないが、高齢からの呆けと衰弱だろうと言われ、薬だけで一万円もする犬用漢方の錠剤を出してもらった。一時期は、胴にホルダーつけて我が持ち上げて歩くほど動けなかったが、毎晩家に入れて栄養あるものを与えて薬飲ませていたら何とか持ち直し、今は相変わらず元気はないものの、散歩も長距離でなければ問題なく歩けるようになった。
 しかし、以後その犬は家に入ることを好み、外の小屋に繋ぐと鳴いて騒ぐので、夜間などご近所の手前、室内に入れないとならない。が、大小便がしたくなると、自ら外に行きたいと騒ぐので、我はその都度、深夜早朝でも少しでもトラさんが鳴きだすと起きて抱きかかえて外に出さねばならない。そんなでこちらは常に睡眠不足気味だし、家にいれておくと長い時間の外出も難しい。ともかく手がかかる。
 おまけにこのところは食も以前より細くなり、吞みこみがわるいのか、食べ物をポトポト口の端から落とすので、小さくしたものをスプーンで口の中に入れて落とさないよう養ってやっている。※犬の口は、人や猫のように平らではないので、口に咥えても尖っている口先の横の隙間から吞みこむまで距離があり、そこから落としてしまうのだ。
 父といいこの犬といい、何と介護に手がかかることか。

 父はニンゲンで、しかも我を生み育ててくれた人だから、介護を厭う理由はない。共に暮らす家族として責任も生じている。
 が、トラさんはふとした縁で、あまり後先のこと考えずに貰い受けて来たわけで、何で我が介護し医療費も払わねばならないのかとも思う。 
 また、何度も夜鳴きして鳴き騒いだり、父を送り出す日の朝など大忙しの時に外に行きたいと騒ぎたすと本当にイライラする。思わずぶっ叩いて叱りつけて大人しくさせようとも思う。が、この犬は元々可愛がられずに常に前の飼い主から殴られて育ってきたのだと思い直し、殴りつけたいのをぐっと堪えている。

 結局、父のこともおトラさんのことも自らが招いた種であり、奇縁であり何かの計らいであり、成すべき試練なのだと思うしかない。
 何よりもトラさんは、今この家に来て今ようやく心満ちた思いがしているのではないか。あのまま山梨で保健所で殺されていたら何と不遇で哀れな犬の人生ではなかったか。
 少しでも犬に生まれて良かったなアと思える余生を送ってやりたいと思う。前は尻尾をふることなどなかったが、このところは機嫌良いときなのか、ときには我に尻尾ふって甘えるそぶりもやっと見せるようになってきた。
 手がかかる犬程かわいいなんてことはないが、犬好きとしては甲斐犬は飼ってみたい犬でもあったし、巨大な爪など古来の山犬の特徴を強く残す犬の原種として愛嬌はなくともこれはこれで可愛いと思っている。

 と、そうして手がかかる老人と老犬を抱えて相変わらずの睡眠不足気味のところに、また今年も黒ちんが子猫を生んでさらに我が家は面倒なことになった。もう一回記す。

コメント

_ サクラブルー ― 2018/06/17 02時49分27秒

増坊さんはなんて愛深い人なんだろうと思う。神さまも増坊さんの男っぷりをじっと見守っていらっしゃると思います。

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