希望の星は落ちるとも~嗚呼!翁長知事死去!2018年08月08日 20時20分25秒

★何故に神はかくも民の願い「平和の意思」を踏みにじるのか

 怖れ案じていたことが起きた。台風情報をネットで観ようとパソコンのニュースサイトを開けたらばトップニュースで、翁長知事の訃報が飛び出した。まだ67歳。我らより少しだけ上の団塊の世代であったことに気づき驚く。
 それにしても何ともいたたまれない思いにかられる。膵臓がんを患われていたことは知っていたし、先の新基地承認撤回の記者会見の時の映像で、ずいぶん痩せていたのでやばいかもと心配していた。そして今日の日中のネット上の速報ニュースで「知事状態悪化、意識混濁」とのことで、これはもう危篤状態だと覚悟はしていた。そして、その数時間後、早くも死去の報となったのだ。
 癌による死を多く見て来てわかることは、げっそり痩せたらもうまずそこから回復は難しい。何としてもヒロジさんのように「奇跡の復活」を、と祈り願っていたのだけれども。

 それにしても・・・辺野古の新基地建設反対の希望の星として県民の期待を背負い華々しく登場した翁長氏がこんな形で去ることになるとは誰一人想像しなかっただろう。
 残念だが、この四年間、基地建設は阻止できたどころか、政府の強硬方針は反対する県民の声には一切耳を傾けず司法までも国側に加担する判決を下し、まさに建設は粛々と進み辺野古の海は土砂やブロックで埋められて反対運動もさらに弾圧され縮小を余儀なくされていった。

 このところ家に籠り、近年の広告チラシや届いた手紙類の整理にあけくれていたら、4年前、2014年11月の、日本平和委員会が出している『平和新聞』が出て来た。そこには大きく『沖縄の心と政府のたたかい』という見出しで、「大激戦!沖縄県知事選」と一面に翁長氏が出馬した県知事選が載っている。いま改めてそれを読み返してまだこの頃は沖縄には確かな希望の光があったなあと嘆息してしまう。
 この近年の沖縄の現実を克明に撮り続け優れたドキュメンタリー映画として内地に送り続けている三上智恵監督の『戦場ぬ止み』では、あの山城ヒロジさんたちゲート前座り込みの人たちが翁長氏当選確実の報に涙流して喜び踊りまくっていたことを思い出す。
 翁長氏とは、左右のイデオロギーを超えて、「平和」というごく当たり前のことを当たり前のこととして語り行動していった稀有な政治家であったと思う。

 けっきょく、我は、この四年、母の看護と死後の始末、さらに母を喪ってしまったことからのPTSDに囚われて沖縄の「闘争」には何も一切関われなかった。せいぜいカンパや署名程度しかできなかった。
 振り返って同じ米軍基地に苦しむ同志として情けなく恥ずかしく思う。
そして、今さらながらだが、闘いはここからだと、拳を握りしめくちびるを噛みしめている。翁長氏の代わりはいないからこそ、その思いを継いでいくためにも。

 以下、その四年前の平和新聞の記事から転載する。

 「今朝、摩文仁の魂魄の塔に手を合わせた。(戦争で)多くの方が無念さを思いながら亡くなっていった。政治の原点は平和だ。私は保守だが沖縄の保守だ。日米安保に理解は示すが、0.6%の沖縄に74%の基地を押し付ける理不尽は絶対に許せない。辺野古への新基地はありとあらゆる手段で造らせない。政治家はぶれたが、県民はぶれていないということを選挙でしっかり示そう」10月30日、告示日の出陣式で翁長雄志那覇市長は、こう訴えました。《略》
 そして・・・11月5日の「うまんちゅ1万人集会」では、
 「今日は自ら押しかけて来た」という俳優の菅原文太さんは「安倍政権は戦争を前提に沖縄を考えている。仲井真知事は最も危険な政権と手を結んでしまった。辺野古の海は国家のものではない。勝手に外国に売り渡さないでくれ」と訴えました。
 翁長氏に出馬要請したために自民党を除名された那覇市議会新風会の金城徹会長は、「保革対決じゃない、沖縄の心と政府の闘いに勝利しよう!」と呼びかけました。

 病をおして翁長氏支持を訴えるため沖縄入りした菅原文太もこの直後に亡くなり、もうこの世にいない。政府安倍政権は、国家権力という人的金的圧倒的物流と権限を最大限に用いて先だっては名護市長選も米軍普天間飛行場移設計画を事実上容認する自公推薦候補が現職の稲嶺氏を落としてしまった。
 世界は、中でも沖縄を取り巻く状況は何も変わっていないどころかますます悪くなっているように見える。国政選挙でオール沖縄の基地反対派が何度勝利しても沖縄の民意は政権にまったく届かない。
 そしてついに反対運動のシンボルとも呼べる県知事氏翁長氏も倒れて亡くなってしまったのだ。
 神はどこまで沖縄に苦難と試練を与えるのであろうか。かの地の民に何故これほど災いが起こるのか。安倍政権のやっていること、目指す世界を神は認め支持するのか。

 いや、だからこそ新基地建設が進んでいく今でも今からこそ、我らも沖縄の心、それは「平和を愛する心」、を共有して、民意を無視して憲法を守らない極悪非道の安倍政権との闘いを続けて行かねばならないはずだ。
 戦争という「悪」がそこにある。それをみすみす見逃し見過ごすことは人として絶対に許してはならない。たとえいくら札束を積まれても、命こそ宝なのだから。