続・死に行く人をどう死なすか。2019年09月17日 23時42分26秒

★もう布団と寝る場所がない~尾籠な話の続き。

 父が就寝中、自ら自分の紙パンツを外して何も穿かないで眠り続けて小便を布団の上に撒き散らすのはこれまでもたまにあった。
 昔はその都度「反省文」を書かせて、それを失念しないよう部屋のあちこち目に入るところに今も貼ってある。しかし何枚書いたことか。

 当人は起きているときは、それはやってはイケナイことだとわかっているし、その都度洗濯や布団干しに追われる息子の苦労も理解示している。
 が、眠ってしまうとまったくそんなことは忘れてしまい、いや、正しくは無意識のうちに、溜まって来た尿の不快感から?朝方になるとともかく外してしまうと思われる。
 じっさい短時間の昼寝ではこれまで一度もそんなことは起こしていない。話が正しくでき意識がきちんとあるときは、本人も深く反省して、もう絶対しない、息子に起こされるまではベッドの中でオムツは外さず待っている、と確約してくれる。
 しかし翌朝、定時に起こして様子を見るとオムツの中から濡れたパッドだけ出してベッドサイドに畳んであったり、ひどいときは濡れた面を下にして枕元、敷布団のうえに投げ出してあったりもする。当然辺り一面、逆流した父の小便で水浸しである。

 しかし、これまでは数回に一回のことだった。それが二回に一回になってきたかと思ったら、このところはほぼ毎朝毎回となってしまった。最初はかなり父を責め怒りをぶつけたりもしたが、そもそも起床時はボーとしていて当人は何が起きたのか、自分は何をして息子は怒り心頭なのかもまったく理解できていない。
 眠る前、前夜は、絶対外さないように、と何度もこのままだと洗濯が間に合わないぞと、口酸っぱく諭して、当人もわかった、絶対勝手に外さないと確約する。しかし、朝になると必ず布団は小便で水浸しとなっている。※絶対外さないよう、このところは紙パンツを穿かす前に、オムツが外されないようさらにガムテープでぐるぐる巻きにして対策を練った。が、剥がすのもかなり面倒なはずなのに、朝になるとしっかりそれも剥がして濡れたパッドは投げ出され敷布はぐっしょりなのである。
 むろん、敷布の下に防水シートからペット用吸水シートまで幾重にも敷いてある。が、それ以外のところを濡れたパッドで汚したり、毛布や掛布団までも濡らしてしまうことも毎度のことだ。

 特に、前々回はひどかった。かなり早くオムツから紙パンツ、中のパットまで出して全部脱ぎ捨てたらしく、朝確認したらほとんど何も穿かずに
小便の海の中で眠っていた。背中までぐっしょりである。
 そのときは、敷布団マットのみならず、簡易ベッドの土台に付いている敷物までも濡らす「大失禁」で、身体はシャワーで洗ったもののぐっしょり汚れた敷いてたマットは洗うわけにもいかず、どうするか処分に困っている。

 それが金曜の朝のことで、担当医による訪問診療が来る日でもあった。いつもならその晩も在宅で寝て、翌土曜朝にまた施設にお泊りに送り出す週に一日の終日自宅滞在の日だった。
 が、布団が何もかも一切合切小便で濡れてしまい、洗濯してもすぐには乾かないし代わりの布団も出てこないと即判断して、朝から翌日利用する予定のデイサービスに電話した。今晩からお泊りできますか、と。
 そしたら幸いその晩は空きがあって、夕方早めに食事済ませてから父をその施設まで送って事なきを得た。一泊分余分の利用となってお金がまたかかるわけだが、送り出してから正直ほっとした。
 もしその晩布団が何とかなったとしてもまた明日の朝は同じことを繰り返すだろう。もう気持ちも体力も限界に来ていた。

 そして16日月曜日の夕刻、父は施設から戻って来た。幸い不在の間に雨も降ったが、何とかギリギリシーツ類は乾かすことができた。
 しかし、翌火曜日の朝、またしても自らオムツから何まで就寝中に外してしまっていて、紙パンツ一枚で寝ていた。むろんそれだけで吸収が収まるはずもなく、また敷布には世界地図である。幸い今回は、防水シーツの上だけで収拾ついたけれども。

 けっきょく、いくら叱りつけても怒っても無駄なのである。認知症もかなり進んでいるから、事後はたとえ少しは反省し自らも注意しようと思ったとしても寝てしまえばすぐさま忘れてしまう。
 またこのところさらに歩けなくなり、施設から戻って来た時など家の中に入るのすら手すりに掴まってやっとのことだ。
 それだけまたこの秋が来て確実に老化と衰弱が進んでいると実感せざるえない。何とか今年いっぱいはもつとは思うけれど、ここまで頭も何もかも心身衰弱が進むとこの家で我一人で介護していくのはたとえ数日でも難しい。
 ともあれ、一番頭痛いのは、毎朝のベッド上での寝小便である。もう洗濯にも倦み疲れた。
 死に行く人、死期が間近に迫って来た人を、どうやってできるだけ長くこの家で暮らさせるか。何か妙案はないものか。