キジ子、二か月で完治いたしました・続き2019年12月11日 08時19分25秒

★そこに神の愛が現れた

 そもそもの発端は、その10月10日であった。急患扱いで、そのケガした猫を診察してもらった。

 その日はいったん家に戻り、夕方もう一度出向いて医師とどうするか相談した。
 医師曰く、ケガは、今日のことではなく何日か前に起きたらしく少し傷口から腐敗も始まっている。手術して切断された脚を除去して縫合するしかない。が、かなり薄汚れて雑菌にも感染しているようだし、治ったとしても排尿障害が残るかもしれないしそもそも手術しても助かるかさえわからないと言われた。
 どうしますか?と。

 このままにすれば、自然治癒の前に失血と感染症、腐敗が進んで苦しんで死んでいく。安楽死させますか、今も貧血と低体温ですごく危険な状態だと。

 迷いはなかった。ともかくできるだけのことをしてくれと頼んだ。
 で、手術することとなり、明日見積もりが出るとのことで、翌日11日の午後、もう一度説明を受けて手術の承諾をした。見積額はその時点で20万円近くが提示された。明日土曜日午前に、手術します、ということになった。
 
 その晩から颱風19号が関東地方に襲来中で雨が降り続いていた。
 強く降り続く雨風の音を聴きながら、我は何を思ったのか、今は思い出せない。颱風よりもともかくキジ子のことで頭がいっぱいだった。

 翌朝土曜日、外はちょうど颱風通過中で、この日は夜までかなりの雨が降り続いた。
 病院からは担当医から手術の前に、輸血して臨むとの電話があったが、終わった連絡がなかなか来ない。やきもきして待つが午後になっても電話はなく、こちらも留守電にかけたりもしたが、やっと午後2時頃医師から電話があり、今、手術は無事に終わって縫合も済んだ、と知らせがあり一気に気が緩んだ。ほっと安堵した。

 翌日からほぼ毎日病院には面会に行った。下半身を包帯でぐるぐる巻きにされ点滴のチューブをつけられた子猫の姿は、亡き母のがん手術直後の姿を思い起こさせた。
 しかしそんな大手術の直後でも意識はあり、我が行けば名前に返事て鳴き返してくれて、これなら何とか助かるかと思えた。しかし日々の血液検査の結果は数値が悪くて、輸血したことで黄疸にもなって白血球に異常もあり、敗血症になるかもしれないとのことでまったく予断はゆるされない状態がそれから一週間は続いたかと記憶する。
 見舞いに行っても元気がなく、口からはほとんど何も食べられずこのまま食べられなければ鼻から栄養入れるしかないと言われて、かろうじて点滴と薬で命を繋いでいる小さな猫の姿は胸を締めつけられる思いがした。
 しかし、17日の日から、悪化していた数値も下げ止まって来て翌18日には、点滴のチューブもとれて状態は日々改善回復していった。傷も日々少しづつどんどん小さくなっていった。
 その間、10/19日は、かけこみ亭で、中川五郎御大をメインに迎えてコンサートもあって慌ただしかったわけだが、幸い猫は入院中で完全看護されていたので心配はなかった。
 
 そして、11月の5日、もう傷口もかなり縮小して元気になって来たので、入院から一か月待たずに退院となった。
 が、家に戻ってからがまた大変で、塗り薬とガーゼと包帯を持たされ、巻き方も説明を受けたのだが、一人では嫌がって暴れるキジ子を制止するのも一苦労であった。
 巻けたと思ってもすぐに包帯は外れて傷口剥き出しとなっていたりで、その都度消毒したりかなり気疲れさせられた。

 ウチは他の猫たちもたくさんいるし、猫ドア出入り自由だから帰って来たキジ子の居場所は、いろいろ考えたが、父の今使ってる寝室にした。
 そこなら鍵もかかるし父は施設に行って不在の時も多いので、猫砂入れたトイレも置いて、今もそこでキジ子は暮らしている。
 一人では淋しいので、犬のベルコが夜などは一緒に寝て障害者猫の傍らで世話してくれている。

 当初は下半身のはんぶんまで大きく広がっていた生身剥き出しの傷口は、この二か月で日々どんどん縮小してついに最後に残っていた詰め先ほどのカサブタも消えて完全に消えた。
 振り返ってその動物の自然治癒力と動物病院のその場その時毎の適切な対応のおかげだと感嘆するしかない。
 お金は、当初の想定額よりはるかに高くかかった。11月の終わりでそれまでの支払額を計算してもらった時点で50万円に近かったのだから、その後も診察ごとに支払いがあったから、おそらく総額では50万を越えていると思える。
 しかし、お金では買えないものを我は得たと今は思う。大ケガから奇跡的にも三本脚となった障害者猫の命は永らえたわけだが、この一件から大きな恵みと我自身救いを得た。多くの方々から暖かいご支援の声と資金も頂いた。

 猫に限らず、障碍をもって生きていくということについて、大きな示唆を得た。そのことについて後ほど一度きちん考えをまとめて記しておきたい。