先が見えることの有難さ2020年02月10日 12時20分05秒

★先が見えずに苦しむ方がたを憂う

 今年は記録的暖冬だと、つい気を緩めてもう春はそこまで、と書いて来たが、2月に入って先週後半から本格的寒波がやっと到来、やっと本来の真冬の寒さの日が続いている。今朝も外の水桶は、かなり厚い氷が張っていた。

 気が緩んでいたということもあったからだが、この週末、ついにこの我自身が風邪をひいたようで、鼻水はポタポタ止まらず喉も痛く、熱も出て来る予感がした。
 が、先週末は父がショートステイで不在ということもあって、この土日は、できるだけ出かけないよう努めて、特に昨日の日曜は、ひたすら葛根湯を飲んで終日布団の中で眠って過ごした。
 それが功をそうしたか、風邪は鼻風邪以上に悪化することなく、週明け今日月曜は、鼻水も出ず鼻も通り、喉も痛くない。どうやら大過なくやり過ごせたようだ。

 今、本格的風邪をひいて寝込むわけにはいかないのは、もちろん今は毎月末に定期的に「コンサート」企画を抱えているということもある。それは確かに忙しい。
 が、それ以前に、この我が風邪ひけばたぶん間違いなく父にも伝染して、この寒さもあってそのまま肺炎へ、そして即入院と進む可能性が極めて高いからだ。
 九十代半ばという父の年齢を思えば、風邪ひくということは、そのまま肺炎で命取りに至ることは必定で、いかに風邪をひかせないか、インフルエンザも含めて常に気を使ってきた。
 幸いこの数年、風邪らしい風邪もひかず、誤嚥性の肺炎にも至らず、幸いにして身体は健康で、入院することもない故、百歳近くになってもまだ生きているわけで、ここで、この寒い季節、息子が風邪ひいてうつすわけには絶対にいかない。
 まあ、先のことはわからないし、デイサービスで父自ら風邪ひいて帰宅することもあるわけで、そのときはそのときであるが、出来る限りの「予防」は新型肺炎でならずともすべきであろう。

 その中国発の新型肺炎、コロナウィルスが世界中で猛威をふるっている。横浜港に停泊している大型クルーズ船内では、これ以上の国内感染が広がらないよう今も何千人もの乗客が各個室に閉じ込められたまま、ただ船内で待機を命じられている。
 そうした「水際対策」の是非はともかく、人にとって一番辛いことは何かを思うとき、「今」はともかくやはり、この「先」が見えないことではないだろうか。

 いつまで、こうした状態、先が見えない「今」が続くのかわからずに「閉じ込められた」状態にある、というのは、人間にとって真に耐え難いことだと想像に難くない。
 あのカルロス・ゴーン被告も、それに耐えきれずに、先々の裁判のあり方、行く末に強い不安を感じて逃亡してしまったわけだし、閉じ込められていなくても、先のこと、進展も含めていったいどうなるのか「見えない」という状態こそ、人を苦しめること最上位に位置するものと考える。

 北朝鮮に拉致された人々のご家族の方々の心痛は筆舌に尽くしがたいものがあることは誰だって想像できよう。先だっても高齢の親御さんの一人が、拉致された娘との再会を果たせず亡くなられたという報があったが、日本政府、安倍政権はいったいこれまで何をやってきたのか。
 アメリカに交渉頼みで、自らは動きもせず、何一つ進展なく時間だけが過ぎていく。そして待ち続ける家族は老いて亡くなっていく。
 震災復興五輪だか知らないが、東京オリンピックで浮かれて、各国から観光客を呼び込み、それで景気浮揚を図るとか、そんな姑息なことばかり考える以前に、まずは安倍晋三自身が直接北朝鮮に乗り込み、首脳対談を果たして、一人でも帰国できるよう働きかけ自ら動くのが政治の在り方ではないのか。
 どんな条件をつけられようとも、コトは人命なのである。そして人の命は限りあるのである。北のやった拉致行為の是非はもう今さら論うこと以前に、人道問題として、ともかく一日も早い帰国がかなうよう、本気で安倍政権は動け。でないとただ長期であっただけで、実体のない景気回復以外に何一つ成果を上げなかった政権として、後世に記されることだろう。

 繰り返す。何が一番辛いって、先が見えないことなのである。いつまでこの状態が続くのか、だ。
 我は、幸い今はやっと、「先」のこと、予定も立って「見えてきた」。