ことさらに「不安」や「怖れ」に心まで「感染」するなかれ2020年03月04日 20時23分18秒

★いやはや、人心というものは今も昔もこうしたものか。

 我の家のすぐ近くに、サンドラッグというかなり大きいドラッグストアチェーンの一つがある。
 大通りに面しているから、駐車場も大きく植え込みもあり、我は朝晩の犬の散歩ではほぼ毎日その周囲を廻っている。
 それが、この新型ウィルスの感染拡大が大きなニュースとなってきてから、そこの駐車場は早朝から車がいっぱいで、開店の一時間も前から大勢の人たちが寒い中でも並んでかなり長い行列ができている。多い時は150人は並んでいたかも。
 最初は何か特売の広告でも撒いたので、それで行列が出来ているのかと思っていた。

 が、店頭の貼り紙を見てわかってきたのは、感染予防のためのマスクや手洗い用にアルコール消毒液などを買い求めてのことであった。
 ごくたまにマスクも入荷していたのかわからないが、本日は、マスクは売り切れとか、ティシュ、トイレットペーパーは有りますとか、店員が時おり押し寄せた客たちに向けて繰り返し放送もしていた。
 
 3月に入って、早朝からの開店前の行列はやや少なくなったようだが、それでも今もドラッグストアは常に車がいっぱいの盛況のようで、店から出て来る人は一様に、トイレットペーパーのロールの包み、ティシュの箱のセット、ペーパータオルなど紙類商品を両手にぶら下げて出て来る。
 この新型ウィルスの流行でマスクなどは必要だと考えるのは理解できるが、何故にトイレットペーパーやティシュまで慌てて買い求めるのであろうか。理解に苦しむ。誰かがそれらは売り切れるとデマでも流したのか。

 昔、我が小学生の頃だったか、オイルショックが起きて、そのときも似たような騒動が起きた記憶があるが、政府は紙類の備蓄は十分にあり、今後も供給されていると声高に言っているのに、けっきょく、皆が買いあさるからどこも品薄や売り切れとなってしまい、またさらにその「ない」という不安感から人は買いあさるのだろう。

 また、どこそこの介護施設で感染者が確認されたとか、あそこの中華料理の店だ、とか、熱いお湯を飲めば感染しないとか、我が小耳にはさんだだけでも根拠もない明らかなデマが愚かにも街中に拡散している。
 いつ終息されるのか、さらに感染は拡大していくのか、先が見えない「恐怖」が続く現状である。こうしたパニック時には、人心は常にデマに惑わされるものだと理解はしていたが、この現実には、正直驚き呆れ果てた。
 そして思った。大昔、今から百年近くも前の関東大震災の直後には、日本にいた多くの朝鮮人が、井戸に毒を撒いたとか根も葉もない噂が流行したことで自警団的日本人の集団によって虐殺されたことである。