ネット世界は「人間」に繋がるまでが一苦労・続き2014年01月10日 06時47分43秒

★どうしてすぐに「人間」と繋がらないのか         アクセスランキング: 130 位

 思うに、ネットの時代、人は「世界」とは繋がりやすくなったが、逆に、「人間」とは繋がりにくくなったのではないか。

 自らがネットで古本を扱うような「仕事」をしつつこんなことを書くのは憚れるというかセンエツかもしれないが、インターネット社会とはつくづく不便かつ人間味のない奇妙な世界だと思える。
 例えば、ネット上の「店」のサイトで何かを購入しようかと思い、まず相手方と連絡をとろうとする。いろいろ確認したいこと、訊きたいことも当然ある。しかし、そのサイトを隅々まで見てもその連絡先がなかなかみつからない。カート、つまり購入にあたり「籠に入れる」というボタンはある。そこに商品を入れれば自動的に購入まで進める。しかしその以前に、相手方と連絡をとろうにもその仕方がわからず苦労してしまう。お問い合わせフォームとか、メールアドレスとかは載っていても、そもそも電話番号がそこには載っていない。けっきょく、苦労して会社概要のページに記してある電話番号をみつけてかけたりもした。中にはそもそも電話での窓口対応はしていないと断ってある会社もままある。

 これはいったいどういうことなのか。もはやネットの世界では、いっさいの個人的接触、つまり直に電話で話したりすることは不要なのであろうか。電話はすべきではなく、問い合わせもふくめ交渉事はすべてメールでのやりとりが当然なのか。しかし、それでは全然即時性はないのではないか。大急ぎで確認及び注文しなければならないとき、相手が常にパソコンの前にいるか定かではないメールのシステムは信頼性と信用に欠けるのではないか。

 と書く自分は旧い世代で、電話は苦手でもやはり電話で相手方と直接話してモノゴトを進めていくことを好む。いや、好き嫌いではなく、それが当然だと考えていた。しかしネット世界ではそれが極めて難しいのである。
 言うまでもなくパソコンやネットのシステムは複雑で難解である。素人や初心者、高齢者が誰でもすいすいとすぐに使いこなせるわけがない。当然メーカーやプロバイダなど相手方のサポート担当と連絡をとり質問や相談し指示を仰がない限りなかなか使いこなすことはできやしない。自分もパソコン歴は10年を超すが、未だにパソコン買い替えの度に設定などはメーカーサポートに電話してやり方を教えてもらっている。トラブルの都度、慌てて電話かけてしまう。人によってはじっさいに技術者を呼んで代行してセッティングしてもらう方もいるかもしれない。ユーザー個人で全て誰にも頼らず使いこなせる方がとれぐらいいるのだろうか。

 しかし、その電話がまたなかなか繋がないのである。ウチが長年使い続けているパソコンメーカー富士通の場合、担当の人間が出るまでたいてい数十分常に待たされる。そもそもすぐに人間が出てこない。電話かけてもまずは音声ガイドのコンピュータの声で、お問い合わせの種類ごとの番号が知らされ、トーンでそれを指定し次へと進んでいく。そうしたいくつかのやりとりの後またかなり待たされていいかげん保留の音楽にうんざりした頃、「お待たせしました」とやっと人間が出てくる。

 パソコンの世界はそうしたものだと今では諦観的理解しているからもはや怒りも驚きもないが、連絡をとろうとするときはかなり時間がかかると覚悟しないととりかかれない。忙しい時、出かける用事があるときなどはとても気軽に電話できやしない。今回もそうして何箇所か電話してまたこの面倒さを痛感した。
 待たされるのはともかくもまず「人間」にすぐに繋がらないことがイライラする。音声ガイドに従って手順をふんでいかないと人間まで繋がらないのは何とかならないのか。会社ならば玄関窓口には受付嬢がいるように、電話でもまず案内役の人をおくべきであろう。それが大変だから、人員削減と今では全て機械に代行させて客をコンピュータの音声に従わさせるのである。

 今回、これまで書いた各設定で、アサヒネットは繋がるまで少し待たされても機械音声でのガイドはなく、すぐにサポート窓口の人間に繋がった。そしてメールソフト設定もブログのパスワード再設定にも懇切丁寧で好感をもてた。しかし、今回はノートンのセキュリティソフトも「アクティブ化」の必要があると画面に表示されてしまい、そのやり方がわからずかなり難儀した。

 そもそも「アクティブ化」とはいったい何のことなのだろうか。つまり、きちんと設定しないとセキュリティ機能が「有効」にならないということらしい。しかしそのためには、パスワードをまた入れないとならないのだが、それがまた例によってこちらではわからない、記憶にない。
 で、仕方なくパスワードの「再設定」のためメールアドレスを知らせて向うからその設定のページを送ってもらった。しかし、そこの手続きでまた躓き、クリックしても先へと進めなくなった。そのままほったらかしにしておくとセキュリティソフトを入れてても保護されなくなる。仕方なく電話で相談しようとした。
 が、例によってその電話窓口すらすぐには番号がわからないのである。サイトをさんざん調べようやくシマンテック日本支社の番号をみつけてかける。するとコンピュータ音声で様々な窓口の番号が知らされる。それをトーン入力で指定すると録音された音声でかなり早口で、各対応先の電話番号が語られる。それを慌ててメモしてかけるとまた新たに細かい先の部署の番号が話される。それをメモしてかける。こうしたことを繰り返しほんとイライラしてきた。そしてついに「人間」に繋がった。
 それは日本語で話していたが、どう考えても中国人の女性でかなり早口で「ハイ、アリガトーゴザイマス、ドーシマシタカ?」と出て来て面食らった。思わずあ~とため息が出てしまった。

 友人の話だと、欧米圏では英語でのやり取りの場合、マイクロソフトでもどこでもサポートに電話するとインドのムンバイに繋がってそこの巨大サポートセンターのインド人が対応してくれるのだそうだが、ここもきっと上海かどこかに繋がったのではないかとその話が頭をよぎった。
 日本語でお互い話しているのだが、やはりイントネーションが違うので聞き返したり苦労する。こちらもあまり難しい言い回しは控えざる得ない。彼女の指示する通りにあれこれやってみたがやはりちっとも先へと進めない。しかたなく、彼女は「ダイジョブデス、デハ、コチラデ、エンカクソーサでヤリマスカラ」と画面を向う側が動かせるようにして彼女に全部設定を任せてしまった。なかなかてきぱきとして有能である。

 そんな風にしてかなり時間はかかったが、ようやくノートンのセキュリティソフト、アクティブ化が完了できた。終わった頃には彼女との関係も慣れて来て、気心も知れて何でも話せるようになった。お互いに別れ難くなってきたようでもあった。フィリピンパブとかチャイニーズパブは行ったことはないが、こうしたものなのかもしれない。互いに苦労すると人間は親しみを覚えるものである。このままもっと話したくなった。

 苦労はしたが無機的な音声ガイドと違い、生身の人間は良いものである。どうか「サポート」とは、メール対応だけでなくどの会社もニンゲンの電話対応を残して今後も続けてもらいたい。自分としてはそうした会社を今後も利用するし応援もしたい。そう、外国人でも良いのである。日本語が話せる方ならば。人は人と繋がりたいと望むものなのだから。