都知事選の結果に思う2014年02月09日 23時57分07秒

★宇都宮氏と細川氏、どちらに大義があったか      アクセスランキング: 157位

 都知事選は予想していた通りに舛添氏が当選となった。今、開票率98パーセントの段階で彼は200万票を超えている。そして次点に宇都宮氏が97万、そしてその後を細川氏が93万で追っている。自分が支持してきた宇都宮さんの当選はならなかったが、低投票率を思えば実に健闘したと言えよう。今思うところを書く。

 今回の都知事選は、先に出馬表明していた宇都宮けんじ氏に遅れて細川元首相が突然出馬し、脱原発票が二分されてしまったことは言うまでもない。原発に反対する人たちが即革新とは言えないまでも再稼働を容認する自公側が保守だとすれば彼らは左翼であり、そこに対立の構図と争点は確かにあった。
 しかし、その革新陣営側が、宇都宮、細川と二手に分裂してしまった段階で、舛添氏の当選はまず間違いなく確定してしまった。何故なら今も高い支持率を誇る安倍自民党と公明党の盤石のタッグの前には、無所属を言いながら彼らの全面的支援を受けた舛添氏に各々個々で勝てるわけがない。せめてどちらか一人が降りたとすれば、勝てたかはどうかは仮定の話で意味がなくも、良い勝負にはなっていたことだろう。だから一本化を求める動きはある意味当然でもあったとは思う。

 しかし、一部のサヨク文化人、知識人たちは、細川氏の立候補を受けて何をしたかというと、まず宇都宮氏に、都知事選から降りることを求めた。このままでは脱原発票が二分されて舛添氏を利するだけだからと。
 理屈はわかる。しかし何故に宇都宮氏側が一本化のために降りねばならないのであろうか。前回の都知事選にも出て次点にもなった人が後から出てきた人に唯唯諾諾従わねばならない理由はない。

 そして、宇都宮氏が応じないとなると、彼らは「苦渋の選択」だとして、「細川氏のほうが知名度もあり、あの小泉元首相の応援もあるので宇都宮より当選しやすいから」と元首相を支援することに動いた。今その彼らの名前は出さないが、一年前の猪瀬氏が当選した時の都知事選では宇都宮氏を支持してきたはずなのである。反原発集会では共に壇上に座っていたと記憶する。何故に細川氏が出てきたとたん、宇都宮氏に降りろと言い、通らぬとあの小泉元首相がバックにいる細川氏を推せるのか。自分にはまったく理解できなかった。その選択、判断が正しかったかは、この選挙結果に現れている。彼らの理屈に倣えばどちらがより当選しやすいかだ。

 それこそ、この大雪後の投票日となり低投票率の中でも前回のときよりも得票総数も増やしている宇都宮氏だけで「革新」勢力が一本化できていたらもしかしたら互角の勝負となり宇都宮都知事が生まれていたかもしれない。後から突然ひょっこり原発ゼロを掲げて出てきた元首相さえいなければと考えてしまう。元首相を当選しやすいから、有名だからとそんな理由だけで「脱原発」のみで無条件に支援したサヨク文化人には猛省を望む。あるいはこれも小泉元首相の舛添氏を当選させるための田舎芝居だったのかとさえ勘繰ってしまうのは俺だけか。
 あまり自民党内でも人望も評判も良くない舛添ではもしかしたら当選は覚束ないかも。ならば「泣いた赤鬼」的に、細川さんには噛ませ犬になってもらい、出馬させれば「革新」票と組織は分裂するから安泰となる。そう深謀遠慮彼のことだから、偽脱原発というオレオレ詐欺を働いたのである。

 と、迂闊なことを書くとまた誰が読むかわからない。冗談はさておき、先にも書いたように自分は今回の都知事選の争点は「原発の是非」だけだとは考えてはいないが、少なくとも脱原発を掲げた有力候補二名の合わせた票が、当選した舛添氏とほぼ同数のところまで接近しているのだから、その「民意」を政府は重く受け止めなければならない。田母神氏はともかくも舛添氏は再稼働は公言していない。自民党のエネルギー政策をそのまま肯定もしていなかった。彼が争点にしなかった原発論争で、脱原発候補が二人合わせてここまで肉薄したのである。

 あまり大手マスコミでは取り上げなかったが、今月3日、「このままでは共倒れになる」と脱原発陣営の分裂選挙に危機感を抱く「脱原発都知事候補に統一を呼びかける会」なる作家や弁護士、ジャーナリストら19人が宇都宮けんじ候補と細川護熙候補に一本化を求めるアピールをし日本プレスセンターで記者会見を開いた。※選挙戦も終盤となって投票日直前にそんな呼びかけをすること自体正気の沙汰とは思えないがそれはさておく。

  会見では老ジャーナリスト、むのたけじ氏が開口一番、「社会党関係者、共産党関係者、組合関係者いませんか? おかしいな? おかしいよ」と声を張り上げ「人民の幸せのためにまとめることができない政党は(選挙後)、吹っ飛ぶと思います」と、批判したと、あるニュースサイトで読んだ。いったい何様のつもりなのだろうか。その言葉を彼らにそっくり返したい。
 「都民の幸せのためにまとまることができないサヨク文化人・知識人は(選挙後)、吹っ飛ぶと思います」。原発ゼロを掲げたからといって「小泉氏がバックにいる元首相を担ぐなんて おかしいな? おかしいよ」と声を張り上げて。