風薫る季節に~コロナ禍における「死」について考える2021年05月05日 05時13分39秒

★コロナ自粛下のゴールデンウィークも終わるが

 五月五日の子どもの日である。風薫る爽やかな季節に、書くべきことではないのかもしれないが、「死」についてこのところずっと考えていた。

 実は、私事だが、父の体調が先月末から良くなく、どうしたものかとずっと様子見でいた。
 幸い今、今日現在は、持ち直していつも通りに施設に預けられて、向うからも異変の連絡はなく、明日の夕方帰宅する予定だ。やっと拙ブログにも落ち着いて向き合える気分となった。
 そう、この数日、父のことが心配で、容体が気にかかりどうなるかどうすべきか心在らずという状態であった。

 我が父は、このところ週末土曜日から月曜夕方までと、火曜から木曜夕方まで、二泊三日でそれぞれ別の老人介護施設にお泊りに行ってくれている。
 父をそこに預けて、食事から入浴まで職員に面倒見てもらっているから、我はこの家で何とか一人で生活できている。金はかかるが有難いことだとつくづく思える。
 父が在宅の日は、食事から睡眠時までかたときも目と手が離せず、犬の散歩や買い物等で家を空けることもままならぬほど彼の世話に時間とられる。我自身のことはその日はまず何一つできなくなる。
 何しろ齢96歳を超す、超高齢老人なのである。いつお迎えが来てもおかしくない。食べることも歩くことも自ら一人ではもうほとんど何もできないからともかく手がかかる。

 その父が、先日、5月1日、土曜日の朝、朝食を食べさせて施設に送り出そうとしたら、食事の終わりに突然食べたものをほぼ全部吐き戻してしまった。
 排便などがなくて食欲がないとき、無理強いして食べさせると胃がいっぱいとなってたのか、下に落ちて行かないのか結果的に吐くことはこれまでも何回かあった。
 が、確かに大便は溜まっていたようだが、その朝はわりとパクパク自主的に食べてくれたので、まあ一安心だと思っていたら、突然最後の最期に、急な吐き気に襲われたのかウブっとせっかく食べたものをほぼ全量吐き戻した。我も父も呆然とした。
 間もなく介護施設から送迎の車が来る直前であった。
 熱はなかったしコロナ感染ではないと思えたので、迎えの職員に事情を話して休ませずにその日はともかく施設に送り出した。
 翌日の日曜は、9日のコンサートを控えて、かけこみ亭を借りて練習の予定が入っていて、父が在宅だとそれは中止にせざるえない。

 父は我の手から離れたので、ともかく一安心だと思っていたらば、その日の昼過ぎにその施設から電話がかかってきた。
 また昼飯のとき、父は大量に吐き戻したという。聞けば、出された食事はほとんど食べずに、ほんの数口、口つけたとたんに朝、うちで食べたもの?を、まったく消化していなかったのか、胃に残っていた分を全部吐き戻してしまったようだ。
 今、横になって安静にしているという。
 今まで、吐いたとしても食事ごと二回続いたことは一度もなく、正直、まいったなあという思いしか浮かばない。どうしたものか。医者に連れて行くべきか? 熱はないので様子見ているが、何かまた異変が起きたらばすぐ連絡するとのことであった。

 けっきょくその日は、携帯電話を手に、いつまた連絡があるかとやきもきした。やるべきことも何も手につかない。
 その施設で悪化して不測の事態になったとしてもこのコロナ禍中、急患で診察は受けられたとしてもおいそれとすぐに入院はできないだろう。
 となると、在宅で我がこの家でずっと介護していかねばならない。翌日の練習だけでなく、5月9日予定のコンサートも父が家にいたら我は行けなくなってしまう。そしたら開催も難しいかもと。あれこれ最悪の事態を想定した。

 その晩、施設からは連絡はなかったが、夕飯が終わった頃にこちらから父の居る施設に電話をかけた。
 父は午後ずっと横になっていたようだが、その日の夕飯は粥状にしてもらい何とか少しは食べられて吐き戻さずにすんだとのこと。ほっと安堵した。
 そして、一昨日3日の月曜夕方、父は無事に送り返され家に戻って来た。幸いにして体調は戻りいつも通りに過ごしていたとのことであった。
 ただ戻って来た父は、食べていないからか、体力は落ちてだいぶ衰弱は進んでいる感じはした。
 
 その晩は、軽めに食べさせて早めに父を寝かせた。
 そしてまた昨日4日、火曜日の朝、吐き戻さないよう細心の注意で、少しでも多く食べるように促して不安を抱えながらも別施設に父を送り出した。以後、何か異変を知らせる連絡はないのでともかく父は無事で吐き戻しはなく何とか食べられて生活はしているようだ。
 やっと我も、今回は大事に至らず「持ち直した」と思えてきた。まずそのことをここに報告しておく。
 ※このまま食べても吐き戻すようなことがまた続けば、さらに痩せ衰えて死期を待つだけとなる。今の医学では、そうした患者に対して、お腹に穴を開けて直接栄養ドリンクを胃に流し込む「いろう」という方法もあるのだが、それはまた処置も管理も格段に大変となるので、もしそうなれば父はこの家では面倒見きれなくなる。

 そしてこの間ずっと考えていたのは、昨今よく報じられているコロナ関連死と「老衰死」についてであった。
 そのことについてもう一回書いてみたいと思う。