コロナ禍で文明終焉、危急存亡の秋2021年08月06日 10時03分48秒

★祭りのあとに来るものは

 8月に入り、連日猛暑と東京五輪、日本勢のメダルラッシュが続いている。何かの調査だと、日本人の七割以上が五輪開催は良かった、と肯定に転じているそうである。バッハ会長の思惑は当たったかのようにも思える。
 が、メディアが五輪中継に熱狂し、朝から晩まで明け暮れる中、削られたニュース枠ではコロナウイルス新規感染者の爆発的増加、日々記録更新が静かに控えめに報じられている。

 新規感染者数は日々、前日の人数を更新して、昨日5日はついに全国で1万5000人を超え、東京では一気に5千人を超えてしまった。
 しかも緊急事態宣言とか蔓延防止何たらをあちこちに出したところで、感染抑止の効果は全く出ていないのだから、この数字はさらに今後も増え続けることは間違いないと思える。
 日本人の多くがオリンピックに熱狂し、現実を忘れているうちに、菅政権は、医療専門家の長である尾身会長に諮ることなく勝手に仲間内だけで、中等までの軽症者は、入院せずに自宅療養でという方針を決めてしまった。
 これは、まさに棄民政策であり、重症者のためにベッド数を確保するためだとしても、重症、重篤になって入院していたのでは手遅れとなる可能性が高いのは間違いない。

 我のように老いてきて一人暮らしの者は、コロナの症状が出て自宅に一人で寝込んでいたら、買い物も行けなく何も食べるものも作れず自らで我が身を看護することなんかできるはずもなく、結局症状が悪化したらば意識失い救急に連絡することもできず孤独死してしまうことだろう。
 また家族がいたとしても、一人感染者が出てしまえば、家庭内で万全の感染防止策などとれるはずもなく、家庭内クラスターが起こるのではないか。感染症は、個人が家庭内で看護することは危険なのは言うまでもない。

 この方針転換、国会にも与党内にも一切何も連絡も相談がなかったから、とうぜん政権与党内からも猛反発を受け、またしても菅内閣は一部前言撤回、中等症でも医師の判断で入院できる、としたらしいが、どれほど訪問看護ができたとしてもそこから漏れる者は出るだろうから、もはや万策尽きて死者は増えても仕方ないという「棄民」政策であると断言する。※それでも彼らはワクチン接種率が高まればやがては終息すると甘く期待しているのだろう。

 だが、いま、オリンピックに日夜熱狂し、感動、興奮している方には失礼だが、事態は本当に危機的、最悪の状況であり、我はこのままいくと、一つの文明が終焉のときを迎えるのではないかと案じている。そう、日本だけでなく全世界的に。
 かつて、ギリシア文明や古代ローマ帝国、アレキサンダー大王の帝国、フビライ・ハンの蒙古、さらには大英帝国、ナチスドイツとファシストイタリアとのヨーロッパ侵攻と結託した大日本帝国の大東亜共栄圏など、さまざまな文明や帝国、国家が栄えては滅んできた。
 そして今、我々の文明は、第二次大戦後の戦後体制として、基本として自由と民主主義の体制、人権が保障されている文明を共有認識として築いてきた。※むろん反する政治体制の国家も少なからずあるが。
 だが、このコロナウィルスという感染症大流行によって、全世界的に多くの死者が出、しかもその多くは、ワクチン接種も含めてきちんとした医療が受けられない貧困層だとするならば、人類全体の人口が激減するだけでなく、いわゆる「第三世界」の人々は消滅してしまうことになるのではないか。
 先進国においても高度の医療が受けられる裕福な人たちはともかく、我が国でも低所得者、生活困窮者層、年金の少ない一人暮らしの老人やひとり親家庭などでは菅政権の「棄民政策」によって多くの死者が出ることも予測される。
 竹中平蔵たち、自分ファーストのエコノミストたちは、そうした負の遺産的人々が消えてしまうことは良いことだと考えるかもしれないが、経済は金持ちだけで動くとしてもそれを支える層が消えてしまえば、経済そのものが成り立たない。

 いま、一部の先進国、米英などではワクチン接種普及のおかげで感染者、重症者は減り、コロナは終息に向かいつつあり、経済も回復してきたと胸を張っているが、果たしてそれは本当だろうか。全世界的にもそうなるとは我はとても思えない。今も、世界のあちこちから感染再拡大が報じられている。
 ウイルスは変異を繰り返してまた各地各国で新たな流行を繰り返す。その都度、富裕層とその国家は何度でもワクチン接種するだろうが、ワクチンを打ったからといってリスクが減るだけで絶対罹らないわけではない。

 経済人は、このコロナ禍もやがては終わり元通りの日常が戻る、経済も回復すると考えているようだが、おいそれとは行くまい。特にこの後手後手の思い付き対応に明け暮れている日本では特に。
 コロナ感染の報が出てから一年半も過ぎたのに、第5波まで何度でも「これが最後のがまん」と自粛を強いつつ感染拡大を繰り返し起こし、ついに過去最高の爆発的数字となってしまった。
 そしてまさに打つ手なしの状況となり、病床満床、医療崩壊となるから、軽症の皆さんは自宅で療養、どうかご自愛ください、という無責任な方針転換の「お願い」となったのである。

 コロナは天災かもしれないが、それで助かる命も助からずに死んでいくのは、まさに政治による人災であり、自公政権、菅首相こそ「万死に値する」と声を大にしてこれを記す。

 危急存亡の秋(とき)なのである。オリンピックどころではない!!!