失ってしまったものとこれから来るべきものと2021年08月16日 13時07分45秒

★私ごとを書かせてください。

 東京五輪が終わったとたん、雨模様の日がずっと続いている。おまけに真夏だというのに肌寒い。まさに異常気象である。
 連日コロナの全国的に新規感染者と重症者の数が日々更新中の感染爆発に加えて、この数日来、九州、西日本、関東でも甲信で、記録的大雨による土砂災害が多発して、まさに人災と天災のダブルパンチにこの国は見舞われている。
 ここ東京でも今は、雨はいったんやんでいる曇天だが、一昨日から断続的にずっと降り続いていて、また今夜から再び活発な雨雲がやってくる、と予報は強い注意を呼び掛けている。
 いったいこの国はどうなってしまうのか、と誰もが先行きを思うと不安になろうかと思う。
 そんな危機的状況のさなかであるが、勝手ながらごく些細な個人的なことを書かせてもらう。これを書かないことには次へと進めない。申し訳ないが。

 いちばん危機的、末期的状態にある我が父は、幸いにして老衰進みつつもまだ何とか健康は保ち、ルーティンであるショートステイなどに行ってくれている。
 父のことはさておき無事、大事ないとして、私ごとである。

 まず、クラッシュしたパソコンのことから。
 7月の「共謀」コンサートを終えた翌日に、突然ハードディスクがいかれて、電源は入るもののOSが起動しなくなった、長年使い続けてきた東芝ダイナブックの、ウインドウズ8.1が入ったデスクトップパソコンであるが、けっきょく、メーカーの修理センターに出しても修復不能、データすらも取り出しできないとのことで、返送されることになった。
 近所の民間修理センターから立川の同様の修理専門店、さらには藁にもすがる思いで、メーカーにも送ったわけだが、けっきょく打つ手なしという「結果」となってしまった。

 東芝のサポートにまず電話相談した段階では、その機種は生産終了後時間も経っているのでもうパーツはないから「修理」はできないだろうが、中のデータだけは「救出」できるように言われたのだが、ハードディスクの損傷が激しく難航している、と連休明けにまず電話があり、予想はしていたが、一昨日データすらも取り出せないとまた電話があった。
 この先は、外部の専門業者に出して、そこの無菌室の中でハードディスクを分解して取り出してみる作業を依頼することもできるが、それにはおよそ10万以上かかるし、たとえ何もできなくと3万円~の依頼費がとられるとのことで、もはや断念するしかなかった。
 我としては、パソコン自体は元に戻らなくても最悪、データはきっと戻ってくるだろうと祈り信じていたので、やはり覚悟はしていてもショックである。

 何が惜しいと言えば、取り戻したいデータ、まずマイドキュメントの中、自分がこれまでメモ的なものも含めて書き記したものにはさほど思い入れはないのだが、他人から送ってもらったライブ音源や記録映像など、ダウンロード的に届いてそのままパソコンの中に取り込んだままにしていた貴重な物ものがすべて失われてしまったことが特に悔やまれる。またネット上からこれまで取り込んだ様々な「情報」や「記録」なども。そこにアクセスする「お気に入り」なども。
 また何よりも損失なのは、京都の詩人・有馬敲氏を招いて中川五郎氏らフォークシンガーとコラボした、先年阿佐ヶ谷のライブハウスで我が企画した『詩とフォークソングのイベント』の映像などで、それは録音も含めて専門にしている方に依頼して録ってもらったのだが、データとして送られてきたもので、何とかダウンロードしてパソコンには取り込んであったものの、DVDなどにバックアップとってなかったのだ。
 音源だけは、CDに焼いたものがどこかにあるとは思うが、この貴重なコンサートに関係するものが資料的な意味も込めてほぼ一切すべて今回のパソコンクラッシュで失ってしまったことは本当に残念無念というしかない。
 その他、個人的にはとても貴重かつ大事なものも結果として雲散霧消してしまったわけで、今になってあれもこれもと思い出すにつれて胸が痛くなるような思いでこの数日過ごしていた。

 しかし、今はこうも思う。大地震や津波、洪水などで家そのものを破壊、流され持ち物全てを「消失」してしまった方や、何よりも自らの命という一番大切なものを喪ってしまった人に比べれば、これはまったく大したことはない、些末なことなのだと。
 自分はまだ生きているし、失ったものはおよそ約10年未満の「過去」の記録だけなのだ。記録は失っても「記憶」はしっかり残っているではないか!
 我は、近年このところ外付けのハードディスクに、企画したイベントの音源、画像、映像など自ら録ったものは、パソコン本体ではなくそちらに入れていた。
 パソコン内には、HD導入前までの録りためた録音、録画、写真などが入っていたわけだが、それも基本、本体のSDカードなど元データの消去はまずしていないはずなので、また一枚一枚探し出せば「復元」できるはずだ。
 ただ、これからまず一番面倒だと思うのは、チラシ作成時のフォーマットなど、長年作り上げたワードやエクセルのプラットフォームをまた一からきちんと作り直さないとならないことで、歌詞カードも含めて使いまわしはもうできないことを思うと気が重い。
 憂歌団のうたにタイトルは失念したが、サビが「♪1からから出直し、やり直し~」というのがあった。
 1から出直しのものはそう多くはないし、ともかくこれを良い機会、きっかけとして、ここから「仕切り直し」として本当に人生を再スタートしていきたいと強く願う。
 ※これからは必ずいくつもバックアップを取り、文字データなども紙焼きして残していく。

 今までは何にせよ、我はすべてにだらしなく、過ぎた物事は常にそのままほったらかし、出しっぱなしにしてきた。結果、いざというときには混乱して事態はさらに悪化、混迷するばかりだった。
 それもこれも忙しさを「言い訳」にして常にきちんとその場そのときに「対処」してこなかったからで、今回のパソコンの一件は、お仕置きとして善きチャンスであるように思える。常に愚かな者は、実際に痛い目に遭わないと何も自らでは変わらない。
 中世の修道士たちは、常に「メメントモリ~死を思え」と警句を日々口にしていたと聞くが、ある意味、先のことなど神以外に誰も何もわからないのだから、常に「そのとき」を覚悟して備えておくべきだったのである。
 我は、実は今日が戸籍上の誕生日で、気がつけば60代半ばにならんとする歳になるのだが、だいぶ残り少なくなった人生を憂い嘆くよりも、まあ、七十代末までは今まで通りに動けれると楽観予想して、まだ約15年は人生は残っていると信じ、今さらながらだが、ここから仕切り直して、生き直したいと願う。
★友人知人関係の連絡先などもパソコンに入ってた分はなくなってしまったわけで、もし今これをお読み頂いた方は、お手数だがご連絡頂きたい。こちらからは連絡不能なのである。

 ビートルズのうたで、ボールが作ったとされる「ホエン・アイム・シックスティフォー」、邦題は「僕が64歳になっても」というのだったかが、今頭の中を流れている。
 恋人に対して、僕が64歳の髪の薄いお爺ちゃんになっても、君は僕を変わらずに愛してくれるかい?というプロポーズのうたなんだが、今、自分がその年代になってみて様々な感慨がわいてくる。※余談だが、中塚正人氏の名曲「風景」はこの曲にインスパイアされたかと今気づく。

 うたにあるようにとは違い、僕には孫もいないし団炉端でセーターを編んだり料理を作ってくれる彼女もいない。
 昔、聴いたときには、ずっと先のこと、64歳になる頃には、そんなのんびりした悠々自適の暮らしが送れるのかと漠然と思いもしたが、現実はまさに今も昔も変わらず生活に追われ火の車、トラブル多発の火宅最中である。
 ただ、年だけが気がつけばそんな歳になっていただけの話で、まさに浦島太郎的にただただ不思議な気がする。今も信じられない。自分の中では何一つ変わっていないのに、だ。
 ただ、またこうも思う。
 愚かさ故に事故などで何度も命を落とすような危機にも遭ったが、幸いにして何とか死なず大過なく、臆面なくもこうして無事に今も生きている。
 まさに神のご加護があったからで、我こそはとっくに早死にしても仕方ない人間だったし、人としての価値など誰よりもなかった。
 それでもここまで何とか生きながらえてそのビートルズのうたの歳まで生きているのだから、まさに運のいい有難いことだと言うしかない。

 最愛の母もパソコンの中のデータも失ってはしまったけれど、我はまだ生きてここに在る。ならば、失ったものや過ぎたことをあれこれ思い惜しみ悔やむよりも、これから来たるべきものを心待ちにして、そのすべてときちんと向き合い、精一杯のことを返していこう。我が関わる、関わりあえるすべてのことどもを愛し慈しもう。

 我にまだできることがある。すべきことがある。ほしいものが今絶対的に必要なものであるように、できることもすべきこともすべては一つなのだと今気づく。
 おかしな話だが、自分はこんな場所にいたのか、と今回やっと気がついた。そう、ここから 始めていく。

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