「泣いた赤鬼」のような気持で2024年10月23日 23時01分00秒

★一人で会場ホールの片づけを進めていく

 27日の日曜、本番当日まで残すは三日となった。が、未だ会場設営以前の状態、つまり場の片づけ、掃除にただ追われている。
 そして改めて思うのは、自分一人では何一つできないニンゲンが、たった一人でいったいどこまで何ができるのか、だ。

 『泣いた赤鬼』という童話がある。おそらく誰もが一度は読んだことがあるだろう。
 赤鬼は、人間と友達になりたくて、お茶とお菓子を用意して、人間が来るのを待っている。が、人間たちは赤鬼はとうぜん鬼だから、怖れて赤鬼のところへは誰も行かない。
 哀しむ赤鬼を憐れんで友人の青鬼は、一計を案じ悪役を演じて赤鬼を引き立て結果として人間たちは、赤鬼のところへ通うようになる。が、青鬼は、赤鬼の前から姿を消してしまう。赤鬼はその友の自らを犠牲にした友愛に気がつき哀しみ深く泣いた、というお話だ。

 一人で会場となる食堂ホールの床にモップかけしたり、折りたたみ椅子を雑巾で拭いたり、荒れ果て草ぼうぼうの駐車スペースの草むしりなどをしながら、ふとその童話を思い出した。
 そもそも何で、鬼のくせに赤鬼は、人間たちと友達になろうなんて考えたのだろうか。鬼は鬼だけで、人間などと交わらわずに山奥で静かに隠れて暮らしていればよいはずなのに。
 お茶とお菓子を用意して待ってます、と貼り紙したとしても鬼のところへは人はカンタンに足を運ぶはずがない。
 が、友人青鬼の一計が功を奏して、人間とはやっと友達になれたものの、赤鬼は、大切な友を失ってしまったのである。

 そしてまた思う。自分の今やってることは、その赤鬼の願いのようなものではないのか。しかも自分には彼を助けてくれる青鬼はいないのである。
 いや、我にも少ないが数人はそうした友はいる。が、今回はそれぞれ諸般の事情で、助けにも手伝いにも誰も来てくれない。いや、忙しく来ることが出来ないのだ。それもまた仕方ない。結果として青鬼を失わずに済む。

 そして気がついた。赤鬼は、なんで人間と友達になりたいなどと思ったのか。
 彼は自らの世界を広げたい、外の世界と繋がりたいと願ったからだったのだと。その気持ちは今の自分は痛いほどわかる。
 我もまたこの人間社会とは相容れない「鬼」のくせに、愚かにもまた外の世界とつながることを夢想してしまった。
 ならば青鬼のいない赤鬼は、たった一人で場を拵えて「フリマとフォークソングのライブ」をやります、皆さん来てください、とお客の来るのを待つしかない。

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