都議選の結果に思う2017年07月03日 00時51分35秒

★自民は歴史的大敗、しかし手放しで喜べない。

 結局都議選にしろ、都市部での選挙というのは、そのときどき吹く風で、常に結果は一方的なものになるのだと今回も改めて思った。
 予想してはいたが、自民党は過去最低の議席数に堕ちた。それは大いに喜ばしいが、小池都知事率いる都民ファーストの会とその補完勢力となった公明党も含めて都知事与党が異常なまでに増えたことが果たして都民にとって、いや、ひいては国政を占う選挙として果たして良いことなのか今は判断ができない。

 我が住む街の都議は定数1なので、予想通り民進党を離党した元市議が自民と共産の新人に大差をつけて当選を果たした。自民党の新人は落下傘候補で、まったく知名度がなく共産党ももう少し票をとれると思っていたが、まさに選挙とはそのとき吹く風に乗った者の勝ちだとつくづく思う。今回の都議選は、あたかもドミノ倒しというかオセロゲームのような都民ファースト側の一人勝ちという顛末となった。

 自民党は、選挙前から、都知事自らが代表を務める政党の議員が増えてしまうと都議会は都知事の意向にただ従うイエスマンばかりとなるとさんざんその危険性を警鐘していた。
 まあ、数の力に驕った安倍独裁政権を衆参国会でさんざん許して来た自民党に言う資格はまったくないのだが、その指摘が現実となった今、東京都、都議会はこれから小池都知事と共にどこへ進むのか我も強い不安がある。

 国政と都政はまったく別だというか考えもあろうが、今回我が住む区で「都民F」から都議会議員となった男の師匠はあの長嶋昭久なのである。野党共闘を否定し、共産党といっしょにやるのは嫌だからと先に民進党を離党した男が今回当選した都議の真のボスなのである。だから当然の如く、長嶋氏もこの元秘書を応援していたし、おそらく新都議となった今でも二人の関係は深いはずだし、小池都知事も含め彼らの間には旧来の自民党的「保守」思想が根強く残っている感じが我はする。

 その長嶋氏は、先の「共謀罪」法案には民進党は反対したのに、しっかり「賛成」票を投じているのである。小池都知事は自民党を批判し自民党とは縁を切っているわけだが、もし今も国政の場にいれば、自民党の出して来た悪法には当然すべて賛成していたことだろう。何しろ元々自民党の人なのだから。
 そうした姿勢、お考えの人が都知事となって、その巨大与党を率いて、行う「東京大改革」とはいったいどういうものなのか。それは少数野党となった自民党がやろうとしていることとどこがはっきり違うのであろうか。今回の都議選、都議会を新しくするというキャッチフレーズは聴こえてきてもその中身はよくわからないままだった。

 今回の選挙ではさんざん敵対反目し合ったが都知事とその与党「都民F」、公明党とはっきり対決する政党は、自民党だとはどうしても思えない。自民党都連の誰だかが、選挙結果を受けこれからも是々非々で都知事を支えていくとか言っていた。都議会の皆がそんなことを言って、都知事の顔色をうかがい、いつしかその配下に収まってしまうのでないか。そんな不安を強く持つ。

 自民党と共産党はまったく異なる。が、自民党と都民Fはどれほど違いがあるのだろうか。都知事と都民Fがやろうとしていることに、野党である共産党と自民党がいっしょになって反対することはまず想像できない。ならば結果として、都議会で都知事の野党としてきちんと対決する立場にあるのは、共産党だけではないのか。しかしそれではあまりに非力だろう。
 その共産党は、期待したよりも伸びなかった。現有議席を二つ上まったが、文京や中野区など持っていた議席を落として国政の怒りの受け皿として不満もつ無党派票は、都民Fに流れてしまった。

 一方、常に勝ち組と手を組み、今回は自民より小池新党側にくっついたほうが勝機があると踏んだ公明党はさすがである。まさに「ぬえ」のようにふるまい、蛭のように旨味のあるところにくっつく。そこには政党としての思想や主義は何もない。しかし、今回は落日の自民を見限ったことで、またしても完勝した。その選挙手腕には舌をまく。しかし、政党としてただそのときどき強いもの、権力を持つ者に寄り添い無節操に従い誰とでも手を組む姿勢はまさに噴飯もの、軽蔑に値する。昔話にあるように、蝙蝠はやがては誰からも相手にされなくなるだろう。

 まあ、それでも選挙は勝った者、支持されたものの勝ちであるわけで、どれだけ選挙戦では手ごたえあり、健闘しようとも当選できず議席に届かない者は、ただの人であり何の力もない。まさに結果が全てであり、今回の都議選は、国政での安倍政権の無法、非道への怒りと批判が示されて都議会自民党の一人負けと、熱狂的支持は下がりつつあると言わても、今も未だ人気が高くその怒りの受け皿として小池与党の圧勝という明白な都民の意思、審判がくだされた。
 そしてこのことは国政にも大きく必ず影響していく。今回の選挙でNHKによると、安倍政権の支持率は、支持が43%、不支持が57%と完全に逆転した。この流れは、内閣改造程度では戻せやしない。
 
 一強独裁、盤石の支持率を誇って来た安倍政権もようやく終わりの時が見えて来た。そう、元々その支持は絶対的な熱いものではなかったのだ。ただ現政権に代わり得る選択肢がなかったから、国民は彼らに任せ、仕方なく支持していただけのはなしで、今回のような代替の新たな政党、期待が持てそうな新党がそこにあれば、誰も腐り驕れる自民党なんて支持しない。
 この流れを受けて、やがて都民F、小池新党は彼ら小池チルドレンを引き連れて国政にも進出するだろう。だが、その政党は自公政権といったいどこが違うのか。そもそも政治経験のほとんどない小池チルドレンは、安倍チルドレンと政治家の資質においてどれほど違いがあるのか。
 おそらくその先にはまた、先の民主党政権のように失態と混乱、そして失望が起こり、またしても自民党に支持が戻るのではないだろうか。
 こうした手法は、小泉元総理が編み出したものだ。小池都知事はまさにその彼から学び、巧みに明白な敵をつくりそれを攻撃して常に勝利を収めていく。
 しかし、真の問題は、その「敵」も攻撃する側も実はほとんど差はなく、まさに同じ穴のムジナの争いに過ぎない。ならば公明党がそのとき時どちらにつこうが、まさに政局を読んだ正しい生存術なのである。
 
 だが、それでは政治は何も変わらない。政治は選挙で敵対することも大事だが、それ以前に、議会で議案をていねいに審議し、政策論争で敵対し議論を重ねることこそ真に大事なこと、大切なことであるはずだ。米国に見るように、議会と大統領は本来敵対しないとならない。首相や都知事のイエスマンならば議会や議員は必要ない。
 果たしてこの都議会にそれがあるか、示せるか、見守るしかない。

都民と「都民ファースト」は国民の怒りを代弁したのか2017年07月03日 09時13分16秒

★真に恐るべし、小池百合子~日本初の女性首相になる女

 一夜明けた。前回のブログは、今回の都議選の最終当選者が確定して大勢が判明してからすぐ書いた。
 結果として自民党が大敗して嬉しくないはずはない。我もだが、溜飲下げた人も多いかと思う。ようやく安倍政権に一定の鉄槌は下った。この歴史的大敗は、まさに彼らが国政でしてきたことに対して国民の怒りが都民に託された証明でもあろう。

 彼らは他に代わるべき敵なしの一強の上にあぐらをかき、自らの疑惑や不祥事は隠し目をつぶり、数の力に驕ってまさに思いのまま、やりたい放題の悪政、暴挙の限りをしつくした。
 稀代の悪法を反対する国民や野党の声を無視して次々とろくに審議もせずに可決成立させてきた。こうした強権、暴走、驕り高ぶり腐りきった強権政治に怒りの審判がついに下ったのだ。

 しかし、その自民と暴走政治の一翼を担ってきた公明党は、今回は自民を見限り、都民ファースト、(以下都民F)とくっつき、またも完勝してしまっている。彼らは都政と国政は別で、これからも国政では自民党と連立し政権を支えていくとすまして言っている。
 悪政を重ねた自民党だけが大敗し公明党は無傷という、この「民意」に首を傾げるのは我だけだろうか。
 
 国民、都民の怒りの受け皿は、本来は共産党や民進党に向かうべきはずであった。小池新党がそれを担ったのは、まさに党首、小池都知事の巧みな政治手腕ならぬ、政局把握、操作手腕があったからだと感心せざるえない。
 今回の都議選での各党代表のインタビューを見ていて、彼女の堂にいった浮かれることのない冷静沈着の対応を見て、この女、真に恐るべしと今さらながら気がつく。まさにクレバー、真にしたたかである。
 自民党の二階幹事長は、ベテラン政治家で、それなりに常識もある方だと我は思っていた。が、各種マスコミの自民批判の報道にキレて、愚かにも「落とすなら落としてみろ」などとバカなことを口走ってしまった。
 まるで子供じみていると呆れ果てた方も多いだろう。そうした政権中枢にいるベテラン政治家の迂闊かつ不用意な発言が今回の都議選に少なからず影を落としたことは間違いない。
 大勝しても浮かれることなく冷静かつ謙虚な小池都知事の対応を見て、彼女は今の自民党男性議員、二階氏や麻生太郎たちが束になってもかなわない、一枚も二枚もすべて彼らより上だと我は確信した。そもそも親の七光りを浴びて苦労せず育ち家業として政治家をついだ輩とは出自も経歴も違う。まさに役者が上なのである。
 
 考えてみれば、最後は自民党に籍を置いたとはいえ、彼女は元々政界渡り鳥と揶揄されたごとく、まさに女ながら徒手空拳、たった一人でここまで政治家として生きて都知事にまでのし上がって来た才覚の持ち主なのだ。
 親代々の地盤と後援会、ネームバリューのある二世三世議員とはまったく異なる。学歴も何か怪しいエジプトのカイロ大卒であるし、彼女ははなから常に一人で風を敏感に読み、政界を巧みに渡り歩き、そして都知事にまで成りあがり、今回その配下に巨大与党を抱えるまでになった。その処世術は伝説になろう。
 女性を蔑視する気持ちはない我でも、女だてらに、しかも孤高の身でよくここまでのし上がったと心底驚嘆する。それだけ頭も良く、人間的にも人心掌握と世論操作に長けているのであろう。

 今回も都議会自民党という「敵」をはっきりまず想定し、その敵を共に倒す仲間を募った。常識的には民進党がパートナーに思い浮かぶ。しかしクレバーな彼女は、このままでは大敗の道連れになると危惧してすり寄って来た公明党とまず選挙協定を結ぶ。さらに生活者ネットまで手を伸ばし、桃太郎よろしく彼らを引き連れ都議会自民党を倒しに行く。離党者が続出している民進と組んでいたら、これほどの勝利はありえなかった。ここでも彼女の政治的才覚が発揮された。

 迷走した五輪費用負担や豊洲移転問題などもあって小池都知事の人気にも陰りが見えて来ていた。しかし、彼女は、都議選という好機をとらえ、自民党に対する国民的批判と怒りを追い風にして自党を大勝に導いた。これで都政運営は安定し彼女の支持率もまた盛り返していく。女でここまで頭が切れる人は他に思い浮かばない。
 まさに政治的才覚に長けている。中身の見えないがわかりやすいキャッチフレーズを用い、倒すべき政敵をしたて選挙を勝ち抜く。しかも失策があろうと自民党男性議員のように慌てふためき愚かにもマスコミ攻撃など口走ることもない。今はその穴が何も見当たらない。

 この女が都知事の座で落ち着きそれで満足するとは思えない。自民党安倍一強体制がくずれていけば政界再編が起こり、そのとき日本初の女性首相に彼女はなるだろう。
 政治の世界は先のことはわからないから、迂闊なことは断言できないが、今、女性でこの国の総理大臣に一番近いのは彼女だと断じておく。一番遠いところにいるのは近く罷免されねばならぬ稲田防衛大臣だが。
 この女には男の政治家が束になってもかなわない。真に恐るべしは小池百合子なのだ。彼女がこれから何をしていくのか目が離せない。まずはほんとうに「都民第一」の政治をしてくれるのだろうか。