木の葉舞い散る晩秋の公園で、2022年11月09日 13時34分50秒

★半年ぶりにギターを手にして1曲唄った

 この秋は、何か天気がすっきりせず雨や曇りの日が多かった気がするが、11月に入ったらようやくカラッと晴れた秋晴れが続くようになった。
 立冬も過ぎ、そんな小春日和の爽やかな秋の日の午前中、近くの公園で、友人が企画するオープンマイクの集いがあり、誘われたこともあり顔出して、久方ぶりについ1曲だけだが唄う機会を得た。
 その集いは、日本野鳥の会ならぬ、日本野音の会、という名の月一イベントで、毎月第二火曜の午前に開催してとのことだった。
 音楽のイベントは、今春4月に、谷保かけこみ亭での、我自らが企画したウクライナ支援の反戦コンサート以来であり、請われて友人のギターを借りて実に半年ぶりにギターを手にしてみた。むろん声出して唄うのもそれ以来である。
 何というか、風で舞い落ちる公園の樹々の落ち葉を見ながら、久しぶりに生での音楽を聴いて、ただただ感慨深いという思いしかなかった。
 我にとって、この半年、音楽は身の周りにも心の中にも一切なかったのである。

 世の中には、常に周りに音楽がある人とそうした環境もあるだろう。我が時おり行く、個人経営の八百屋では、いつでもCDなのだろうが、80年代の日本のポップスが必ずかなり音量で流れていて、よくまあ飽きないものだと感心する。
 それは中森明菜とかプリンセスプリンセス、安全地帯などで、つまるところそうした音楽を若い頃によく聴いていた世代の夫婦が、今は中年となり、かつて好きだったそうした音楽を店を開けている間、ほぼエンドレスで流しているのである。
 この我も好きな音楽はとうぜんあるし、かつては家では仕事の合間にFMと交互に好きな洋楽のCDをよく流したこともあった。
 が、近年は、父の介護や様々な状況からかかってくる電話を待つことも多くなって、そのときすぐに電話の呼び出し音が聞こえるよう、身の回りは常に「無音」で過ごすのが日常となってしまった。

 そう、夜だって、下の部屋で寝ている父の物音に耳を澄ますためにも音楽などかけることは全くなかった。
 夜は、テレビなどは音を出して見聞きしているが、それだって父が在宅の時は別として、できるだけ音量は低くしていた。
 そうした「無音」の習慣が今も常態化しているわけだが、父亡きあとは、考えてみればもはや何も無音にする必要も耳を澄まして待つことも不要なのである。

 ただ、早朝に目覚める習慣もだが、人は一度決めた日常習慣はなかなか改めたり終わりにすることは難しいものだ。
 この半年、父がコロナに罹り、入院している間も、いつ病院から急な電話連絡があるかと思い、携帯を身近に置いて一切音楽も外の音も断ち切っていたので、父の死後もそれが続いていた。
 昨日、久しぶりに、ギターを手にして、そうか、もう、音楽に再び向き合っても良いのだ、ギター弾いたり、CDを流したり、身近に音を出して良いのだと当たり前のことに思い至った。
 世の中には、つねに音が、音楽がないと息苦しかったり、心身に不調をきたす人もいるかと思う。ギターや楽器だって、本当に好きで頻繁に弾かないと自らも調子がくるってしまう人もいよう。

 我は違う。音楽は外側に在るものではなく、我が内、つまり身の裡、脳内にあるものだから、外にそれがなくてもちっとも困らない。
 たまに、街に出て、入った店などで流れていた音楽でも、聴けば内に反響して、焼き肉の臭いでご飯が食べられる?ように、その音楽が脳内に反響して、しばらく鳴り響く。
 しかし、それがくだらない、我の好きではない今時の騒がしい忌む音楽だと、またそれは辛く苦しい時もよくあることだが。

 さておき、ならばもうこれからは、自分の好きな、今も昔も好きな音楽にとことん耳を傾けられるのである。
 ギターももう一度、練習し直して、好きなだけかき鳴らし唄うことだってできるのだ。
 そして自分なりの「うた」だって作れる。
 そうか、また音楽を始めれば良いのだ。また再開できるのだ。やっとそのことに気づかされた。
 さあ、また音楽を、ギターを、うたを始めよう。やっとその時がきた。
『終わり 始まる』とは、某シンガーのアルバムのタイトルだったと記憶するが、一つのことが、終わり、そして、始まっていくのだ。

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