より安く、の先にあるもの2010年11月10日 09時48分51秒

★日本の農業を壊滅させるTPP交渉に断固反対する

 世の中には商人とそこから購う者がいて、単純に言ってその両者で成り立っている。売り手と買い手、生産者と消費者といってもかまわない。複雑に見れば、そこに仲介業者や流通業も絡んでくるし、金貸しや銀行などまた別な金の流れもある。しかし、基本は売る側と買う側である。しかし、ときにモノによっては買い手が売る側にもなることも多々ある。

 自分もまた商売人の端くれとして、古本などを売っていて思うことは、売り手としての立場だとより高く売って儲けたいと考えるのは常であり、また買い手の側に立つと、1円でも安く買いたいと願うのは当然のことだろう。ものの値段とは、経済学を学ばなくともそのせめぎ合いの中で決まっていくことは誰だってわかる。
 そして、商人としての自分の中にも消費する側も存在しているわけで、本でも何でもモノを売るときは、買い手の気持ちに多少の忖度はしてしまう。高く売りたいけれど、これでは高すぎる、売れないだろうとよく思うし、もし高値をつけた本が売れると嬉しい気もする反面後ろめたい気持ちになるときもよくある。商売とは自分の儲けだけを考えてはならないという格言もある。

 それはともかく、デフレ時代、モノの値段はどんどん下がって、売る側は売るためにはより安くせざるをえなく、買い手としてはそれでもまた更に1円でも安く買いたいと考えて、またさらに値が下がる。
 先にちょっと書いたアマゾンマーケットプレイスでの商売も、結局古本の価格は日ごと下がり続け、他より安くする競争に明け暮れ、限りなく1冊1円に近づいて、ついには1円本ばかりになってしまっていた。それでも配送代から僅かな儲けが出るとしてもそのことで、良いことはほとんどない。本それ自体の価値も下がるし、儲けは出ず手間ばかりかかって結局商売自体が成り立たなくなる。それは送料別として1円で本が買えたと喜ぶ購入者にとっても実は長い目でみれば決して良いことではない。
 自分も以前ならば1円でも安いことは良いことだと考えていたが、商売を始めてみると、安さばかり追っていくと、結局誰にとっても金が回らず、挙句は経済自体立ち行かなくなってしまうことに気がついたのだ。

 安いことは良いことだという「安さ神話」ばかり信奉していると、やがては品質の低下以前に、結果売れなくなってその産業自体が成り立たなくなって物自体がなくなってしまうことにもつながっていく。産業が衰退するばかりでなく、消費は伸びず給料も上がらないし、国力自体が失われていく。

 今極悪亡国菅内閣は、突然TPPなるものへの協議を開始すると表明した。もし日本がこれに参加したらこの国の農業などは壊滅し先進国最低水準の食料自給率は更に下がることは確実である。より安く、米や野菜が買えると喜ぶ愚かな消費者はいるかもしれないが、外国にこれ以上頼るとレアアースではないが、もし供給が止められたとき餓死してしまうことに即繋がる。輸出産業界は手放しで喜ぶだろうが、人はまず食わねばならないのだから、国家は国民の食を常に保証する義務がある。
 このことはもう一回だけ書きたい。

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