ヒーロー堕つ、落日の橋下氏。2013年05月17日 22時28分54秒

★米国を敵に回した彼に未来はあるのか。

 お里が知れる、という言葉がある。人は窮地においてこそ冷静さを欠いてはならない。
 どんなケンカ、トラブルにおいても、コトをともかくも収めようと思うならばまずは頭を下げるしかない。本意でなくても文句あってもだ。そこで逆に相手方の非をついてはさらに泥沼の諍いとなり事態はドツボにはまっていく。
 弁護士であるならば、そうした交渉ごとのイロハは知っているはずだ。なのに、アメリカに口出しされて、頭に血が上り、さらに切れて、お前だってやってるだろう、それはフェアじゃない、と言ってしまえば、批判された相手はますます怒り出す。事態はさらに悪化していく。逆ギレはいちばんマズイ。

 一連の橋下氏の発言をみると、もう完全に冷静さと常識を失ってしまっている。思慮を欠くどころか常軌を逸している。相方・慎太郎はもともと反米の態度を示していたし、ああいう気質の老人だから米国側はもう相手にしていなかった。つまりもはや過去の老ファシストはほっておけば間もなくいなくなるというスタンスであったはずだ。

 しかし、橋下氏こそ、ある意味、民主党に代わって第二自民党の若きカリスマであり、米国流グローバル経済信奉者として彼らは大いに期待していたはずだ。それが迂闊にもこの時期こうした舌禍を起こして、あろうことか米国政府、議会さえも敵に回してしまった。要注意人物としてマークされる程度ですめばまだしも彼が謝罪しない限りもはや政治家生命さえ危ういのではないか。なのに彼はもう依怙地になって振り上げた拳を収めないつもりでいる。次から次へとツィッターで彼を批判した者たちに誰彼かまわず噛みついている。このままでは彼が率いる政党自体沈没寸前である。
 この事件は、彼個人の問題だけでなく、日本と日本人全体にとって世界的に大きなマイナス、悪イメージであると同時に結果として自民党をさらに利することとなっていく。

 安倍首相と橋下氏、どちらが狸で貉かはともかく、同じ穴で仲良く暮らす同類であった。二人とも思想も心情も近しく親しいだけでなく深く共鳴し合っていた。じっさい彼の今回の失言、妄言は安倍氏の持論を代弁したに過ぎなかったから内心エールを送っていたはずだ。それが今回の突発的スタンドプレー、乱心で、彼は見殺しにされ、安倍だけがうまく生き残っていく。

 彼は勇気ある本音を言っただけと評価する者は、政治と政治家は「本音」だけではやっていけない世界であることを知るべきである。政治とは、本音と建て前の二元論ではなく、現実と理想の溝をどう埋めていくかという作業なのだ。正義ではない「現実」を現実として認め容認してしまえば、世界はいっさい何も変わらないしそこには正義も政治も不要となる。政治家とはその「現実」をいかに「理想」=建て前に近づけていくかという地道な作業を任された職なのだ。
 ※そして現行憲法こそ、その「理想」の表れであり、だからこそ「現実」に即して安易に変えてはならないのである。

 いけにえの羊にされた橋下氏に憐れみは覚えないが、維新の会が崩壊してしまえば、選択肢が減りいよいよもって国民はなだれをうって自民党に票を投ずる。残念だが、今の野党には、彼らに対抗できる力ある政党は一つもない。むろん維新は彼らの補完勢力でしかなかったからこうなっても当然だとも思える。問題は、安倍人気に乗じて今夏の参院選は衆参同時選挙となる可能性も取りざたされているし、その結果、本当に自民の完全な一党独裁となっていくことだ。

 参院選後、彼らは96条を変えてから憲法改定に挑むのではなく、一気に今のままで憲法を変えてしまうのではないか。それが可能な状況が生まれるかも。そうした不安が現実のものになっていく。二大政党制を志向したはずなのに、いったいどこでこう歯車が狂ってしまったのか。暴走する安倍政権に誰かブレーキをかける者はいないのか。

 一句狂歌
 
 まだあったのか民主党、と、共産党が言い。
 
 そう、オレはキリストの信仰以前にアカだったからこれからも今こそ彼らに期待しするし応援もしていく。対抗軸を失った議会政治にこの国の未来はないのだから。
 社民党や緑の風、民主党の有志も含め護憲勢力よ今こそ結集せよ!!