言葉や情報を伝え届けることの難しさよ2014年11月11日 18時16分28秒

★同好の仲間たちにどうやって伝えればよいものか            アクセスランキング: 75位

 思いや気持ちを、不特定多数であろうとも誰か他者に伝えるためには言葉と行動しかない。いくら高尚かつ気高い思いがあろうとも内心に抱えるだけで、外に一切出さないのならばそんな願いや思いは誰にも伝わらない。いや、知られることすらない。

 今自分が企画してこれから11月30日に催すライブは、別に立派な芸術的になすべき価値があることだとは思わないが、関西フォークムーブメントも含めて、日本のフォークソング史の流れに基づき、今すべきことでありやりたいこととの強い思いから決行に至った。

 それは2010年の両国フォークロアセンター40周年記念コンサートも同様であり、やはり節目としてその時点で成すべきことだと考えて自分が音頭をとって企画した。結果は興行的には大失敗したが、真に素晴らしい豪華なメンバーが揃って内容ある、まさに伝説的な一夜となったと自負している。どれだけの観客が来て出演者も含めて満足や納得いったかわからないが、やれて良かったしやるべきことだと考え、そしてそれが実現できたことはともかく良かったのだと今は思っている。

 ただ、いちばん残念に思うのは、そのライブをじっさいに参加し体感した人たちがごく少なかったことで、今でもいったい何が悪くてあんなに観客が入らなかったのか不思議でならない。今年の岡大介の独演会は、同所で台風襲来の悪条件の中、ほぼワンマンでありながら満席となったのだから高田渡生誕会並の超豪華メンバーを揃えても人が集まらない理由が今でもよくわからない。チラシも何千枚もあちこちに撒いたはずなのにだ。

 そしてそれから4年が経ち、今また同様の思いで、我マス坊はライブコンサートを企画した。故高田渡や岩井宏さんと親しかった詩人、有馬敲さんを京都より招き、中川五郎やその岡大介ら関わりあるフォークシンガーたちによる、詩朗読とフォークのコラボ的コンサートである。その有馬さんも八十代半ば、かつての同志たちも多くが先立ち、中川五郎氏も60代半ばとなった。幸い高齢となられても有馬さんは今も元気に詩朗読活動を続けられているが、やはり東京に来られてフォークシンガーと共に催すこうしたライブはもうこれで最後となるだろうし、今ならこうしたライブ自体が全てにおいてかろうじてまだ可能と考え企画し皆に持ちかけた次第なのだ。あと10年後となればやりたくても岡大介やみほこんはともかくも、我も含めあとは誰も生き残っていないかもしれない。

 そして有難くもフォークシンガーたちもその企画に賛同共感して有馬氏も乗り気となって今その当日が近づいてきている。しかし残念なことにまだ席は予約だけで埋まっていない。規模として、木馬亭の四分の一もないキャパなのだ。しかし、それでも満席となるか現段階では危ぶまれている。
 しょせん満席になっても儲けなどでないし、やっとトントンかという条件で企画し、赤字となればその分を自分が背負う覚悟で始めたことだが、やはりこうした詩関連という文化的イメージのコンサートは難しいのかなあという気持ちにややなってきている。有馬敲という、詩関係者には絶大な知名度があろうとも、詩と今は下火の日本のフォークソングという組み合わせでは一般の方々の関心はひかないのであろうか。そもそも詩の朗読などという行為に今の日本人は金出してまで足を運ばないのであろうか。

 一昨日の、吉祥寺での中山ラビさんのラビ組でのコンサート、超満席となり彼女の人気と実力を立派に示したが、我も参加し、開演までのあいだ列に並んだり席の身近なところにいた来場者たちに今回の「有馬敲の詩とうた世界コンサート」のチラシを配った。受け取りを拒む人はなかったが、ライブが終わり、観客が席を立たれ床に散らばった店側が入場時に配布した遠藤賢司らのチラシ群と共に自分が渡したそのチラシも床に捨てられ無残に踏みつぶされていた。まあ、選んで捨てられたわけではないのだからそういう人には何の関心もない不要なチラシの一枚でしかなかったということだと考え諦めもしたが無性に情けない気持ちになった。今回、チラシは千枚発注したがもうあと数十枚しか手元に残っていない。

 先に報告したようにコンサートはとても良かったが、何か気持ちは寂しくなってつい帰り道、「のろ」に寄って焼酎のお湯割りを一杯だけ頼み、マスターの加藤さんとあれこれ話して気を取り戻してから家に戻った。

 中山ラビのファンの方々といっても、東京の今の人たちには、ラビさんが京都にいたこと、京都の元祖ほんやら洞のことも、ラビさんと関わりがあり、そこで詩朗読を続けていた有馬さんのこともおそらく何一つ知らないのであろう。もう残り少なくなったチラシをそこで配ったことは無意味であったかと帰りの電車で後悔した。ならばいったいどうしたらこのライブの「情報」を伝えたい人たちに伝えられるのであろうか。

 ※この項もう一回続く。

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