宵闇迫れば悩みは果てなし・続きの③2022年06月21日 21時30分09秒

★すべてに終わりの時がくる

 父を何とかまた今朝方、介護施設に送り出してようやくほっと一息ついている。
 このところずっと梅雨寒の日が続いていたのに、先週末から突然また夏日かつ蒸し暑くなってしまい、先週金曜に父が帰宅してきたときは、家に入れる前に、買い物などついあちこち車で連れまわしたりしていたら、軽い熱射病を起こしたのか、父は、帰路、車中で意識を失い、車からも降りられず腰砕けとなって自ら歩くこともできず、我は抱きかかえて何とか冷房の効いた家に連れこみ、濡れタオルで身体を冷やして幸い事なきを得た。
 救急車を呼ぶことも考えたが、ともかくまず家に入れやがて意識も戻ったものの、トイレでオムツを替えたらば失禁だけでなく軟便も大量に漏らしていて、足首まで垂れている。素っ裸にして父の全身を拭くだけでも一苦労した。
 しかもその晩は、何とか食べてくれた晩飯も最後はほとんど吐いてしまい、父を寝かしつけても我はあれこれ考えてしまい寝付けず、疲労と睡眠不足で自分まで体調おかしくなりそうだった。
 幸いのこと、翌朝は体温も平常で、意識も食欲も戻り、朝食も食べてくれたので、土曜から昨日月曜までお泊りできるデイサービスに預けて、昨夜一泊だけでウチで面倒見たが、今朝はまた別ショートステイにいつも通りに行ってくれたので、やれやれという気持ちで今これを記している。

 これまでは、足腰がさらに弱らせないために、施設から帰宅時は、家にすぐ上げずにそのまま車に乗せて、近くのホームセンターやヨーカドーなどに連れて行き、買い物カートを押させて我も手を引き父を支えて店内を少しでも歩かせて、甘いソフトドリンクなどを飲ませて休憩してからウチに帰っていたのだが、もうこの暑さだと車中の移動だけでも危険だと、もう無理はすまい、させまいと今回痛感した。
 昨日の夕刻の帰宅時も、まだ猛暑ともいえる暑さだったので、もう連れまわさずそのまますぐ家に入れて、寝室で甘いものを食べさせ水分を摂らせてから晩飯までいったん昼寝させた。
 以前は、夕方仮眠させると、深夜に起き出して騒いだり、オムツを外したりする妄動があったのだが、最近では何時間でもただひたすら朝までじっと同じ姿勢で眠ってくれている。
 つまりそれだけ老衰が進んだという証で、やかでそのまま目覚めぬ朝が来るかもと、我はこのところ朝が来て、父の部屋の戸を開け父を起こすときはドキドキしている。そして声かけて、息しているのを確認するとホッと安堵している。
 父はこの秋が来ると満で98歳となるわけだが、人が百歳近くまで生きているということは、どういうことか、どんな状態かおそらく知っている人は少ないだろう。
 我もまさかこんな風になって、ここまで生きてくれるとはまったく予想も想像もしなかった。

 我としては、父より5歳年下の母のほうが父より長生きするものだと思い込んでいたし、母もまたそう考え、信じていたと思う。
 しかし運命は不思議なもので、健啖家で大男ではあったが、若い頃から結核をはじめ前立腺癌の疑いで手術や入退院を何度も繰り返した父よりも、癌が発見されるまでは一切大病も入院もしたことがなく元気の塊りのようだった母が先に逝くとは、まさに想定外であった。
 しかも、母が死んだときに既に認知症で90歳を過ぎていた父は、その後も6年も生き延びているのである。じっさい百歳までも指呼の先に見えてきた。
 しかし、さすがにこのところとうとうその「終わり」のときも見えてきたと思える。

 昨年は、一年間で、年明けには60キロあった体重が暮れには50キロにまで落ちてまさに骨と皮になってしまったし、このところはいよいよついに自ら食べられなくなってきてしまい、さて、どうしたら良いものかと我は思案している。
 そう、食べなくなってきてしまった。あれほどかつては食べられていた人が。彼が60代の頃だったか、メタボ気味と言われ、昔でいう六尺男、つまり180㎝近くの身長と体重も80キロ近くもあったのに。
 そうか、人は病気や事故で死なないと、とことん命が続く限りは生きるのだけど、最後は、ついに食べるという「機能」じたいが衰えて、瘦せ衰え全身が衰弱して、ろうそくの火がついえるように死に至るのだと。
 そう、これが「老衰死」ということの現実、じっさいなのだ。
 ※もう一回で終わります。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://masdart.asablo.jp/blog/2022/06/21/9502175/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。