本の価値と人の価値・12012年11月06日 13時18分37秒

★晴耕雨読ならぬ雨ブログである。

 外は雨が降って寒く何も作業はできないので、久しぶりに「古本」稼業の話をしよう。

 今年も残すは二ヶ月弱。無頼庵での企画、イベントなどが迫ってきて、気は急いている。あれこれ年内の課題、懸案事項が山積みである。親も自分も体調が悪いとかすべて種々の理由をつけて、先延ばし、来年に積み残してしまうこともできなくはないが、それは根本解決にならないし、不義理を働く分だけ人間関係がいよいよ気まずく先細りとなっていくだけだ。ともかく一つ一つ進めていくしかない。このままでは新年が来てもゆっくり祝えやしない。

 と、そんな最中ゆっくりブログなど書いているヒマ等はない。そのはずなのだが、締め切り前になると突然部屋の掃除とか家具の移動とか始めてしまう小説家やマンガ家がいるように、一種の逃避傾向かとも思うが、そうした忙しくなるときに限ってブログは長尺なものになってしまう。ヒマだから長く沢山書くのではない。これから忙しくなる、その前だからこそ不思議に書きたいことと書く気が起こる。

 このところ、出かけることが多かったので、本の新規出品が怠っていた。何度も書いたことだが、近年、Amazon.マーケットプレイスで古本を出品して糊口を凌いでいる自分としては、収入はそこからの売り上げだけが頼りであり、本を常に新たに出品しない限りどんどん乏しい収入はさらに減っていく。それは売れたら数を補充するという意味もあるが、売れる本は新たに出せば一ヶ月以内でほぼ売れていく。そのとき売れない本は後ほど価格を下げてまた再出品すれば売れないこともないが、売れない本はやはり売れない本であって不良在庫になっていくだけだ。

 つまり儲けたいなら常に日々新たに次々新規出品を続けていけば良い。それはわかっているが、今のような時代、まずそうした新規出品に値する本をみつけてくること、手に入れることがまず難しい。そう、マーケットプレイスでは今ほとんどの本が最低価格1円からの「1円本」地獄に喘いでいるのである。要するにそうした本とはブックオフなどで一冊100円均一の棚に並んでいる本のことでもある。

 今自分の商売のデータを調べてみたら、アマゾンで販売を始めたのはどうやら2004年の秋口からだと判明した。その頃は、1円本などまだ登場していなかったし、本はかなり高値をつけてもほぼすぐに売れていった。だから収入もマージンを引かれても多かったし、こんなウマイ商売があるのかと思えた時期もあった。

 だが、長引く景気の低迷とモノの値段が下がるデフレ現象はこうした通販の世界にも及び、まして本はコンビニなどで売られる低価格の簡易本が主流となって本自体が売れない、読まれない傾向が強まっていく。出品する側も売らんがため他の出品者より一円でも安く値をつけていく。となるとどんどん価格は下がり続け挙句は究極の「1円本」となってしまったのである。そこでは本の代金からは儲けなどでやしない。送料として購入者に課せられる250円の中から工夫してうまく僅かな利益を上げようという苦肉の策である。

 自分は大口出品者ではないから当然そんな馬鹿なことはやらない。となると、本を出品するにあたっては引かれるマージンを除いてもいくらまでなら儲けが出るかということになる。最近では、ウチに支払われる送料を含めても入金額が300円以上でない本は出さないことにした。それでもずいぶん下限を下げて妥協してきた。儲けが一冊数百円しかないならば、梱包や発送に行く手間賃にもなりゃしないではないか。そんな本が百冊売れても3万円にもならないならどこかのスーパーの倉庫係のほうがよほど時給は高いはずだ。最近ではマジにそうした「転職」を考えている。

 情けない話だが、もう今はそのぐらい本の価格が下がりまず出品自体、ある程度の値がつく本を出品すること自体が難しい時世なのである。そのことはとりもなおさずそうした値のつく古本をどうやってどこから手に入れるかということに他ならない。【続く】

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