「良き隣人」でありたいけれども2013年07月10日 21時43分07秒

★とかくこの世は・・・

 記録的猛暑が続いている。東京では四日連続での真夏日である。今、夜の9時過ぎても外気温はむっとするほど高い。皆さん大丈夫ですか、生きてますか。

 聖書の中にあるイエズスが語った「良きサマリア人」の喩えはご存知であろう。誰だって他者に対して、良き隣人でありたいと願うはずだ。が、現実の話、隣人、つまり隣近所のご近所さんとはなかなかうまく、仲良くやっていけない。

 齢18歳を超えた老犬バドが、高齢のためこの春から自力では歩けなくなった話は書いた。幸いにして状態は変わらずともまだ健在で、萎えた後ろ足を人間がストラップで持ち上げて介助して朝晩の散歩へ行っている。他にも犬がいるので、バドの散歩は基本、老母とアシストとして老父の老夫婦二人組にお任せすることが多い。

 以前ならば、表通りまで出て、ドラッグストアの生け垣や遊歩道などの草のある空き地や植え込みで用便は済ませていた。が、今では人間が腰を支えててもさすがに遠くまでは歩けず、ごく簡単にこの町内会を一周してごく簡単に散歩は終わらせている。当然、道路で小便、大便はしてしまう。
 本当はウチの前で用便は全部済ませてから歩きだせば良いのだが、犬というものは散歩の途中で急にしたくなるもので、溜まっていた小便大便を人様の家の前の道でいきなりしてしまうのだ。


 そのことについてこのところご近所さんから文句が出ている。曰く、汚い、臭くなる、必ず水かけて掃除しておけとあれこれ苦情が出ている。むろん大便などは必ず袋にとって持ち帰っているが、小便までは拾えない。よそ様の敷地内に入ってしているのではなく、あくまでも公道での糞便なのだから、とも思うし、高齢の障碍者となった犬を齢八十を過ぎた老夫婦が必死に抱えて散歩させていてもそんなのお構いなしの苦情申し立てなのである。

 特にお隣の婆さんが口うるさく、「ウチの前で小便した、必ず水撒いておいてくれ」、と騒ぎ、もたもたしているとご自分でホースで水撒いて、「ああ、やだたやだ、汚い汚い」と聞こえよがしに大声でウチを罵倒するが如くウルサイ。
 むろんこちらに非があることだから、我が老親たちはひたすら低姿勢でヘコヘコしているが、世知辛い世の中だと思う。大便も少しでもアスファルトに残っていると苦情が出る。たわしでこすれとも言われた。ご近所にはこうした方々がやたら多いのである。それが世間の常識なのだろうか。

 むろんそれをどうのこうのとは言えないし、こちとらが悪いことは承知している。しかし、他のこと、例えば秋の落葉の問題や、隣の家に伸びた枝ひとつでもあれこれ苦情を言い立ててくるのにはこちらもうんざりしている。まあ、このところの暑さでイライラしているのかもしれないが・・・。

 娑婆、という言葉は、ヤクザが娑婆に出る、とかで使うが、もともとは仏教の言葉で、サハー、意味は忍土であって、つまりこの世は苦界、耐え忍ぶところなのだと前に読んだ本にあったと思う。

 動物を飼うなんてことは今の時代、隣近所と軋轢を生むだけのことで庭に高木があることだって隣近所の迷惑以外の何物でもないのであろう。ペットや自然は今の時代不要かつ問題の種となる。しかし、またこうも思う。
 この娑婆、つまり我々が共に生きていることは、皆で満員電車に乗り合わせているようなものではないのか。混んでいる電車の中で、乗ってきた人、隣合わせになった人を憎み、文句言ったって仕方ない。犬や木々の落葉のことで迷惑をかけているかもしれないが、こちらはこちらで面と向かって言わないものの、やはりお隣からも迷惑は被っていることがある。つまり娑婆、この世は皆が満員電車に乗り合わせているようなものだと考えれば、生きるとは互いに迷惑をかけあうことであろう。ならば互いに我慢し耐え忍ばなければならないのではないか。

 まあ、じっさいの隣人、お隣さんというものは、自ら選んだものでもないしごく偶然の巡り合わせなのだからどんな人でも仕方あるまい。貴方のお隣の方が気の合う温和な隣人であれば幸いである。いや、宗教的に考えれば、だからこそ耐え忍ばねばならないし、隣人を愛さなくてはならないのである。何故ならそれが生きること、修行なのだから。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://masdart.asablo.jp/blog/2013/07/10/6897520/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。