この反動右傾化の時代に2015年04月29日 21時12分46秒

★うたに思いを込めていく             アクセスランキング: 132位

 「うたの力」という言葉がある。大震災のあとなどよく見聞きした。じっさい自分らでも「うたの力を信じて」とよく書き記している。
 が、うたに力があるとして、その力で、世の中や社会が変わるとか、変えられるなんて実は思っていない。社会はもっと複雑なものだし人が動くのはまず利害、損得なのだから。

 しかし、うたで人は変わる。変えられるかは別として、この我がそうであるように、うたで人は変わる。それは間違いない。そうしたうた、歌の場、そしてそれを歌っていた人たちと出会わなければ、今の自分はないし、たぶん生きてもいないかもしれない。

 子供の頃、深夜放送から流れてきた岡林信康の「手紙」や「チューリップのアップリケ」を聴かなかったら、たぶん社会が抱える問題、貧困や差別、格差に満ちた社会構造に気づかなかっただろうし、そこから「関西フォーク」を知り、高石さんがうたった数々の名曲、「ベトナムの空」や「死んだ兵士の残したものは」「死んだ女の子」で、絶対に戦争は二度と起こしてはならないのだと確信を得た。まさに彼らの歌には強い衝撃があった。

 そして、今、時代閉塞というのではなく、選挙のたびに低投票率と政治に無関心の度合いが高まり、いちばん身近な市町村議の選挙でも立候補すね者がなく、選挙すら行われないというまさに民主主義の危機、制度自体根幹から問われている。

 思うに、これは政治だけでなく、対世間、社会全般に関してネグレクトなのではないか。自らこと以外のこと、いや自らが含まれる社会であるのに、まったくの無関心、無関係となってしまう心理は、まさにネグレクトしているとしか思えない。

 本来、政治とは、誰にとっても無関係では絶対にいられない、いちばん大切かつ必要な「問題」であり問題解決のための手段、手筈なのだ。モノゴト解決のために、議員たちにこちらの要望をかなえてもら和根は゛ならない。ところが、彼らを選ぶ選挙にもいかないし空がやつている政治そのものにも関心がない。まったくヒトゴトのように放擲してしまう。

 理解に苦しむが、国民のかなり多くがそうした傾向にある。でなければ、今、安倍自公政権が一方的に進める、集団的自衛権の解釈変更と、有事の際の同盟国への積極的支援という、つまるところ積極的平和主義の名の下に、戦争国家として日本の針路を定めてしまう現実に対して、ここまで国民世論が沈黙する理由がわからない。
 誰だって了として認めているわけではない。ふーん、そうかあ、と横目に見てヒトゴトのようにそれ以上何も考えず無関心で通してしまう。東京新聞や朝日、赤旗など一部の新聞は、警鐘を鳴らして大変な時代になってしまうと騒ぐが、他のマスコミはNHKも含め全て唯々諾々と政府の言い分を報じるのみで批判も検証も怠っている。

 そういう時代、ご時世なのかなあとも思う。しかし、ここまでくると、これはこの国の国民自体が緩慢な自殺を選んでいるような気さえしてくる。安倍首相は、戦後70年の日本の平和と復興、そして繁栄を高らかに米国議会で自慢するであろう。だが、その平和も繁栄も、アメリカが密接なパートナーであったからではなく、平和憲法があり、中でも第九条で戦争が禁じられていたから故のことだったのである。
 九条を持たなかった韓国は、米国が仕掛けたベトナム戦争に同盟国として参戦し多大な戦死者を出した。社会も経済も疲弊した。日本は九条があったからそんな目に遭わないで済んだ。

 これからの日本は、安倍政権の進める積極的平和主義の名の下、武力による平和解決と称して、世界中のどこででも、日本が直接の被害を受けていなくても自衛隊を派遣し、戦闘行為を行うだろう。平和のために敵を殺す。人を殺す。殺すということは逆に殺される可能性も高い。
 そもそも現行憲法との整合性が問われるはずなのに、この国の司法もネグレクトしたのか自死したのか、憲法違反だと動きださない。そうして憲法を骨抜きにしてから、彼らは、現状に合わせるとして九条を破棄させるのであろう。

 そしてそれをヒトゴトのように横目でスルーして何も声を上げない国民がたくさんいる。つまるところまさに無関心、ネグレクトしているのである。だが、そのツケは誰がはらう。誰に来るのか。

 海外での戦争に駆り出されるのなら、そして戦死者が出るようになれば、自衛隊に入ろうなんて若者は一人もいなくなる。国際貢献の名の下に、戦争をするのはかまわない。だが、いったい誰が戦地に行く。
 安倍や高坂、麻生、公明党の幹部ではない。政治家センセイは自ら戦地に出向かない。勝手に戦争を決めるだけ。行くのは徴兵制か裁判官制度のように無作為に選ばれた若者たちであろう。

 そうした時代にしない、させないためにも今ならまだ間に合う。とんでもない、絶対反対だと声をしっかり上げていく。そのための運動をうたを通してやっていく。
 うたの力で人は変わる。人が変わればやかでは社会も変わる。戦争とはいったいどんなものか。平和な時代だからこそ反戦歌をうたっていこうと決意した。