マス坊、ヤフオク参入の記・9 ハーモニカ編 終わり2018年05月29日 17時48分57秒

これも501円で落札したが、送料の方が高くついた。
★複音ハーモニカはほぼ集め終えた~これをどう活かしていくか。

 宮田東峰というハーモニカの達人がいた。その名前を冠したハーモニカが今もトンボから出ていることにも驚いたが、かつてこの国のハーモニカブームの一翼を担ったこの名人の存在は大きいと今回、ヤフオクで今さらながら知った。

 そもそも我の世代は、先にも書いたが、ディランから拓郎、長渕剛、ゆずに至るテンホールズ、つまり10穴の小さいハーモニカ、通称ブルースハープしか関心がなかった。
 むろん我は年寄りなので、小学校音楽教育の場で、まずヤマハのシングルハーモニカ、そしてレバーはない、吹き口二段式のクロマチックハーモニカを与えられ教室で合奏させられた記憶がある。
 が、ハーモニカはとはそれだけの縁で、後にフォークやブルースに関心持ち自らもそうした音楽を始めた者はテンホールズは集め持ったとしても昔ながらのハーモニカは我も関心外であった。
 今回中古のジャンク扱いのハーモニカをまず安く落札したりして、今さらながらその世界の広さと深さに気づかされた。

 そう、通常ハーモニカ、マウスハープというと、今ではまずそのテンホールズやレバー式クロマチックを誰もが思い浮かべる。
 ところがこの国でかつてあったハーモニカブームとは、それらとは異なる複音のそれ、いわゆるトレモロハーモニカであり、宮田東峰ら多くの達人は、トレモロハーモニカの人なのである。そしてかつてどこの町内会などにいた小沢昭一的ハーモニカ名人もやはり使っているのはそのタイプで、今現在たくさん中古を集めてわかったことは、外国製は1本もなく、どうやら日本独自で大正期から戦後の昭和期までブームとなり栄えたものだとわかってきた。

 複音とは二段になっている吹き口の音の上下が同じであることを意味している。しかし、微妙に僅かなズレがあるようで、それが豊かな響き、深い余韻となって日本人の心に染み入り郷愁を誘い人気を得たのだと推測できる。
 じっさいテンホールズなどシングルのそれに比べて吹いてみると実に綺麗で良い音がする。音質だけとれば複音ハーモニカに勝るハーモニカはない。
 我は、既にテンホールズはほとんどすべてのキーを揃えて持っていたが、複音ハーモニカはまだ一本もなかった。ならばこの機会にできるだけ安く落札してみようとついつい熱くなった。
 が、これも他のハーモニカと同じく各キーごと長調と短調1本づつになっていて、全音階そろえるのは一苦労であった。しかしほぼ揃ったと思える。

 そう、これも消えゆく一つの大衆文化なのである。今もまだ老人会や老人施設、老人向け通販などではそうした複音ハーモニカの通信講座があり、彼らが集まる場所では指導、練習は行われているようだ。
 ただ、それが団塊の世代になれば果たしてこの複音ハーモニカは用いられるだろうか。また、そうした指導できる達人や名人もいるだろうか。
 おそらくテンホールズでのブルースハープ講座のようなものは団塊世代に向けてきっと登場すると思う。が、ある世代、ある時代、誰もが吹き慣れしたんだ複音ハーモニカはもう学ぶ者も深ける者もいなくなるのではないか。
 我はハーモニカが上手いと自分では微塵も思っていないが、たくさんハーモニカを所蔵するコレクターとして、これからはテンホールズやクロマチックだけではなく、複音・トレモロハーモニカの豊かな世界も拙くとも披露していきたいと思う。それもまた我の使命の一つではないか。

 じっさいのところ、例えば藤山一郎が唄った「東京ラプソディ」ならば、我はその複音ハーモニカのマイナーとメジャー二本用いて、冒頭のメロディーから歌詞の部分まで全部吹くことができる。
 いつかそうした「成果」と、トレモロハーモニカの素晴らしき世界についてワークショップのようなことをやってみたいと夢想している。

 そしてバカが次に手を出したのがレコードであった。