政治も歴史も旧に戻すべからず2012年12月08日 16時46分38秒

★歴史を前へ進めて行こう

 風邪は相変わらずである。体がだるいのはともかく咳がなかなか止まらないのが苦しい。親たちも今日はデイケアで不在だったので、薬飲んで一日断続的に寝ていた。
 今日も晴れて午前は穏やかだったが午後からの強風で庭のイチョウはほぼ舞い散った。もはや枝にはほとんど葉は残っていない。が、ウチの近隣界隈、北西からの強風の風下、東南側50m一帯に落葉は広く舞い飛んでしまいとても「回収」は不可能だ。ご近所の顰蹙をかってしまうが仕方ない。
 今年は慌しくて庭木はどれも一回も枝下ろし、丈ツメはしなかった。「社員」が待つの木から落ちて頭を強打し入院治療となったこともある。それがこの事態を招いた。来年はまず冬の間に、イチョウもケヤキもうんとこじんまりと切りそろえなければならない。


 さて、政治の話。
 衆院選投票日まであと一週間。当ブログをお読み頂いている方々は投票先を決められたか。一部の報道では自公復調、過半数に届くかとの先行予測である。選挙結果そのものではないがもしそうなったらいったいこの国はどうなってしまうのか。そもそも三年前の政権交代とは何だったのかということだ。元の木阿弥、自公にお灸を据えるために政権交代を国民は望んだのか。

 まだ投票日まで一週間あり、事前の投票動向調査で答えた方たちがそのまま自民に投票するか定かではないが、その心境はある程度推測もできる。
 思うに、ウソツキ公約破りの民主党にはもう政権担当能力はないと誰もがコリゴリであるし、期待の第三極も離合集散が甚だしく、どうにも胡散臭いし信頼できなさそう。ならば、やはり伝統ある自民党にまた政権を任せるしかないかという消去法的発想によるものではないか。何が何でも自民という強い支持ではないが、やはり政権担当能力だけみれば自公のほうがマシと何となく思うのであろう。

 そこには自民党が公約発表後このところの株価の上昇、円安傾向も関係しているようだ。つまり経済の側、市場は自民党の勝利を待ち望んでいると判断もできる。確かに民主党では緊縮財政が基本であり、それではダムや高速道路、箱モノなど公共事業でのゼネコン、大企業への大判振る舞いは期待できないからだ。

 しかし、ここでまた政権交代し、自公が国政を担うとするなら3年前の政権交代はいったい何のために起きたのであろうか。あれはバカな国民がその気はないのにマスコミに踊らされてついウッカリ投票先を間違えたのか。そうではあるまい。じっさい3年前の民意は、内外の山積する問題に対応できずにコロコロ次々代わる総理大臣と、長引く不況と収入の減少、自殺者増加と長年続いた自公政権に国民の多くがうんざり飽き飽きしていてその閉塞状況を打ち破るべく新たな政権に期待をかけたのでなかったのか。
 その2009年の総選挙での敗北後、自民党内からは「政・官・財が結びつき、経済成長で得た『果実』を国民に分配するような長年の自民党政治は、すでに『制度疲労』を起こしていた」という指摘も出て、時の選挙対策副委員長は選挙後のテレビ番組で、「自民党は長年、政権の座にいて、ぬるま湯の中にいた部分がある。国民の目線から遠くなっていた」と述べている。

 ではその「体質」は変わったのか。自民党の今回の「公約」や安倍総裁の発言からは、残念ながら新しく変わったのはより右傾化した部分だけで基本政策は何一つ変わっていないと思える。つまりより政・官・財が結びつき、そこに日銀までも巻き込んで、市場を操作し経済成長をはかるという画策である。だからまた公共投資と市場開放の強化となるだろうし、またもや小泉構造改革の再現だといえなくもない。むろんそれで景気が良くなっていくならケッコウである。が、仮に彼らが政権を奪還したとしても果たしてその旧来の手法で経済は再生できるだろうか。

 自民党および民主党の首脳陣たちは国民の多くが3.11の後、大きく意識が変わっていることがどうやら気づいていないらしい。自分も含めて知る限りの大衆は、経済成長よりももっと身近な命と暮らしの安全を求めている。むろん景気は良くなってほしい。正職に就きたいと願う。しかしもう今さら真夜中でも電気で昼間のように明るい街を求めてはいない。原発による電気に依存した大量生産、大量消費の暮らしから一線を画すようになってきた。
 つまり質素で素朴、多少は不便であっても放射能の心配のない、安心安全な食べ物と競争のない自然に囲まれた暮らしを求めている。そこには一時のヒルズ族のような勝ち組志向もないし、社会的成功よりも家庭の幸福に価値を重く置いている。そう人々の意識は3.11の前と大きく変わったのだ。今の人々は「金」そのものにはそれほど価値をおかない。

 だが、自民党の政策は相も変わらず財界、大企業優遇の金持ち、大企業本意のものである。彼らの求めで原発もすぐに再稼動させていく。低所得者層向けに何かしてくれるとは思わない。維新の会も同じくそこにあるのは、国による公的扶助よりも自己責任論だけで、維新にいたっては「最低賃金制度」さえもなくそうと目論んでいた。国としてはやがては生活保護制度、国民皆保険制度さえも撤廃したいというのが本音なのだろう。

 この16日投票の衆院選で自公が再び政権を奪還したとしてもすぐに彼らの政策と国民意識との矛盾が吹き出てくる。原発再稼動は自公に投票した人でも望まないし許しはしない。彼らは米国追従一筋だからTPPにもすぐに参加していく。オスプレイも全国の米軍基地に配備される。そしてまた、その国民との「約束」を裏切ったことの矛盾に政治は混乱していくことは間違いない。国民の怒りと失望はまた噴出していく。維新と組んで憲法改定に突き進む前に、まずは彼ら、歴史の歯車を逆回転させようと目論む奴らにNO!という審判を下さねばならない。

 まだ投票日まで時間はある。もう一度投票先を再考してみてほしいと切に願う。ほんとうに「私たちの望むものは・・・」。