円高・デフレからの脱却は景気回復に繋がるのか2013年02月03日 23時52分28秒

★円高って悪いことなのかなあ

 経済のことはよくわからないというのが正直なところだが、自民党の政権奪還、安倍政権誕生のバブルだか何だか知らないが、円安が進み株価もずいぶん上がってきている。マスコミ報道では財界や兜町関係の人たちの満面の笑みをよく目にする。あたかも景気回復なったかのようである。ご祝儀相場かもしれないが、経済好転の兆しと言えなくはない。
 だが、庶民、いや、自分の実感ではこのところ物価が上がって大変懐が苦しいし困った事態だと嘆息している。特にガソリン代など輸入に頼る商品が軒並み上がってきている。
 
 街の小売業、個人商店の閉店を嘆く者として、これは自ら恥ずべきことではないかと思いつつも自分はネット通販、特にアマゾンを広く利用している。むろん、そこのマーケットプレイスの店子をやっているという関係もあるが、本はともかくCD、DVDなどは基本的にアマゾンでほとんど買っている。理由は一つ、安くて早いということに尽きる。
 特に主に聴く洋楽の輸入盤は、HMVなどの繁華街の実店舗で買うより格段に安く、東京の田舎に住む者として、近くに専門店がないこともあり非常に重宝していた。
 と、過去形で書くのは、このところの円安でじょじょに前の価格よりほぼ一律一枚100円ほど上がってきて、最近は以前のように発作的に衝動買いできなくなってきたからだ。それは新品の輸入版に限らず日本盤も何故か同じく値上がりし始めている。

 自分の場合、アマゾンのカタログリストで欲しいアルバムなどがあるとまずはカートに入れて保存しておく。そして懐事情などを鑑み、カード決済の支払日を見据えて厳選して正式に注文確定させる。
 ところが、最近、そのカートを確認する度に、カート内の商品の価格が変更になりました、 と数十円から100円程度たいがいどれも値上がりした「お知らせ」が表示される。人間というものは不思議なもので、安くなったのならすぐ注文確定させてしまうのに、逆だと躊躇ってしまう。そんなで値上がりしたアルバムはずっと保存したままとなる。

 今安倍政権は、国を挙げてデフレからインフレへと物価を上げようとしている。結果としてそのことでお金がうごき景気も良くなるのだという理屈である。景気がよくなれば給料も上がるという理屈。しかもそこに近く消費税の税率も上がっていく。嫌でも物価は上がっていく。
 しかし、手元の金、つまり収入が増えたならともかく、給与も年金も下がり続け今年の春闘がどうなるのか知らないが、入って来る金は全然増えやしない。まして自分の場合、出版及び古本稼業はデフレ地獄の真っ只中だから値上げなどできっこない。いかにして安くして薄利多売で乗り切るしかない。そこにこの「値上げ」である。
 ならばこれまでのささやかなネット上の買い物道楽も手控えていくしかない。むろん、消費税率アップ前夜は誰もが慌ててごく必要な買わざる得ないものだけは駆け込みで買い求めることだろう。しかし、おそらくこの政府の経済政策によりますます消費は冷え込み誰もがさらに金を使わなくなる。

 今までは円高のおかげで、100円ショップや牛丼など格安ファーストフードに見るように庶民は何でも安く買えた。だから乏しい収入でも何とか生きていけた。しかしこれからはそれは難しい。金は入らないのに出るばかりならばともかく節約して使わないことだ。
 むろん、出口のない安売り競争が良いことだとは思わない。モノには正当な価格があって然るべきだと考える。問題は収入が増えるアテもないのに物価だけ上げる目標を立てたことだ。企業は儲かる。だがそれが従業員に給与として反映されるか甚だ疑問である。
 けっきょくのところ、日銀さえも巻き込んで、政財界一体で目論む円安インフレ政策というのはトヨタなどの輸出産業を儲けさすためだけのものではないか。自分はそう睨んでいる。

 ともかくもう金が無い。これからはますます金がない。ネットでの衝動的不要不急の買い物は控えなくてはならない。CDにせよ、何にせよそれがないと死んでしまうほど絶対的必需品ではないのだ。あえて言う、芸術、芸能なんてあってもなくてもかまわないものだ。衣食足りて初めてその先にあるものなのである。まず国民の所得を上げてから「値上げ」せよなのだ。