新しき人よ出でよ~続き2013年02月26日 13時41分41秒

★世代間の溝をどう埋めていくか

 陽射しはもう完全に春のそれなのに気温が低くいつまでも本当の春が訪れない。おまけに明日はまた朝から雪だと予報が出ている。家の中でも寒くて足の指先からシモヤケ気味である。
 まあ、77年前の2..26も珍しいほどの大雪だったと当時既に子供ながらもその日を記憶している母が言うのだから春先の雪も珍しくはないのだが。

 さて、一昨日の無頼庵映画塾、告知が遅れたわりにはホストの三留まゆみの人気かつコネクションで熱く濃い映画関係者が4人、初めてウチを訪れた。ここにお名前は出せないが、彼女と旧知の付き合いある方々のようで、三留さんのイベントがあるならと急遽駆けつけてくれたようである。
 一人は昔から8ミリフィルムからの自主製作、上映活動を今も続けている方で、マス坊もお名前だけは存じていた。また、ブルース・リーの熱烈なファンかつ研究者で、中野ブロードウェイにその専門店も構えている方、様々な映画の場でプロデューサー的活動をされている方、そして役者として内外の話題作に出ている方も来られた。
 ただ、その全員が男性で、年齢も一番下で40代半ば近くで、たぶん皆、マス坊とほぼ同世代といっても良い50がらみであったと思う。だから当然共通のかつて観た映画や役者、及び知人についてかなり盛り上がった。
 
 ただ個人的な希望を言えば、映画塾と銘打ったからには、もっと世代を越えて老若男女、それも願わくばもっとうんと年下の若者たちにも来て欲しかった。今回は初回で、宣伝告知が遅れ準備不足 で仕方ないとしてもいかに今後そうした同世代人、知人友人以外の一般観客を呼べるかが課題であろう。それはどうしたら良いのだろうか。かなり難しいようだ。

 俚諺に、「類は友を呼ぶ」と言われるが、それ以前に人は、どうしても同時代、同世代の間だけで人間関係は群れて結実してしまうものである。特にそれは体験した社会現象、その頃起きたムーブメントで括られてしまう。
 昨今ならガンダム世代とかエヴァ世代という括りがある。またその前には宇宙戦艦ヤマト世代というのもあった。フォーク世代というのもまたそれで、男子ならブルース・リーに憧れ夢中になって、アチョー、と規制を発しヌンチャクを振り回しカンフーごっこに精出した世代もいよう。
 振り返って自分はそのどれにもあまり熱く夢中になった記憶もなく、テレビに限って言えば、日本プロレスと「てなもんや三度笠」、それに「ザ・ヒットパレード」、「夢であいましょう」、の頃は幼いながらも熱心に観たものの、「ウルトラQ」~「ウルトラマン」以降のシリーズはもう関心は薄れてしまっていた。
 映画に限っても同じことで、怪獣映画とクレイジー、若大将シリーズは当然子供の頃に時代的洗礼は受けたが、熱烈な思いはないしマニアックなファンの足元にも及ばない。ましてフォークソングブームには幼くて参加していない。つまり全てにおいて浅く中途半端などこにも属していないロストゼネレーションだと気づく。
 だから映画塾での来られた方々のむかし観た映画に関して熱く語る有様を見ていてつくづく羨ましくなった。知識以前に自分にはそこまで熱い思いはないのである。そして結局のところ人はそうしたそれぞれ体験した各時代、各世代だけで繋がり集まってしまうものだとも気がつく。
 ガンダムやエヴァについて熱く口角泡を飛ばして語っている若い人たちをあちこちで見かけても自分はそこには入れないし入る気も無い。そうしてそれぞれの世代で人は集まり固まってしまうのだろう。

 でもそれを前提だとして、願わくば映画にせよ音楽=フォークソングにせよ後追いで関心を持ってそのリアルタイム世代でないとしても後で知って新しくファンになる人もいてほしい。今はビデオ、DVDにせよ、ユーチューブのような動画サイトにせよいくらでも昔のものが見聞きできる時代だ。今21世紀の2013年だからこそ、そうした過去の遺産も含めてありとあらゆる情報やコンテンツは巷に有り溢れている。誰でもさほど苦労せずに体験できる。そしてそこからさらに深く知るためにも当時リアルタイムで体験した人たちと繋がることもありかと思える。

 時代や世代、そして環境を越えて、人は老いも若きも男女問わず共通共有する話題や認識について熱く語り合えたら素晴らしいことではないか。「映画塾」そんなことを夢想している。