小さな灯を絶やさずに2013年02月17日 21時16分17秒

薪ストーブ
★とにもかくにも続けていくこと

 今朝は冷え込んだ。今冬いちばんの寒さだった。一階の台所、朝起きて蛇口をひねり、まずお湯を出すのだが、今朝は水道管が凍っていたのかいくら蛇口を回しても何もでない。どういう仕組みか、右側の水の蛇口は水が出るのに左のお湯専用の口は止まったままだった。

 給湯器が壊れたのかとも考えたが、ようやく昼頃になってやっとお湯が出た。要するにあまりの寒さにどこか途中で、たぶん給湯タンクごと凍っていたのだと思うしかない。この家を建て直して、3年ほどたつがこんな事態は初めてである。いかに今冬が厳冬であるかだ。春一番どころかこの冬いちばんの寒さであった。

 そんな寒い日がまだまだ続くのでこのところ頻繁に薪ストーブを焚いている。前にも書いたけれど、オーブン機能付きという暖房としてはあまり期待できない機種を選んだことと台所の隅に設置してしまったので暖を求めるストーブとしてはほとんど役立っていない。もっぱらお湯を沸かしたり、たまにパンケーキや肉の塊を焼くのに使っている。が、近く来るであろう大震災時に、ライフラインが止まっても煮炊きなどに役立てば幸いであろう。
 それでも室内に直火があるのは嬉しいものだし、一階はともかく吹き抜けを通して熱気が上がっていくので二階も暖房入れなくてもほんのりと暖かい。ストーブを焚けばお湯はふんだんに使えるしそんな頼りない薪ストーブでも寒い日の暖房としていくらかは経済的にも役立っている。
 
 ただ、面倒なことは一つ、ガスコンロのように簡単に火が薪につくわけではない。太い薪が燃えるまでには、それなりに手順と時間を要する。まず、マッチで紙くずに火をつけ、次いで木っ端にそれを移し、板にその火をうつし燃え盛ったところで太い薪、丸太などを入れる。そうすればしばらくは側についていなくてもストーブは燃え続ける。
 しかし、気をゆるすと燃えるものはなくなって火勢は衰え、いつしか火も消えてしまう。いくらかでも炎が見えるうちにまた次の薪をくべていかねばならない。けっこう注意力をとられる。いちばん良いのは太い丸太や切り株で、その固まりが燃え尽きるまでかなり時間がかかるからほったらかしでも安心なのである。

 薪ストーブのコツというものがあるとしたら、そうして小さい火から大きな株、丸太まで順に少しづつ火力を強くして火を移していくことと常に火を絶やさないことだ。いったん消えてしまえばまた一からやり直すこととなる。それはまたかなりの手間である。
 埋もれ火、という言葉がある。囲炉裏などだと灰の中に、炭のオキとして残っていればまたそれを元に藁や小枝をくべて翌朝でも火を復活させることができる。薪ストーブは囲炉裏ほど火持ちは良くないので常に小さな火を絶やさないよう注意しないとならない。

 それはストーブや囲炉裏でなくても同じことで、小さな火、つまり小さな灯は決して消えないよう、絶やすことのないよう何ごとも続けていかねばならない。
 小さな灯とは人々の「思い」や「願い」のことであるのは言うまでもない。
 最初は小さな灯であっても続けていけばきっといつの日にか大きな炎となって燃え盛るはずだ。それを信じて灯を絶やさずにやっていこう。闇夜を照らす一灯であろうとも、だからこそ灯は消してならないのだと。