津のええかげん祭り20122012年08月07日 23時49分05秒

昨年のええかげん祭り、斉藤哲夫、いとうたかおとらエンディング
★今も思い迷い悩むところである。

 三重県の津市に、ガスリーさかたさんというフォークソング仲間がいる。彼とはもう何年も前、大阪春一番の会場で知り合った。以来ずっと変わらぬとても大事な「春友」である。
 彼が地元津の河芸漁港近くにある漁師小屋を改造したライブハウス「ええかげん」でやっていた毎年夏のフォークイベント「ええかげん祭り」には自分もこの何年か毎年ずっと欠かさず参加していた。これは彼自身が考える中京圏の「春一番」のようなフォークコンサートであり、自分もまたこちらで似たような企画を手がけている以上応援に行かないわけにはいかないものと考えていた。

 その会場、昔は水産加工場だったという「ええかげん」は昨年の夏で諸般の事情からいったん閉館となったはずなのだが、実は今年も「ええかげん祭り」は開催すると中川五郎氏らから聞き及んで、ならば自分も行く方向で予定を立てていた。そう、三重には、音楽仲間以外にも、有馬敲氏を通して知り合った詩関係の友もいるので会場で会うのを楽しみにしていた。が、今の状況ではそれはかなわぬ思いとなりそうでこのところずっと心乱れている。

 今自分の体調は、おかげ様で腰も治ったし特にどこも悪くはない。この暑さも慣れてきてさほどバテテもいない。ならば行けなくはないのだが、いちばんの問題は老親と老犬のことであり、この猛暑の最中、認知症とがん患者の老人に家のことを託して数日でも空けることはすべきかどうかという迷いである。自分に妻でも大学生の娘でもいて、家事をその間託すことができるなら何も問題ない。しかし、現実のはなし、ボケ老夫婦だけ残してこの季節留守にするのは危険ではないかという不安が強い。

 今ウチには、最後の老犬、今春死んだロビンの兄弟でもあるオス犬バドというラブラドル系の雑種の老犬がいる。ロビンと一緒に生まれたのだからもう18歳を越してほとんど歩けないし大小便もほぼ垂れ流し状態に近くなっている。注意して糞尿に連れ出さないと小屋の前で自分の糞尿の中で寝て大変なことになってしまう。人間でいえば100歳近いわけで、紙おむつ状態だと思ってもらいたい。

 連日記録更新の猛暑が続くようになってから、涼しく木陰の下となる午前中はまだしも西日が射す午後になると、犬達は冷房入れた家の中に取り込み陽が陰るまで涼しくさせている。そうした気配りで今まで今年の夏もまだ何とか乗り切れている。今年の冬はどうかわからないが、おそらく年内はまだ持ちこたえられるかと思う。でも来年の夏は絶対ない。
 問題はそうした犬の世話を老親たちができるかということなのだ。じぶんのことすらやっとという老人が老犬の世話まで手が回るかだ。何年か前のええかげん祭りには、だから犬たちも車に乗せて連れて行った。だが、もし今そんなことをしたら体力的に無理も無理、疲労で死んでしまう。せめてこんな酷い季節でなければと考えるが、いずれにせよもう老親に犬の世話は任せられないしできないと考える。

 しかしまだ諦めきれない。今もまだ何とかうまく都合つけて、家ことは誰かに頼み込んで出かけられないものかと迷い悩む。夜行高速バスとかは予約もしていないから、行くとしたら、当日の朝早くの新幹線か、自分の運転するおんぼろマイカーしかない。それも同行者がいるか運転を代わってもらえる人がいるかどうかでもある。

 しかしまたこうも思う。老犬バドと過ごす最後の夏であり、今秋米寿を迎える認知症の父と癌がまた再発した八十過ぎの母と共に過ごせるのは今年の夏が最後となるかもしれない。ならばこそ、たとえ数日でも家を空けずにいっしょに過ごせる時間を大事にすべきではないのか。と。

 先のことはわからない。神のみぞ知ることだ。来年の夏もまた皆で共に暮らしていられたらこんな有り難いことはない。しかし、その可能性はかなり低いのが現実だ。ならば残りの日々をできるだけ慈しみ大切にして共に過ごすほうを選ぶべきかと考える。

 しかし今も思い迷い悩む。