何で今、大急ぎで「改憲」しないとならないのだろう2017年10月18日 23時41分35秒

★国民のどれだけが今「憲法改正」を強く望んでいるのか。

 思うままに書く。ずっと不思議でならないことだ。ご意見ご教示頂けたらと願う。

 今回の衆院選、与党や希望の党が公約に上げている「憲法改正」、つまり「改憲」であるが、国民にとってそれは緊急喫緊の今すぐ求める問題なのであろうか。
 スペインカタルーニャ地方の独立を求める住民たちのように、今の日本人が、強く「改正」を求めて立ち上がり声上げているのならばわかる。が、我が知る限り、マスメディアの中でも右派系論陣はともかく、その必要性を説く人はまず見ないし、まして我の周囲には友人知人以外、一般人にも一人もいない。そんな話題はどこでも聞かない。

 まず安倍晋三個人だけが先年からことあるごとに執拗に繰り返しそれを語り、発議を目指して2020年には、という期限まで示しただけだ。
 そしてそれに引きづられるようにして、国会議員や政党の中から「改憲」が話題にされ、今回の衆院選で他党も公約に示して、改憲はいよいよはっきりと「俎上」に、是非をめぐって選挙の大きな争点となった。
 しかし、九条に新たに自衛隊を書き加えるという晋三の案にせよ、どのような改憲であれ、我は反対以前に、何で?今?と不思議でならない。
 自衛隊が憲法違反だという声は今も昔もある。そのことについて書くと長くなるので書く気はないが、軍隊であろうとなかろうと、「今」ある状態で、今の憲法のままで何か不合理、不都合な「問題」があるのだろうか。
 緊迫する北朝鮮情勢などがあるから、今すぐ憲法を改正して、早く自衛隊を書き加えねばならないというのならば、それはつまるところ「戦争」するのに必要だからということに他ならないだろう。

 基本に戦力を保持しない、国家間の紛争は武力で解決しないと憲法に明記してありながら、「自衛隊」がある。それは元々「専守防衛」、つまり攻撃されたら反撃するのは当然のこととして「存在」が内外に容認されている。、そこに「集団的自衛権の行使」可能、つまり日本が攻撃されなくとも戦闘行為ができるという「安保関連法」ができてしまった現在、自衛隊を正式に「軍隊」に、日本国軍として憲法に記さないとマズイ事態となるからだとしか考えられない。

 また、昔からよく改正理由によく言われるのは、現実に合わなくなっている、憲法ができた昔と今とでは国際情勢も大きく変わってしまった、自衛隊も安保条約が深化し、自衛のみならず日米合同訓練など「軍隊」として活動しているのだからきちんと存在理由を示すためにも「改正」が必要だと言うご意見だろう。
 確かに一理あるように思える。
 が、この現実に合っていないから憲法のほうを現実に合わせて変えろ、という意見を聞くたび、昔聞いた日本の軍隊、陸軍での靴のはなしを思い出す。父から直に聴いたと思ったが、呆けて今確認がとれない。父当人の話ではないのかもしれない。

 父は六尺男と言われたほど、大正生まれの人として当時は大男で、とうぜんながら足もバカでかい。27㎝ではキツくて、通常28㎝~ないと靴はきつくて足が痛くなる。
 ゛徴兵され軍隊に入ったとき、支給された靴がサイズが合わなくて痛い。それを申し出たら、上官は、バカ野郎!靴を足に合わすのではなく、足を靴に合わすんだ!と怒鳴り殴られたという話だ。

 無理無体なはなしであろう。でも日本の軍隊ならば、特に陸軍ではさもありなんという話で、足に靴のサイズを合わせるべきところを、靴のサイズに足の方を合わせろという暴論がまかり通るのが「戦争」というものなのだろう。
 憲法が現実に合わないから、憲法のほうを現実に合わせろというご意見を聞くたびに我はこの「靴のはなし」を思い出してしまう。

 本来、憲法が先にあるのだから、現実はそれに常に即して、つまり合わせていかねばならなかったのだ。それを拡大解釈や、自衛のため専守防衛のためとして自衛隊を設け、そしてそれは肥大化し、軍隊化し続け庁から省へと格上げされた。
 そして安保法制もできてしまったことにより、専守防衛の枠を超えて海外でも戦闘行為を含む活動ができることになり、ますます「違憲」の疑いが高くなってしまった。もし、アメリカが北朝鮮を先制攻撃した場合、日本も安保条約により同盟国として「参戦」しないとならないのである。しかし、今の憲法ではそれはまさに違憲とされてしまうのではないか。
 ならば、だからこそ一日も早く改憲して自衛隊が軍隊として堂々と国際的に活動を認められなくてはならないと晋三は焦るのであろう。
 しかし自衛隊を新たに別項で書き加えるにしろ、全面改定にせよ、憲法の理念を否定し無理やり現実に合わせるのには変わりがない。

 国民の多くが今それを強く望み求めているのならばそれもわかる。我も世論に与しよう。が、今も改正と反対が拮抗し、国論が二分されている国家の根幹に係る大問題を拙速に、期限付きで決められてはたまらない。
 一回や二回の選挙で、当選した議員たちだけで未来永劫、日本という国家の先行きを決定する「憲法」を変える道筋をつくることは許されない。もっと慎重かつ丁寧な熟議のときを持つべきだと我は考える。
 憲法は今すぐ買える必要はまつたくない。まして安倍晋三主導で、お試し改憲などされたらたまらない。

 今回の総選挙、我は憲法問題こそ、最大の争点だと考えている。

 このところあちこちで我が「ぶらいあんず」で唄っているうたの一節を記す

 ♪ぼくらの国の憲法が 勝手に解釈変えられて
   世界のどこでも戦争が できる国にされていく
   それが時代の流れだと、君はすまして言うけれど
   戦争だけは許されない そうさ、そうだろう