憲法を変えて日本も戦争のできる国へ、核兵器が持てる国に2012年11月22日 09時58分31秒

★自民党の「公約」に思うこと~この道はいつか来た道。

 来る総選挙に向けてさっそく自民の公約が出た。タカ派安倍前首相らしく従来の自民党よりもかなり右より路線に大きく舵を切った大胆なものである。要するにこの党も旧来のリベラルな保守主義者、小沢一郎や亀井静香のような穏健派は既に党を割って出てしまったので、ゴリゴリの真性右翼保守しか残っていないということなのであろう。

 その目玉は経済政策もだが、憲法を改定して集団的自衛権の行使、自衛隊を「国防軍」にするというもので、要するに日本を米軍と共に他国でも戦争できる国にしていくということだ。強い国となるためには当然核兵器も必要なのだろう。
 いっぽう今問題のTPPも原発問題もこれから検討するという程度に留めていったいどうしていくのか明かさずアイマイにしたままだ。ざっとの感想であるが、この公約、きわめて心情的、すべてに具体性を欠くという印象だ。
 まあ、先の選挙の民主党のように個々に具体的「マニフェスト」を一つ一つ掲げてしまうと八つ場ダム建設中止にしろ普天間移設にしろ言葉尻を捉えられ公約違反と批判される。ならば個々の案件については語らず政権獲得後の将来的ビジョンを掲げる程度にしてこうした強い国にするから政権を任せてもらいたいと開き直るというのも一つの手であるしそれはかまわない。問題はその「強い国」のあり方である。そして橋下+慎太郎=維新太郎の「心情」とどこが問う違うのかだ。

 維新を率いる橋下氏は、慎太郎の太陽の党との合流を野合と批判され街頭演説でこう言っていた。「政策なんてどうでもいいんです。要するにそれを実現できる実行する力があるかどうかなのだ。我々にはそれがある」と。思わず耳を疑ってしまった。
 そう、確かに彼にとっては政策、マニフェストなんてそもそもどうでも良いのであろう。どんな公約を掲げたってそれが実現できないなら確かに絵に描いた餅と変わりはしない。彼には強い権力志向と反対意見にはいっさい耳を傾けないどころか弾圧さえしていくという前科もある。君が代を歌っているか赤い教師の口元をチェックさせた男だ。俺なら口は開けるが声は出さないで唄ったふりをするが、要するに何が何でも「自分の考えに従わさせるのだからその意味で実行力は確かにある。

 彼は議会制民主義というもの、議会で討議を重ねて妥協折衝して政策を調整していくという方法も大嫌いのようで以前より民意を託された統治者は全権委任されていると公言していた。つまり独裁者は彼の考え一つで何をやっても許されるのである。ゆえに個々の政策、ましてその違いなんてそもそもどうでも良いことだと考えているに違いない。それは妄動老人慎太郎も全く同じゆえ原発もTPPもすべてが大同小異だと言うのである。

 これは賭けとしてかけてもいいが、選挙後の枠組みとして、民主党はともかくも自民と維新が躍進しても共に過半数がとれなければ必ず二党は合流するか連立政権を築く。安倍氏曰く「維新はよきライバル」である以前に、何故なら安倍、維新太郎三人共にウルトラ右翼、改憲主義者であり、安保堅持・米国追従の輩なのだからそれが合流しないほうがおかしい。
 彼らに政策なんてそもそも必要ない。あるのはこの国をかつての強い神国日本へ戻そうという強い信念と懐古的「心情」だけなのだ。そして彼らはこの自民党の「公約」を実現していくだろう。尖閣にせよ竹島にせよアジア地域の紛争に武力をもって対峙すればそこはイスラエルのガザ地区のような状況が生まれる。武力と武力での闘いには一方が勝っても紛争解決とはならないことは歴史が証明している。

 戦闘で死ぬのは戦争が好きな軍人だけではない。彼らの何倍もの数の民間人が紛争のたびに殺されていく。政治家は国民の命と暮らしを守る義務がある。だのに彼らは今また昔のように戦争がすぐできる強い国にしようとしている。憲法を変えてもう一度かつてのようなキナ臭い時代に戻していくのか。この衆院選はその背戸際なのである。