続・人はいかに死すべきか2013年08月19日 09時40分38秒

★人はことさらに命縮めることなかれ アクセスランキング: 174位

 伝説のバンド、村八分のギタリストである。しかし当然ながら自分はリアルタイムで彼らを観ていない。
 よく、はっぴいえんどと並び称され、黎明期の「日本語によるロック」で語られることは多いが、前者が常にメジャーシーン、解散後もメンバー全員が日本のポップシーンで活躍したのに対して村八は常にマイナーであり陽と陰、光と影の陰であった。
 ビートルズとストーンズに近い関係でもあったが、ストーンズは独自の立ち位置を深め確固たる地位を築けたが、残念ながら彼らは伝説だけを残してけっきょくこれで「自然消滅」してしまったことになる。ある意味、それこそがほんものの「ロック」、その精神に殉じたと思える。


  富士男の死も新聞報道によるかぎり、福生の駅前でタクシー待ちをしているとき、米兵と口論になり突き飛ばされ頭をうって意識不明になって結局回復しなかったと記されている。ということは彼もこの近所、福生界隈に住んでいたのか。
 実はつい先日、その友人Dと国立で呑んだときも、山口富士男の話が出た。Dが過日観た、どこそこのライブにゲストで?出た富士男はギター弾いたもののもうヨレヨレぐずぐずの出来で「大丈夫か!?」と周囲を慌てさせたほど体調はかなり悪かったそうだ。その話をした矢先の死の知らせである。

 似たような死に方をしたのはあの中島らもである。階段から転げ落ち、頭を強く打ちけっきょくそのまま意識が戻らず死んでしまったのだ。
 思うに、若い時からドラッグやアルコールに長く深く親しむと、老いてきてつぶしがきかない。むろん歳とればだれもが体にガタがくる。しかし長年のアルコールやドラッグに浸かった人は血管が詰まる云々以前に特に命がか弱くなっているように思える。

 肉体と魂とをつなぐ見えない線が誰にでもある。若い時は頑健でちょっとやそっとでその線は切れることはまずない。事故にあっても生還率は高い。しかし老いてきて、しかも若い時からそうした無理を肉体に強いてきた人はその線がごく細くなっている。そして些細なことで線は簡単に切れてしまう。考えてみれば高田渡もその仲間であろうか。この死に方は倒れればそのまま意識が戻ることはない。

 自分は若い時はかなり無茶したが、幸いドラッグの類はやらなかった。福生という土地柄、高校の後輩には覚醒剤で逮捕されたやつもいたが、今どうしているだろうか。
 ドラッグというものはアルコールでさえも長く飲み続けると命を縮めていく。このところ出かけられないストレスでやや飲酒が進んでいた。告白すると昨日のようなイベントがあると料理作りながら手持無沙汰につい呑んでしまう。気がつくと焼酎のボトル、金宮がほぼ空になっている。一人で氷入れてついつい呑んでしまったのだ。

 一晩たち宿酔はしていないが、気分はひどく落ち込んでいる。これも過度の飲酒の仕業だ。まったく情けない。もう酒はやめたのではなかったのか。今深く反省気味である。

 今度また藤野に行ったとき、富士夫が若い時愛用していたというダイナミックギターを弾かせてもらおう。自分もまたうっかり迂闊に死ぬことのないよう願いながら。
山口富士男 合掌