良くも悪くもどこかで誰かが見てる、見られている・後2014年04月21日 22時25分40秒

★秘密保護法のある時代の「ブログ」     アクセスランキング: 118位

 今、アメリカの大統領オバマ氏が近く来日するからだからだと思うが、ウチの近くの米軍基地ヨコタエア・ペースの周りは警官やパトカーでいっぱいである。今日は買い物もあって基地の近く、区域では福生市側に行ったらその警備の物々しさに驚かされた。犬も連れていたので職質こそされなかったが、ジロリと睨まれもしたのでいや~な感じであった。

 さて、今更だがブログを書くこと、逆に書かれることについて考えている。
 我、マス坊はいつだって迂闊で考えなしであったから、これまでブログにせよ何にせよあまり深く考えずに書きたいことを一気に書いてほとんど推敲も点検や確認もせずにアップさせてきた。
 で、先だってもとある急死されたミュージシャンについて追悼の意を込めて思うところを書き、知人から聞いた話として故人が生前よく利用していた店のことも文中で記した。自分はその店のことは昔よく知っていたということもあった。
 ところがしばらくして、その知人のところにその店から抗議の連絡があり、こちらにもブログ削除の申し入れがあった。拙ブログでその店の名前を載せて書いたがため、それを読んだミュージシャンのファンが何人も店に押しかけ店側が迷惑だとお怒りになったのであった。むろん慌てて即その店の名前とその部分は削除した。後ほどその知人や関係者たちに深く詫びたが、危うく営業や業務問題にも発展するところであった。思い返しても冷や汗ものである。
 今思えばどうして店の実名を出してしまったか自分でも訝しくさえ思うが、要するに深く考えず拙速に書いたのでそこまで意識が及ばなかったのだと考えるしかない。何にしろ相変わらずバカであった。

 そんなこともあったのでこのところはブログ内で他者や他の店などについて書くときはアルファベットでの頭文字程度で表すようにして、実名は控えるようにしている。むろんその名前で広く公的に活動されている方は別として、まして一個人、市井の方は本名であろうとなかろうとブログに載せるときは確認をとることを原則とした。それは画像、写真の類も同様のはずだと思えるが、集合写真などの場合は、撮るときはともかく載せるときはまだいちいち各人ごとに確認はとっていない。幸いにしてこれまでは拙ブログにその「店」の場合のような抗議と削除要請は来ていなかった。

 と、つい先日のこと、関西在住のアマチュアのシンガーの方からメールが届き、マス坊が数年前、出向いてブログに上げた、フォークフェス観覧の「報告記」の中での彼の氏名と顔写真を削除してほしいという申し入れを受けた。
 その方は、たしか本業は堅い公務員的なお仕事に就かれていた方で、傍らその頃は本名で過激なフォークソングを唄っていたのであった。ただ、このご時世である。当人からのメールによると、「本名がネットに出てくるため、問題が生じる可能性があり、《略》今の世の中、何が起こるか分からないので、慎重にならざるを得ない。下手をすると『信用失墜行為』ととられかねないものですから・・・」とのことで、全く同意同感した。当然ながら即そのお名前と画像を削除いたした。

 ご当人もお会いした頃は、まだ「ネットの恐ろしさも何にも分かっていなかったので、本名であの手の歌を唄っていたのですが、途中でネットの恐ろしさを知り、芸名で歌うようになりました」とのことだそうで、つい先日、マス坊の記した、その旧いほうのブログを再確認して、まだ昔の姿がそのままネットに流れ出ていることに気が付き驚き慌てられたということのようだった。まったく申し訳けないというか、これもまたこちらの失態であった。削除の上で彼にはお詫びのメールをいたした。

 前回も書いたが、自分は書いたものをほとんど読み返したりしない。それもまた無責任だと誹りを受けても仕方ないが、その頃、つまり2010年の頃は、まだ老親も老犬も今ほど手がかからなかったので関西方面までも足を伸ばしては各地のフォークソングフェスやライブイベントに精力的に顔出して、行ったからにはその模様を画像入りでルポする行為が我が使命だと任じていたのであった。
 だから、自分が観たライブに出た方々の写真と名前を載せて、コメントも付けてブログに上げる作業に専念していた。当時はそこに個人情報とかプライバシーという考えはまったく思いつかなかった。ライブに出てくるのだから名前も顔もブログに出して何が問題なのかと安直に考えていたのであろう。
 しかし、例えばの話、会社を風邪ひいたとか口実つくって休んだ上でライブに参加していたら、もしその姿がネット上で流れてそれを上司が発見したら「信用失墜行為」として何らかの叱責を受けても仕方ないしそれが反原発のデモや集会だとまして公務員的職業の方だと顔や氏名がネットに上るのはマズイかとも思える。むろんそんなことは個人の思想信条の自由と開き直れる方は良い。しかし過激なフォークソングを唄っていることは知れたら勤務評定には決してプラスになるわけがない。人には思想信条も大事だが、より「生活」も大事なのである。
 そう、今の時代、ネットで検索かけてしまえば、顔はともかく、氏名などたちどころにヒットしてしまうのであった。そしてどういう文脈でその名前が出てくるかである。体制内で生きている宮勤めの方にとってはますます生き辛い世の中、大変危険な息詰まる社会だと想像する。
 
 最近ふと思うのだが、今のような右傾化した強権政治がさらに進めば、明治の終わりに起きた幸徳秋水らの大逆事件のような国家的謀略事件が簡単に起こせるのではないか。
 ご存知かと思うがこれは、ときの権力者側が幸徳ら社会主義者、無政府主義者たちを大量に逮捕し死刑に処した大謀略事件であった。数名のテロリストたちが爆弾を作ったことは確かと確定されているものの、彼らと「つながり」があったというだけで、ジャーナリスト幸徳秋水をはじめ主義者や僧侶など連座したとされる24名が逮捕され拙速な裁判で22名に死刑判決が下り、幸徳らは即処刑、または獄死した者も多数出たという一大冤罪事件である。これは当時高まりつつあった社会主義運動を弾圧するために明治政府、国家が企んだ謀略事件であった。

 幸徳秋水に自分をなぞるのは僭越の極みであるが、もしも国家権力がマス坊を国家反逆罪等で逮捕した場合、このブログに名前が載りよく出て来る方々もつながりがあったというだけで「共謀」したと逮捕され冤罪で獄に投ぜられるかもしれない。そうした時代に戻してはならないと強く願うしそのための闘いは続けていかねばと心しているが、お名前の記載など迂闊な事態は避けたほうが良いかと思える。
 自分は政治批判など覚悟の上で書いている。自らがそれで逮捕されようとも良くはないし困りもするがその覚悟はなくもない。しかし、先のフォークシンガーの件のように、このブログで繋がっている方に結果として疫が及ぶことは望まない。それこそ申し訳ないではないか。
 自らの迂闊さから足を取られることは避けたいと願う。

 なんであれ、特定秘密保護法のある時代、国家権力はさらにどう暴走するかわからない。だからこそ一人一人がどのような形であろうとも声を上げていくことだ。そして連帯あるのみだ。冬の時代だからこそ縮こまって閉じこもってはならない。外に出て権力者の不正を糾弾していく。ブログにも書いていく。