一人暮らしのまま老いていく2014年04月28日 18時46分30秒

★悲憤慷慨のさなかにあるが          アクセスランキング: 181位

 誰であろうと人の死は常に哀しくショッキングなものであるわけだが、同時に何ともやるせない、憤りのようなものもわいてくる。
 ウチのごく近所、ほぼ隣三軒のところに幼稚園からの幼なじみ、つまり同級生がいるのだが、その彼のご母堂が亡くなられた。明日がお通夜だが、詩朗読ライブがあるので無理なので、明後日の告別式に行かねばならない。
 昔からごく親しくしてきた友人の母であるわけだからウチの親と同世代であり歳も違わないはずだからもはやいつ死んでも不思議でも何でもない。八十代も半ばになるのではないか。しかし、最近もいつも元気で、つい先日も庭先で見かけた気がしてたのに、どのくらい入院されていたのかわからないが、急な知らせに驚かされた。と同時に、残された友のことを思いやるせない気持ちでいっぱいだ。悲憤慷慨である。

 というのは彼も自分と同じく独身男で、もう10年ぐらい前に父親を先に亡くし、以後はずっとその母と二人暮らしであったのである。しかも堅気の商社マンで、これからたった一人で会社勤めの傍ら日々の暮らしをうまくやっていけるのか特に気にかかる。故人が長年ずっと可愛がっていた小型犬も残されている。
 老人の死、それもかなり長生きされた方の死はある意味当然で仕方なく驚く以前にただ受け入れるしかないはずだが、一人残された友のことを思うと悲憤慷慨という言葉が浮かんできた。それは他人事ではなく、まさにこれから自分の身にも訪れる事態であり、決して望んだわけではないのに、親たちが死ねばたった一人で人生を生きていかねばならない「現実」が重く圧し掛かってくる。

 むろん人は基本皆一人であり、愛する妻や夫と死別するのもそれはそれで辛いことかと思うが、それでも子供や孫がいればまた哀しみや辛さも紛らわすことができよう。しかし独り者は親が去れば天涯孤独の身となり、まあ彼も自分も女の兄弟は一人いるものの、もし一人っ子ならば先のk氏の事例のようにその身の消息さえ誰もわからなくなってしまうのであった。

 結局のところ、何だかんだ言っても人は結婚し子供を作っておくべきだと今は強く断言する。独り者で良い理由や利点はまったくないと思える。結果として離婚したとしても子供さえいれば老後の世話を見てもらえなくとも本当の「一人」ではないし、死後の処理も手配してもらえる。まあ、死ぬ身、当人は死ねば現世のことなどどうでもかまわなくとも、それまでたった一人で生きていくことこそが辛いと想像する。
 よく、新聞記事などではそうした独り者たちが集ってグループホームのような共同生活を送る「老後」が提案されているが、果たしてそんなことが可能かと自分は半信半疑でもいる。というのは、独り者は独り者の生活スタイルが強く身にしみ付いてしまっているので今さら老いてから突然そんな他者と暮らすことなど絶対にできないと思えるからだ。自分だってそんなとこまっぴらだという気でいる。
 むろんもう半身不随となりかなり呆けてしまえば嫌でも一人暮らしなどしたくたってできやしない。行政などの手でそうした施設に入れられて誰かが最終的には「処理」してくれるかと考えるが、そうならずに老いた身で残りの人生をたった一人で生きていくことは快適か、楽しいかと自問している。不便もだがただ寂しいだけではないのか。

 しかし今この国にはものすごい数の男女を問わず独身者が存在する。ウチの町内を見ても女はともかく男の独身者、それも若者でない一人暮らしは何人もいる。結婚して離婚された方もいるが、基本的には生涯独身という人のほうが圧倒的に多い。皆親たちの遺した家に親たちが死んだ後も一人で暮らしているのである。
 そうした老いた独身男たちはこれからどこへ向かうのか。団塊の世代の老人問題よりもその後の大量独身者の老人時代のことを我がこととして憂う。だって団塊の世代の方々は皆さんかなりの確率で結婚しているのである。離婚者は多くとも皆子々孫々は拵えている。ところがその後の世代、ポスト団塊の我々の世代となると独身者がやたら多くなっていく。その傾向は若年になるにつれてさらに増えるのではないか。そこには貧困と格差という政治の課題、問題も多々あると考えるが今はふれない。

 親たちの世代は戦争もあったので、ともかく兄弟も多い大家族であった。だから今も葬式や法事には自分の叔父叔母がたくさん集う。また甥姪もたくさんいる。しかしこれからの日本人は基本的に少数の家族で兄弟も少なくまして結婚もしないという人たちばかりとなっていく。誰もが一人で生き一人ぼっちで死んでいく人たちばかりの国に未来はない。

 日本の問題は、憲法や原発のことも大事であるが、それよりもいちばんは少子高齢化、そして結婚をしない、できない男女の大量増加ではないか。自分の場合は、人間性に多大に難あって結果として女にも男にも誰からも相手にされず今に至っているのであるが、他の方々はいったい何故結婚をされないのであろうか。そんなに独身生活は快適か。楽しいのか。一人でも淋しくないのか。

 それはさておき、明日の「詩朗読ライブ」、一人で支度して料理も作って何から何までやらないとならない。風邪気味だが無理せずにがんばるしかない。