「本」というメディアの終焉・中2015年04月20日 09時15分53秒

★町の本屋さんが消えて行く          アクセスランキング: 141位

 前にも書いたことだが、今、町中の昔ながらの個人商店的本屋が、どんどん閉店している。
 それは、コンビニの出店と反比例している。というのは、コンビニでは雑誌、コミックス、ちょっとしたムックや文庫は常に置いてあるから、そうしたものはコンビニに寄ったついでに飲食物と共に買い求める人も多いだろう。
 そしてもっと高い本、文芸書や学術的専門書などは、街中の本屋にも置いてないから、昔なら新宿紀伊国屋書店とか大規模書店に出向いて購入したり、街の書店でも注文して取り寄せたりしていた。
 それがインターネットの家庭での普及により、皆、ネットで検索してはAmazonや楽天などから注文してしまう。カード決済で簡便であるのと送料も今はほとんどかからないし遅くとも注文の翌々日には届いてしまうからだ。

 となると、町の本屋の役割は何もない。まあ、集客力のある大規模なショッピングモール内にある大手チェーンの書店ならば、様々なアイテムが置いてあるので、本過ぎの人なら時間潰しに売り場を覗いているうちについつい予定外のものも買い求めてしまうこともあるかと思えるが。

 青梅沿線、拝島より都心寄りで、自分がよく知り利用していた本屋、古本屋の現状を現時点、2015年春の段階で記すと、本屋の撤退、縮小が相ついでいる。
 東中神駅ターミナルに、何十年もあった書店は、先だって移転し、規模をごく小さくして品揃えも少なく再開したが、もう本屋として覇気もやる気もないような感じだ。

 昭島駅近くにある、広い駐車場を擁する、別にコミックス専門売り場と文具も置いていた中規模の書店は、コミックス売り場は撤退して、文具売り場をなくして、合わせて一店舗のみに縮小して再開したところだ。
 まあ、二店とも閉店はしなかったが、この時勢に合わせて規模縮小を余儀なくさせられたのである。
 その東中神の公団内アーケードモールにあった、古書組合に加盟していなかった古本屋もつい最近閉店した。これからはネット販売だけでやっていくと貼り紙はしてあったが、どうされたか。

 となると青梅線沿線で、実店舗の古本屋は、昭島の、青梅線からも見える「さわやか文庫」だけとなり、まさに孤軍奮闘、店主は良く知る人だが、本当に頭が下がる。彼は八王子にも実店舗を持っている。※拝島以西にも書店はあるかと思うが、再開発なった拝島駅前南口の書店以外は認知していないのでここではふれない。

 それにつけ加えて、本をとりまく状況の一環として、ヤマト運輸のメール便が先月末をもって廃止されたことはネットで物を売る商売に携わっている個人にとっては大きな障害となった。

 これまでは、薄い本、1cm未満の厚さの本ならば、サイズはほぼ関係なく、ヤマトからメール便82円で送れた。2cmに満たない本ならば、164円。郵便局よりは時間がややかかるとしてもこれは安い。なので例えば一度に3冊の注文を受け個別に発送するとしても500円超えることはなかった。
 今現在、Amazonがこちら側に支払う配送料は、1冊ごとに257円。それは厚さは一切関係ない。つまり、ぶっちゃけ、メール便で発送すれば配送代からも儲けが出ていたわけで、多くの出品者はヤマトを用い、Amazon側に手数料をかなり引かれてもまあ、そうした相殺で利潤を生みだしうまくやっていけていたのだ。

 ところが、それがなくなると、結局のところ郵便局からのゆうメール、かつての冊子扱いで出すしかない。佐川急便にも「メール便」はあるのだけれど、それは個人では利用できない。
 このところの実感として、例えば3冊本を発送しに郵便局に行くと、1冊ごとに300円、もしくは350円は必ずかかる。つまり、本を3冊出すたびに毎回千円~かかってしまう。ヤマトのメール便で出していたときの倍以上である。これは痛い。

 むろん、配送代から儲けを出そうなんてさもしい考えである。しかし、Amazonが今支払ってくれる配送代は変わらずに257円なのだから、こちとらが超過分を常に持ち出ししている。つまりAmazonに手数料は引かれた上に配送料で赤だしていたらそもそも商売としてやっていけない。
 中には、今回のメール便廃止を機に、出品価格を見直して全部値上げしたという業者、出品者もいたようだが、それは全出品者が同時にやるのならともかく、一個人でやれば単にますます売れなくなるだけだろう。

 自分の場合、とても面倒で一冊ごとそんな再値付けなどやる気はない。それで、ほとんどじっさいの儲けはないまま、注文受けては毎回郵便局で自腹切って発送している。つくづくAmazonは殿様商売だと思う。いや、郵便局もだが。

 そうしたこと全てが、もう本に未来はないと、つくづく嘆息する要因なのだ。

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