人はただ生きているだけで有難い。2011年02月19日 23時29分17秒

★とりあえず一つの峠は越えたけれど。

 ご心配おかけしてたいへん心苦しく思う。
 おかげさまで、滞っていた腸内の液体は鼻からチューブを通して外へ出すことができた。今とりあえずは安堵している。

 入院して以来、母の容態は喉から静脈に直接点滴で栄養を入れて最初の一週間で、腹に溜まっていた腹水も出て、足のむくみもなくなり、ぽっこり膨らんでいた腹もぺったんこになったのでそろそろ口から食べ物を摂れるかと医者も考えていた。点滴のせいか当人も元気で病院内を歩きまわることもでき休憩室でテレビも見れた。

 ところが、14日の月曜日、トイレに入っていたら突然激痛がおそい、寒気がして歯もガタガタ震えて、慌てて看護士を呼んでベッドに戻された。エコーかけたりしての診断は、腹膜炎を起こしたとのことで、高熱も出たが、抗生物質や解熱剤の投与で、二日ほどで熱も下がってきた。
 そしたら、今度はまた腹が膨らんできて、小便の出も少なく便通もなくなってしまった。

 口から何も食べていないのに便が出るのは不思議な気もするが、血液の中に流し込まれた栄養分や水分、排泄物は当然尿や大便として排出される。だのにどうしたことか腹膜炎の後から腸が動かなくなってしまい体内に溜まる一方となってしまったのだ。
 生きるために点滴は続けているからどんどん腹が膨れていく。金曜日の段階で、医者たちは腹水なら注射で抜こうとか、肛門からバキュームしてガスを抜くことを試みた。しかし、検査したら腹水はそれほど溜まっていなく、バキュームはしたものの効果なかった。

 病院は週末は医者たちも休みで、急患はともかく基本的に治療行為は行われない。だから果たしてそんな状態で、月曜まで大丈夫かと不安で溜まらず家にいても気が気でなかった。しかし、病室にいたとしてもこちらができることは何もない。せいぜい励ましの言葉をかけたりお腹を摩ることだけだ。

 今日土曜日19日は当初、看護士たちは、浣腸を試みようと考えていた。でも幸い今日は担当医も来てくれて、今の状態で腸にさらに圧をかけるのは危険すぎると、鼻からレントゲンで見ながら時間かけてチューブを体内に入れて腸の溜まった水分を外に出すことになった。

 自分は昼頃、ちょうどその選択決定の場にはいたが、いったん家に戻り、本の梱包発送とか用事を済ませて再び夕刻病室に行った。母は鼻の片穴がふさがれそこからチューブが伸びて、床の袋に雫が垂れ落ちていた。
 幸い元気そうで、チューブを通したとたんすごい勢いで沢山腸から水が出たとのこと。腹の張り、つまり腸にかかっていた圧はだいぶ軽くなったので楽になったようだ。あのままでは腹が張り裂ける苦しみだったかもしれない。
 しかし点滴を入れればまた腸内に水分などは溜まっていくわけで、腸が自ら動いて自然に小便や便通でそれらを出さない限りこの鼻のチューブも外せない。幸い腹膜炎のほうは収まりつつあるとのことなので、今はただ、腸がまた元通り動くようになるのをただ願い待つだけだ。

 本人も家族も絶望もしていないしまだ希望は捨ててはいない。今はただともかく生きているだけで有難いと思う。それは母だけのことではない。どんなに辛く大変でも人は生きていれば何でも出来るしどうにかなる。生きていることはほんと有難い。

 今このような状況になって、つくづく自分はこれまで小さなとるに足らないことに囚われ苦しみ悩んできたと改めて気がつく。身勝手で親不孝だった悔いは多々湧いてくるが、今はまだできることやるべきことが沢山ある。自分の愚かさを責めるのはまだ早い。
 また状況は辛くてもお知らせする。