もう一つの日常の中の非日常なできごと2013年11月14日 22時18分31秒

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 一泊二日で家中みんなで出かけて夕刻早めに帰ってきた。天気は良く山々の黄葉も見ごろで満喫できた。
 が、毎度のことであるが、疲れに出かけていくようなものだと思える。よぼよぼの超老犬バドと認知症の親父たち、その他にやんちゃ盛りのベルコと準老犬ブラ彦乗せて犬三匹、人三人の外出は、渋滞に巻き込まれなくてもその世話だけで疲労困憊である。ともかく目が離せないし世話がやける。

 鉱泉も入れたが、親父は例によって先に出ると騒ぎ、実際に勝手に出てしまったので、自分としては物足りない気分で出ざるえなかたが、それでも一時間半は入れた。願わくばその倍は浸かっていたい。
 そして問題の右腕のほうは、連日の高速道での運転したわりには温泉効果のせいか行く前よりは楽である。しかし風邪が悪化したようで今は喉というか鼻の奥のほうが痛い。咳も出ている。本格的な風邪に進行しなければと願う。温泉に行ったのにどうしてそんな事態になったかというと、昨晩はほとんど一睡もできなかったからだ。
 寝たには寝たのだが、まったく熟睡できなかった。その理由について書くべきか迷ったが、書いておいたほうが良いかもしれないのであえて書く。

 今回、山梨県北杜市須玉の古民家へ行ったのは、紅葉観覧と鉱泉での湯治もあったが、向こうの室内の片づけと、前管理者の方と水道料金など支払いの手続き移転、それにプロパンガスの設置と契約もあって親たちも連れて一家全員で行ったのだ。
 今まではガスが切れたままでつかないからお湯わかすのも電熱器を使っていた。ようやくこれで自由に調理できることになった。あとは風呂がまだ使えないが、近くに鉱泉以外にも公営の温泉がいくつもあるのでそれは急がない。

 しかし前も書いたことだが、こうして頻繁にその古民家に出かけるようになり泊まってくると、もう当初の非日常感、目新しさやドキドキ、わくわくするような新鮮味は失せて、ただ場所が変わっただけの「日常」でしかなくなる。しかし、まだ完全に自由に使えるわけでもないし、前所有者方の荷物などがかなり残っていることもあり、やるべき課題も多々あるので緊張感はまだある。気持ちも何も完全に自分んち、自分の家というわけでは当然ない。ただ、行くとやはりここもまた「日常」化してきたなあと思う。

 そしてたぶん結婚もそうであるように、時と共に醒めた目で「相手」をしげしげと見直すと、やたらアラ、問題点も目に付くようになってくる。最初の頃は目新しく素晴らしさに夢中で気がつかなかったが、やはりここは古民家というからにはあちこちガタがきているし外から見てもペンキを塗ったり雨樋や瓦の補修など手を入れないとならないことばかりなのである。

 今自分の住んでいるこの家だって手をいれるべくやるべき課題は山積みの状態で、バカなこと=もう一つ別の場所という新たな日常を手に入れたことをやや悔やみ始めている。しかしそれは結婚がそうであるように、結婚したから気がつき、一緒に住み始めたから相手のアラも知り目に付くようになったわけで、独身のままでは絶対わからないことだったのである。
 ならばそうした「欠点」や「失望」もまた仕方ないのだと、結婚したことのない自分も考え、この古民家の「問題」も受け入れていくしかないのだと考えた。

 と書きつつも、まだ一年も経っていない。初めて訪れたのが五月の連休だったのだからようやく半年。季節は春から夏へ、そして今、秋から冬へと移り、初めての冬を体感し始めたところなのだ。そしてそこには新たな新鮮な驚きもあった。当然予期してはいたがやはりここ、山梨の山奥はかなり寒いのであった。

 今朝方は東京でもこの冬一番の寒さだったそうだが、朝はそとは霜が一面におりていたし、車は夜露が凍って冷凍庫のアイスクリームのようにフロントガラスからボディまで真っ白に硬く薄氷に覆われていた。外のバケツのたまり水も凍って簡単に割れる暑さではない氷が張っている。
 幸い水道が凍るほどの寒さではないが、昨晩は厚い布団をかけて寝たが体よりも顔が寒くてひりひりしてまず眠れなかった。何しろ広い大広間なので暖房器具は基本的に何も備わっていないのだ。起きているときは灯油ファンヒーターをつけて暖をとっていたが、寝るときは消す。当然布団しか体を温めるものがない。すると布団から出ている顔がやたら寒いのである。

 しかし、ほとんど眠れなかったのは実はその寒さではなく、「音」であった。ようやく少しうつらうつらすると、ごそっ、ごそっと二階を?屋根裏を、誰かが、いや何かが歩く音がする。寝ぼけていたから最初はウチのブラ彦が二階に上がって歩いているのかとまず考えた。しかし、犬たちは全員布団の中や足元に丸くなって寝ていた。ということは、何か、その犬ほどの大きさのものが二階か屋根裏を歩いているのである。その足音がうるさい。
 ネズミかと考えた。しかしネズミは昨年の冬、ウチでも繁殖し、退治するのに苦労したが、もっと素早く軽やかに走る。その何かはかなりゆっくりしっかりとした足取りでのしのしと歩いている。感じとしては小動物の大きさではなく、イヌ科の何か、タヌキとかハクビシンとかあるいはもっともっと大きい「何か」である。

 ひとしきりかなり大きな音でごそごそうろついてたかと思うと、静かになる。それでこちらも収まったかと思いうつらうつらするとまたそれが始まる。そううしているうちに親父もまたがさがさと小便に起きだし、シビンをあれこれしているようでまた起こされる。最初にその「騒動」に気がつき目覚めたのが午前一時頃で、それから何度も騒ぎは起こり、まだ暗い中、繰り返し「物音」に起こされて長い夜を過ごした。気がついたら朝で眠った気はほとんどしなかった。

 その古民家に泊まったのは、初めてではなく、親たちとも既に数回、ウチの社員とも何回か、自分一人でも一回ある。でもそんな物音はこれまで一度もしなかった。初めての経験だ。寒くなってきて何かが外から入って来たのか。ネズミなのか、いったい何なのか。今朝方、もう一度二階とかよく確認したがどこにも外から入れる隙間はみつけられなかった。

 親父はボケてるので何も気づかなかったが、母に確認したら犬は布団の周りをうろうろしてたようだが、物音は気づかなかったと言う。ならば自分の幻聴なのだろうか。しかし確かにあきらかにかなり大きい何かが、屋根裏をしっかり歩いていたと思えた。睡眠を妨げるほどの大きな音でだ。それは確かに体感した。
 このところ室内のガラクタを一部屋づつ、前持ち主の家族の方も来て片づけて室内をカラにしてきたから、追い出された何かが、動き出したのかもしれない。佐藤愛子先生が体験した霊障譚ではないと思うが、ともかくちょっと面倒なことでもある。ただでさえ睡眠が浅い自分としては死活問題ともなる。この古民家からそれはぜひ出て行ってほしい。第一、そいつがいると皆気軽に遊びに来てくれなくなる。

 暖房対策もしっかり考えなくてはならないと気づかされたが、それと並んでその真夜中にごそごそ歩く「何か」問題も何とかしないとならない。まあ、結婚もそうなのだろうが、住んでみないとわからないし、住んでみてもしばらくしてからわかることもあるのである。