陸の孤島に住む人たち2014年02月17日 22時18分24秒

★ネットよりも物流こそ大事であったのだ。      アクセスランキング: 177位

 ようやくマスコミもオリンピックよりも記録的豪雪がもたらした被害のほうが「大事件」だと気づき今回の大雪の余波を大きく報じるようになった。が、今も雪に道路が閉ざされ孤立したままの村落がいくつもあるようだ。
 この東京でもウチから車で一時間ほどの奥多摩町や檜原村でも何十軒、何百人も今も雪に道路は寸断されたまま、外からも中からも入ることも出ることもできない状況らしい。御岳山の山頂に住む宮司さんや土産物屋の方たちもケーブルカーが動かないので同様かと思う。そんな状況で電気も停電していたらこの寒さで人は何日生きていけるのだろうか。

 私ごとだが、パソコンとUSBで外部入出力端子を繋ぐケーブルを先日アマゾンで注文した。それが14日の金曜に発送したと小田原の会社からメール連絡があり、15日には配達予定とあった。ところがこの雪にぶつかりなかなか届かない。もう雪は16日には上がり、昨日届くと思ったが、けっきょく、今日、月曜日17日の夕方になってやっと届いた。
 配送状況を調べてみると、要するにヤマト運輸に渡ってから東名もだが高速道路がことごとく通行止めとなり、一般道路も雪で通れなかったり渋滞してかなり時間がかかったと推測される。まあ、それはこの天候だから配送業者の責は問わない。通常なら小田原からなら東京までは翌日配送である。それが大雪で3日かかった。

 しかし今頃になって、近くのコンビニやスーパーでは、パンや牛乳、豆腐、納豆などの生鮮食料品が棚から消えてしまったし野菜も産地から市場に入らないので数が少なくバカ高値が付いてしまっている。まだ関越や中央道は今もほぼ全線不通のままだし、いつになれば正常に戻るのかメドが立たないと市場関係者は眉を曇らせていた。

 あろうことかウチの古民家がある山梨県に至っては、ほぼ県全域がこの大雪で全ての道が寸断されてしまい「陸の孤島」となってしまった、と県知事が話していた。確かに中央道が不通、一般道も県に入る峠道が渋滞で通行不能となれば、人は山梨に入ることも山梨から出ることもできやしない。
 日本にはそうした内陸の海無し県がいくつかあるが、栃木や群馬ならば平野で他県と繋がっている地域が多いのでそうはならない。要するに山に四方囲まれている県ゆえの不運であろう。それはたぶん長野や岐阜もほぼ同様かと思う。そうした山中県は、こうした異常な記録的大雪があると県全体が「陸の孤島」化してしまうと今回判明した。

 考えてみれば、「陸の孤島」とは実に不思議な表現である。字義矛盾でありながら確かにそうとしか喩えることができない巧みな言い回しに感心する。そうした雪で閉ざされてしまった、そこから出ることも入ることもできない「孤島」状態が県単位はともかくもこの東京にだって村落、集落ではたぶんいくつもある。元から過疎の地域であり、時代の流れから取り残されたようにそこに昔から住む、老人ばかりの地区がウチから車で少し走ればいくらでも存在する。

 今の時代、インターネットで、一切街に出なくとも、家に居ながらで食べ物から衣類、雑貨、家電まで全て何でも手に入ると思っていた。揺りかごから墓場までという慣用句があるが、墓場はともかくもベビー用品から仏壇仏具まで、たぶんこの世のほぼすべてのものがネットで買える時代となった。必要なもの、欲しいものは何でも配達してもらい手に入る。しかし、それは郵便局網だけでなくヤマトや佐川などの宅配便、宅急便という物流が全国的規模で発展したからであり、その物流網があればこそのネット商売、通販であった。

 それがひとたび大雪で、高速道路から一般道路まで通行不能、交通がマヒしてしまうと、もうすぐに食べ物から自分が注文したパソコンアクセサリーに至るまで配達に遅れが出てすぐ届かなくなりスーパーやコンビニからも生鮮品は消えてしまう。
 インターネットの世界はとても便利だけれど、それはダウンロードできるもの以外は、全て配達してくれる、配送業者という物流が確立していたからであり、今回のように道路が雪で寸断され高速道路などが不通となってしまえばすぐにその配送システムも止まってしまう。

 「陸の孤島」とは、何も山梨県や山奥山間の集落だけの話ではない。もしまたこうした記録的大雪が関東や関西の内陸部を何度も襲えば、それは都市部であっても起こり得る事態であろう。交通が動かなければ金があろうと何も買えないのである。
 いや、翻って、この国、日本さえも、TPPで国内産の農作物、漁業がほぼ壊滅状態となったとき、地球規模的異常気象などで、米国やオーストラリア、中国等、海外から農産物、食料品が入らなくなった時は、すぐさま食料のない本当の「孤島」となる。

 そのときに困らないためにも、家庭も集落も国家もあげて、食料の備蓄と自給率を高めなくてはならない。「陸の孤島」は他人事ではない。この日本と日本人の21世紀の克服すべき課題なのではないのか、と残った雪の道を犬たちと散歩しながら考えた。

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