大阪都構想反対派の勝利!2015年05月17日 23時51分25秒

★官邸サイドは、地元の声に耳を傾けろ           アクセスランキング: 171位

 本日17日に大阪の住民を二分して争われた、維新の会が提示した大阪都構想の賛否を問う住民投票は先ほど結果が確定した。賛成も反対も70万と拮抗したものの約1万票の僅差で、何とか反対派が薄氷の勝利を得た。これで大阪の行政の形態は変わらないことが確定した。
 若い頃、天王寺や西成をぶらつき、かの地をこよなく愛した者としてよそ者ながらほっと安堵している。区域が再編され昔ながらの地名が消えてしまうのではと案じて憂いてもいたのだから。

 他の都市のことであり、二重行政についても維新の党の行政手腕についても良く知らないので論評は何もすべきでないと思う。が、そもそも大阪という日本第二の巨大都市を廃止し、今ある区を統合し行政の仕組みを根本から変え大阪再編するという、とてつもなく大事なことを住民の賛成か反対か二択のたった一度の投票で決めても良いのかという疑問がわく。
 橋下氏に言わせれば、これこそが民主主義だと自賛していたが、確かに、間に代議員を置かずに住民自らの意志で、大事なことが決められることは良いことのようにも思える。
 が、国の安全保障のあり方や、憲法解釈の変更も含めて、一時のことではない恒久的なこと、国民やその住民にとって将来にわたって深く関係する、確定したら変更が難しいとても大事な事案をたった一度の住民投票や、一内閣、一国会で安易かつ簡単に変更決定してしまって良いのだろうかと不安に考えてしまう。

 大阪の場合は、都構想は何年も前からのけんあんの事案であり、ここに至るまで相応の賛成反対の論戦と時間の経過と府民に説明や周知もあったのかと想像する。
 が、安倍政権が今国会に出してきた集団的自衛権の解釈を変更して、自衛隊が海外で戦争も可能とする法案などは、解釈変更からすら一年も経っていない。
 国民の間には論点の周知徹底どころか、何が何だかよくわからない人もまだまだ多いと思える。海外での邦人救出のためとか、国民生命と財産が脅かされ、国家存立の危機とか言われても、新たな法律でいったい何が変わるのか、これから有事に際し日本の将来がどう変化するのか特に若い人こそピンと来ていないのではないか。

 これまでの専守防衛という国家の方針を変えるのであらば、それこそまず憲法九条を変えるべく、そうした手続きからすべきでないのか。それを怠り、九条どころか憲法そのものをないがしろにして、日本の安全保障の在り方を180度変えてしまうことは果たして許されるのか。
 しかもそれを拙速に、一政権で決定して一国会で恒久法として新法成立を目論むとはあまりに急すぎるのではないか。

 その地域や国の未来に関わる、未来永劫関係してくるとても大事なことを決める法律、事案は、もっと丁寧に、慎重に時間をかけて討議され、府なら府民全体、国なら国民全体に理解され、その意志があまねく反映されるよう「国民的議論」が高まるまで待つべきではないのか。

 さておき、この府民の住民投票の結果はともかく、一番不快でならないのは、地元大阪自民党の府連は都構想に強く反対しているのに、上の自民党の官邸サイド、菅氏などはしきりに、自党反対派の応援よりも賛成派維新の顔色を伺い、何度も橋下氏側を支持、擁護するような発言を繰り返していたことだ。常識的に考えればありえまい。

 彼らにとっては今国会で、その悪法成立のために維新の党の協力は不可欠として、大阪の自民党地元議員たちの意志や気持ちを無視して賛成派が勝利し、考えが近しい憲法改正賛成論者橋下氏側の勝利を大いに期待していたのだ。
 全く呆れ果てる。あまりに身勝手であり地元をバカにしている。彼らにとって沖縄の基地問題も同様に、その現地の問題とそこに住む人々の気持ちにマジメに向き合うどころか、常に自分たちの私利私欲、つまり目先の政局のことしか頭にないのであった。これを対米従属一辺倒という。

 だから、アメリカから、嘉手納と同じく住宅地のど真ん中にあり周辺住民の安全が脅かされるこの横田基地に、オスプレイ配備を告げられても唯々諾々と受け入れるのである。官邸サイドの奴らにはそこに住む住民の気持ちなど常にどうでも良いのである。

 今回の大阪都構想反対派の勝利でいちばん驚き衝撃を受けたのは安倍晋三であろう。彼が思い描いていたシナリオが崩れた。そう、大きな岩も崩れていくのである。