プレ・オープニングイベント開催と現況報告・前2011年10月05日 22時50分29秒

★家作りには完成も終わりもないものであるが・・・

 とにもかくにもまず今月末の土曜日、29日の土曜に客人を広く招いて我が家のお披露目も兼ねてオープニングイベントをやることとなった。

 急な話のような気もしないわけではないが、本当の「本番」である“開店記念ライブ”に繋げるためにもリハーサル的にもまず「プレ」をやらないことには始まらない。その日を決めて成功させて本番があるのである。
 が、正直に今の状況を告白すると、まだ会場となる大広間には本の山が厳然と人の背丈以上に立ち尽くしているし、その日までに手を加えなくてはならない部分がまだかなりある。実のところこの家はまだ「完成」に至っていないのだ。
 このところつくづく思うが、家を新しくしてそこに住むようになってからほぼ半年以上過ぎたものの、家作りに真の「完成」、つまり終わりなどはないのである。
 むろん、普通の建築方法、つまり一から何もないところにまっさらな新築を建てたなら、おそらく大工から引き渡され、建て主がそこに転居してきた日が「完成」と言えるのであろう。しかしこの家は、前の旧い住居をベースに古材を活かした造りであり、しかも部分的には施主自身が施工を担当する箇所もかなりある。
 今年の正月があけて、しだいしだいに大工が来なくなって、一応の職人に頼る大工仕事がなくなった日が「完成」したといえなくもないが、そこに住まいを移して生活するようになっても増坊自ら床や柱、壁ににペンキを塗ったりする作業が続いた。それはあの3.11の日もそうであり、友人に手伝ってもらってこれから使うことになる台所の床にニスを塗っていた。
 そしてそれから半年が過ぎて、今その台所は何だかすごくうす汚くなってしまった。というのは白木の床材に水をはじかない塗料を塗ったので、調理や皿洗いの水仕事で垂れた水分がシミとなって黒ずんできたし、天井には蜘蛛が巣を張ったりと生活臭が強く漂う。
 それは使っていれば当然そうなることもわかってはいても、実のところまだ天井も白木のまま剥き出しだし、壁もベニヤを貼り付けたまま何一つ塗っていないのだからそのまま小汚くなって良いわけがない。
 恥ずかしい話、きちんと手を加えて「完成」させるところまで行かないうちに、生活の部分がどんどん浸食してきて、その時間もないままに家は薄汚れてしまった。
 まあそもそも今回この家自体が古い古材があちこちにある経年の趣がある増改築であったわけだから、新築の家が十代でデビューの新人アイドルだとすれば、中年デビューの演歌歌手のようなものであった。あるいは元横綱輪島のプロレスラー転向のようなものだろうか。そうデビューしたときからロートルであった。つまり最初からかなり年季の入った建物だったところに、きちんと手を加えるヒマもなくそこでの日常生活が始まってしまったものだから何か薄汚くなっていくのもいたしかたない。

 しかし、そんなことを言っていたら、永遠に「完成」記念のお披露目はできやしないし、真の完成はできなくても完成に近づくところまでもいかない。そんなこんなでさすがに焦るところがあった。今年ももたもたしていたら残すは三ヶ月弱となってしまったのだ。

 もう少し先延ばしにしようかとも考えたが、何事も早いに越したことはない。先のことはまたそこでどうなるかわからないのだから、まずその日を決めて無理してでもそこに向けてあらゆる準備を進めていくしかない。
 家作りには尾張も完成もないとつくづく思う。が、ともかく一応「完成」したとして人様に見てもらわねば、そういう日を作らなければいつまでたっても完成しないまま家は朽ちていくだけだ。