お別れは突然に2018年12月06日 17時47分19秒

★母亡き後、慕い気にかけて来た人の急死

 少年老い易く、ならば老人死に易いものだとつくづく思う。歳も歳だから当人も周囲も何も悔いはないと思うが、亡き母の親友が今朝がた急逝した。百歳間近かと思う。
 昨日の午後も会いに行き、言葉を交わしたときは変わらず元気な様子だったので、先ほど夕方訃報を知らされ信じられない思いでとりあえず遺体に対面して来た。
 顔色も良くまさに眠っているとしか思えない穏やかな御顔であった。思わず声上げて泣いた。こんなに号泣したのはいつ以来か。母のときは長い間折々泣き続けたけど思う存分声上げて泣いた記憶がない。

 その婆さん、Aさんは、長年古家に一人暮らしの方で、今日もヘルパーが来たとき、ベッドに横になって既に亡くなっているのを発見されたとのこと。医者の診断では心不全とのことで、朝食を一人で摂って、それから苦しくなって横になったまま息を引き取ったのではないかと。
 
 Aさん、は、我が母より確か10歳上の方で、ダンナは、戦前からの共産党の活動家で戦後も党の要職にあった人だと聞いている。母から、彼女の新婚時代、特高の刑事が逮捕しに土足で家に上がり込んで来たと聞いていたから、今こそ、当人からもっと「治安維持法」のあった戦前・戦中についてのことを詳しく聴いておくべきだった。
 我が母は、親しくしてきた年上のAさんが1人でも元気で暮らしているのだから、私ももっと頑張らねばね、と常々言ってたけど、けっきょく2年前癌に倒れ先に逝った。
 我としては、その母が長年一番親しく慕い常に頼りにしてきた方なので、同世代最後の一人として常に気にかけていた。山梨へ行くたび向うの野菜やパンなど差し入れて様子を窺っていた。
 我にとっては亡き母代わりに、彼女のことを慕い常に気にかけて来たつもりでいたのだ。

 先日も好物だと言ってくれたパンとリンゴなど持って伺おうとしたのだけれど、ちょうど月末はショートステイに行ったらしく不在で、ようやく一昨日の夜行ってみた。
 室内に灯りはついてるのに何回チャイムを鳴らしても鍵は開かず出てこないので、仕方なく家の裏に回り台所のドアが鍵かかってなかったのでそこから入った。
 彼女は椅子に座りうつらうつらしていた。で、中に上がり、山梨のおみやげを渡したが、積年の古家なので、いったん開けたドアが戸口が歪んでしまってなかなかどうにも閉まらない。
 暖かい晩だったので、とりあえず外からガラクタ立てかけて開かないようにしたけど、どうにも開いてしまうようで、いったん家に戻ったら当人から電話でドアが閉まらなくて困る、と苦情があり、もう一度ロープを持って行き、室内からドアノブを流しの足にロープで引っ掛けて引っ張り何とか外に開かないよう応急処置した。
 それでウチの知り合いで我が家も建ててくれた大工カワムラさんに昨日の午前中電話して、Aさん宅の台所のドアが枠自体が歪んでいるから閉まらくなったので、できるだけ早く直してくれるよう依頼した。

 耳も遠い年寄りなので電話だとそのことを伝えにくいかと、午後出かけたついでに直接お宅に寄って、月曜には大工さんが修理に来るからと当人に話した。
 そのときもヘルパーをはじめ彼女の友人たちがちょうど何人か来ていて、変わらず元気そうであった。眼も良く見えず耳も遠いが、頭はしっかりしていて俳句の集まりを一人暮らしの自宅で続けていたりと百歳近いお年でも仲間たちに囲まれ慕われ支えられてお元気だったので間違いなく百歳は迎えられると誰もが思っていた。
 そう、気になっていたのは、我が開けたことで閉まらなくなってしまった台所のドアであり、暖冬とはいえ早く隙間風が入らぬよう処置しないと心配だと何か不安な気持ちがしていた。

 そしたら夕方電話で、母の知人の方から連絡くれと留守電があり、たぶんAさん宅に関係してのことだろうと予感はしたが、かけたらAさんが今朝がた急死したという知らせであった。まさに耳を疑った。そして悔いた。
 昨日の今日である。確かにいつ死んでもおかしくない高齢だったわけだけれど。

 今頃は、我が母と二人で、いやかつての仲間たち皆で、あの世で楽しく語り合っていることかと思う。
 そして今、我に残されたのは実の父だけとなったわけで、まさに彼もいつ死んでもおかしくない年齢なのだから、慈しみ大事にして向き合わねばと今さらながらAさんの突然の死、お別れを受けて思う。
 何歳であろうと関係ない。死は常に突然やってくる。そして全てが終わり色を失う。

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