原発推進、住民以外は全部グル2011年07月30日 21時17分46秒

★一つのほころびをきっかけに全てがあからさまになっていく。

 故山本夏彦翁の名言に「世はいかさま」という言葉があったが、まったくこの世はいかさまで出来ていると嘆息した。

 最近よく気がつくことだが、かねてより内在していた「問題」は、どんなにうまく隠せたつもりでもある一つのきっかけを境に一気に表に出てもはや隠すことも取り繕うことも不可能となっていく。そしてそれは常に不幸な事故がきっかけとなるようだ。

 原発推進のためのやらせメールも含めた嘘と欺瞞に満ちた電力会社らの一連の不祥事は不幸なことにあの3.11の大地震と津波襲来による事故をきっかけとして「安全神話」は根拠のないことを露呈して以来日々留まることはない。
 先日、原子力を本来は監視、規制する側のはずの保安院という組織自体が実は推進する側として関係者にやらせを要請していたという事実が明らかになったばかりなのに、先ほど佐賀県知事までもが、産業界からの要請として県民説明会では、再稼動容認の意見を増やせと関係者に指示する発言をしていたことが明らかになった。※県知事とはまず県民の安全と暮らし、生命を守るのが仕事のはずなのに、どうやらこの知事は県民より産業界の顔色を伺うことしか頭にないようだ。

 三位一体という言葉は正しくはないが、国も行政である県、市町村ら地元自治体も電力会社と計らい相談し、まず原発推進ありきで団結し、マスコミも用いてあらゆるどんな手段を用いても住民をいかに言いくるめるかグルになって騙すか積年腐心してきた構図がいよいよはっきりしてきた。しかしそんなことは実は以前から反対派の人たちには見えていた事実であり、今ではそうした声なき声は、巨大な権力の前に踏みにじられてきただけなのだ。

 この国では、ダムにせよ不要な高速道路にせよ、国や県、行政が一度決めてしまえば、あとはいくら自然破壊だと反対する住民が声を上げても環境アセスメントでも問題なしと御用学者がお墨付きを与えてまず100パーセント実現してきた。
 元々安全性に大きく疑問ある原発も地域振興に非常に役立つからと大量の金をまず地元にばら撒いて、首長たちを味方につけていかにウマミがあるか理解させて反対する住民を押さえつけてきた。そしてそのためには身内を動員して賛成派を増やすなど偽装工作までありとあらゆるヤラセの手段を選ばなかった。それは国も行政も電力会社も一体となった世論誘導であり、ほんとうは極めて危険な原発という大事故の火種を、電力の安定供給のためという国策で、産行官一体となってやみくもになって過疎の地方に押し付けてきたのだ。

 しかしもはやそうした国家規模のいかさまと癒着の構造が白日の下に明らかになった今、誰だって原発は安全でこの国に絶対必要だと騙される者などいない。この地震の巣の上に乗っている狭い国土に52基も原発が存在することは狂気の沙汰であろう。いくら万全の耐震工事や大津波に備えて巨大防波堤を築いたとしても絶対的安全は誰も保障できやしない。
 原発事故とはいったん起こってしまえばもはや人間の手に負えない。終息まで何十年もかかる。そんな怖いとてつもなく危険なものをこの狭い国土に作ること自体が誤りであった。

 そしていかさまは隣の国、中国でも同じことであり、先の列車事故をきっかけにあからさまになった隠蔽体質、人命軽視主義は、かねてより押さえつけられていた人民の怒りを爆発させた。かの国の民ももはや国家に騙され続けることはないし、政府を信じることもできないであろう。

 一度起きたほころびはもはや為政者がどんなに取り繕っても手遅れなのである。
 それが歴史の進歩と発展ならばマルクスは正しかった。