続・有名と無名の間、もしくはメジャーかマイナーか。2012年01月21日 15時51分33秒

★ヒットした曲の有無が世間の認識であってはならないはずなのだが・・・

 外は一日冷たい雨がしとしとと降り続いている。さすがに寒い。仕方なく今日は一日下の台所では薪ストーブを炊いている。といってもこのストーブでは大して暖かくなるわけでもなく、鉄板の上にヤカンをいくつも乗せてシュンシュンと蒸気で何となく湿り気で部屋を温めている。何にせよ家の中に直火があることはそれだけで気分は違う。

 さて、昨日の続き。
 ウチは東京新聞なので、20日朝刊の三面記事の下に、コメディアンで前の喜劇人協会の会長だった橋達也氏と並んで名前の横に黒線が引かれて布谷 文夫氏(ぬのや・ふみお=ロック歌手)とある。以下その記事を転載すると
 15日、脳出血のため死去、64歳。北海道出身。葬儀・告別式は近親者らで済ませた。
 日本のロック界の草分け的存在として60年代後半から活躍した。代表曲に「ナイアガラ音頭」「悲しき夏バテ」など。 と報じられている。

 まあ、そんな歳だとだいたい思っていたしまだ死ぬには随分若いが、団塊の世代ではこのぐらいで亡くなる方もかなりいるので驚きはしなかった。ただ、ジョー山中クラスならこうして新聞記事になるが、布谷氏を貶める気持ちはさらさらないが果たしてどれだけの人がこの記事を見て、ああ、あの人ねと気がつくのだろうかと案ずる。正直、彼を知る者はかなりキャリアある音楽通であろう。

 一応、ネットのヤフーとかのトップページのニュース欄を当ったが確認した限り訃報の欄に彼の名前は報じられていない。おそらくネット上では彼の死はさほど話題にもならなかったのではないか。ああいうサイトは若者向けだから仕方ないが。
 他の新聞はどうか知らないが、この訃報を報じた東京新聞の見識に感心せざるえない。きちんと代表曲も載せているし、まあ記事として間違っていない。ただ、ロック黎明期に草分けとして活躍した人は彼以外にも沢山いるし、正直全国紙に載るほど著名な方か判断はわかれるかと思う。アーチストとしても活動期間は短かったのではないか。確か傍らサラリーマンをされていると書いてあった記事もあった。うろ覚えの記憶であるが。

 布谷氏は、自分が知る限り、日本で一番ものすごい声の持ち主で、それは悪声とかそういう表現の以前にとても人間とは思えないまさに獣のようなボーカルで、深く記憶に残っている。一度も生のステージは観たことがないはずだが、ナイアガラ音頭を着物姿に黒縁眼鏡で吠えまくる姿は何かのビデオクリップで見たのか本当に仰天した。

 元々はDEWというブルースロックバンドのボーカルで、71年の幻野祭にも出ていたかと思う。ならば60年代から活躍していたという記事も正しい。確かそのバンドは、はっぴいえんどの弟分のようなバンドだそうで、それはジャックスと休みの国のような関係にあったのではないかと推察するが、そうした流れで、大瀧詠一氏とも親しく、ナイアガラレーベルで再登場したのだろう。失礼だがその扱いはイロモノ、キワモノ的に当時は思えたことを告白せざるえない。

 自分が中高生の頃、フォークおたくの仲間では、三大名ギタリストがいるならば、日本のフォークロックの三大悪声、三大美声は誰かという話で話題になった。そして間違いなく、悪声の一人として、忌野清志郎と並んで布谷氏の名前が上がった。「あのナイアガラのスゴイ声の人」と。もう一人は今思い出せないが、あの清志郎だって布谷さんの前では美声に思えてしまうほどの破壊的悪声であった。美声のほうもついでにあげておくと、井上陽水、小掠佳、長谷川きよしであったかと思う。そこに岡林を入れても良い。

 布谷氏のうたは歌うとか以前にまさに吠える、がなり立てるとしか表現のしようがなく、何を歌っているのかすら定かではない。これが人間の声かと疑うほど一度聴けば生涯忘れることはできないほどスゴイ声であった。確か、郡山でのワンステップにも出ていたのではないか。ただ、こちらもずっと忘れていて、近年は何か音楽活動されていたのか寡聞にして知らないが、久々に彼の名前を見たのが新聞の訃報欄であったというわけだ。

 そんなスゴイ声のボーカリストが亡くなった。ある意味、全国紙にロック歌手としての肩書きで訃報が載ったことは彼は決して無名ではなかったということの証であろう。ご冥福を祈る。
 有名と無名、あるいはメジャーとマイナーということについて布谷氏の訃報はいろいろ考えさせられた。ヒット曲を持たないミュージシャンでも新聞の種にはなる。勝手な憶測だが、この記事を載せた記者は絶対彼のボーカルは聴いことがあり記憶に残っていたに違いない。

ヒゴ・シンイチのライブのお知らせ。2012年01月21日 23時32分19秒

★増坊今お奨めのシンガー、ヒゴさんが本格起動する!

 当ブログをお読み頂ければ、このところフォークシンガーのヒゴさんという名前がよく出てくる。ウチ無頼庵にもちょくちょく来て唄ってもらっているし、ともかくこのところあちこち良く出会う。が、正直告白すると、彼はそもそも友達なのか、親しい関係なのか自分ではよくわからない。たぶん向こうも同じ気持ちであろう。

 知っている人はお分かりの通り、何しろ寡黙な人で、ほとんど個人的にゆっくり話したこともない。どこの人で、何をしているのか名前も歳も定かではない。ただ、ともかく誰のライブでも行けばよく会うので、いつしかお互いに認識するようになり、ライブの後一緒に帰ったり呑むようになった。そしてウチにも来てもらい、唄ってもらうようにもなった。彼のうたは耳の肥えたウチの観客にも好評であった。

 考えてみれば人の縁、人間関係とは不思議である。親しくなりたいとか会いたい、会えたらいいなあと願ってもなかなか会えないことばかりだし、こちらが連絡をじっと待っていても連絡とれない人も多い。ところが、ヒゴさんとのように、意図しないのにまるで誰かが糸を引いて会わせてしまうのかと思えるほどどこでも音楽のある場所に行けばほぼ必ず彼と出会う。まさに神の計らい、見えざる手に導かれた出会いであった。自分にはよくこうした出会いが少なからずある。音楽の神様のおかげかと思う。女性とは結び付けてくれる結婚の神様は存在していないらしいが。

 そんなヒゴさんが今度吉祥寺のブロンというスナックと西荻のみ亭で本格的ライブを開催する。のみ亭のほうは日時知らないが、まずは先に今月28日土曜にスナック・ブロンで初のソロライブがある。増坊も宣伝チラシとか今作って観客が増えるよう応援している。実は増坊は彼のファンなのである。人間はよくわからないのだが、彼の音楽はなかなか面白い。そして素晴らしい楽曲がある。若いのに他に類のないことをやっている。これも出会いでありその流れならば応援していくしかないではないか。

 ブロンは、吉祥寺南口、井の頭公園へ行く小道にある焼鳥いせや公園店のナナメ向かいのビルの地下です。開演時間は夜の7時半頃ではないかと。
 ★詳しいことは明日のみ亭で彼と会うので、わかりしだい報告します。ぜひ沢山の方に来てほしいと彼は?申してます。いや、よくわからないけれど、たぶんきっと。

■追記:西荻のみ亭でも2月12日日曜に、7時半開始で投げ銭で彼のライブがあります。そちらも宜しくお越し下さい。