都議選の結果を受けて参院選に思うことども2013年06月24日 22時48分14秒

★マジにこの夏の参院選でこの国の未来が決まる。

 都議選は予想通りの自公の大勝利、圧勝に終わった。二党とも立てた候補者全員が当選するというまさに前代未聞の快挙である。
 この完勝は投票率が低かったことも大きく影響はしているが、どの政党も前回より得票率も投票総数も減らしているのに対し自民党だけはこの抵投票率の中でも唯一投票数も増やしている。完全に復調、支持回復したとみて良いだろう。

 そして反面、前回の覇者、民主党が大敗し議席を半減以下に減らし、前都知事慎太郎率いる台風の目となるはずの維新の会は、改選議席3も守れぬ敗北を喫した。一地方選挙とはいえ、参院選の前哨戦と位置づけられていた今回の東京都議選、この結果をどうみるか。

 大まかなところだけ見れば、このところの景気回復の予兆を受け安倍政権半年間の政権運営が信任され、民主党は昨年暮れの総選挙以来今に至っても支持率回復も党勢回復もできていないということ。そして一時脚光を浴び「次の総理」とまでマスコミは持ち上げた橋下氏共同代表の維新の会の勢いは当人の失言と暴走老人・慎太郎のご乱心で失速し党解体の危機にあることが露呈したということだ。

 そしてこの結果がもう投票日まで一か月を切った今夏の参院選に大きく影響するとするならば、参院選も自公の大勝、衆参で常に与党と野党の議席が逆転していた「ねじれ国会」もようやく解消されるということになる。
 それを「安定は希望です、政治の安定こそが経済はもちろん、この国の生活のすべてを強くする道~」(公明党のポスターから)と良いことととらえるべきだろうか。
 じっさいのところ多くの国民は今の好景気感を受けて自民党安倍政権の経済政策=アベノミクスを評価し期待していることは間違いない。未だ景気回復の実感はないという人々がほとんどであるのに関わらず。

 しかし衆院も参院も自公が大勢を占める巨大与党誕生となるとその先に何が待っているのか、何が起こるのかを考えなくてはならない。政治は安定する。それは異論、反対論があったとしても数の力、多数決で押し切ってしまえばモノゴトはどんなことであろうとも次々決まっていく。決められない政治はついに終わる。そして憲法96条がまず改正され、憲法は改変しやすくなっていく。そして原発も国民の多くが今も再稼働には慎重論をとっているのに関係なく次々と再稼働となっていく。原発ゼロどころか新規の原発建設も再開となる。何故なら世界中に原発を大いに輸出していくためにも国内で積極的に稼働させて世界で一番安全な原発を作り依存しているという「原発大国日本」を内外に見せつけなくてはならないからだ。

 そしてその勢いで、今度は我が国も核保有国となっていく。世界で唯一の被爆国が核兵器を持つのである。これはヒロシマ、ナガサキに続く第三の被曝地フクシマを持つこの国が今も原発を作り稼働させ輸出していく欺瞞イカサマと同一のロジックなのである。そこには被害者の痛みと叫び、抗議の声と核廃絶の願いは全く反映されていない。
 改定された憲法では「国防軍」も明記されているから、集団自衛権を活用して積極的に海外へ日本人保護、日本企業保護のために有事に関わらず乗り出していく。そして一たび有事が起これば国家間の戦闘も勃発する。この国はアメリカの子分として戦争がしやすい軍事大国化していく。それは歓迎すべきことだと考えますか。

 今、参院選を前にそんなことまで考える必要はないと思われるかもしれない。しかし、自公を大勝させるということは彼らに今後の日本の未来を丸投げするということなのだ。もうすでに衆院では圧倒的多数を手に入れているのだ。むろん、まずは目先のこと、つまり国民の多くが期待し望んでいる景気と雇用、そして福祉の問題はまず何とかしてほしい。このまま安倍政権が続けば景気も回復して国民一人あたり150万円も実質所得は増えるかもしれない。しかし、その先にある、彼らがやろうと目論んでいることにも目を向けなくてはならない。自民を支持するということはそのまま憲法改定もTPPも原発問題も基地の問題も全てのこの国の将来の大問題を全権委任してしまうことなのである。それは経済成長以前に、この国を破滅へ導く転落へのハンドルを任せることだと断言する。

 それにしても・・・いっときマスコミが持てはやした二大政党制はいったいどこに消えたのだろうか。これでは自公の一党独裁、あまりにも情けない民主党のていたらくである。が、これもすこぶる当然の結果であって、公約を守らず自民党と同じ政治をおこなうならば民主党の存在価値はそもそもないからだ。つまり「第二自民党」であるならば、本家自民党のほうが魅力も人材も行動力もすべてが勝っている。どうせ同じ悪いことをするならば本家の方が実績も手腕も上なのだからかなうわけがない。※ここでいう「悪いこと」というのはマス坊が考える悪いこと=消費税増税やダム建設などの箱もの行政などを指している。都政の場合は築地市場移転賛成など。むろん彼らはそれが「良いこと、正義」だと思ってやってるのは説明するまでもない。

 そのことは維新などの第三極も同じことで、自民と違いのない補完勢力であるならば彼らの存在価値は始めからないのである。だから橋下発言がなくても支持率は低下していた。要するに政治とは対立軸であって、妥協の余地はなく是々非々どころか、all or nothing=ならぬものはならぬのです(和訳)でしかなく、繰り返しになるが、極論すれば自民党と常に対決してきた「何でも反対」共産党しか存在しえない。
 
 その共産党と地域政党・生活者ネットワークが今回の都議選では躍進した。むろんのこと嬉しくなくはない。そもそも都政は民主党も含めたオール与党だったのだから、民主党がどんだけ減ろうと自公が大勢を占めようと実質大きな影響は全くない。ゆえに与党に対しての真の野党、反対政党が伸びたことは大いに歓迎したい。特に共産党は党勢退潮の流れがついに止まったと喜ぶべきであるが、果たしてこの勢いが参院選に続くか深く危惧している。というのはこれもまた低投票率と、民主党の複数擁立による敵失からの「漁夫の利」でしかないからだ。

 まあ、それでも社民党が消滅寸前の今、憲法改悪反対と反原発とTPP反対を願う人たちの受け皿の中核は共産党であることは間違いなく、安倍政権のさらなる暴走を阻止するためにもアベノミクス批判を集めて参院選での躍進を大いに期待している。
 人は常に当座のこと、目先のことしか頭にないし先のことは考えられないし考えたくないものではあるが、今夏の参院選だけは政治の安定や景気、雇用だけでなく憲法改定も含め長期的視野で広く検討してもらいたく願う。自民の暴走は友党公明党には止められない。自公の絶対安定を阻止するためにも他の良識ある野党の奮起を望むのは言うまでもない。