70年目の長崎原爆の日に2015年08月09日 21時21分57秒

★非核三原則を国是とする日本が他国軍支援時は核兵器を輸送するとは   アクセスランキング:127位

 戦後70年とは、広島、長崎へ原爆投下70年でもある。その節目の年の広島市での平和記念式典では、安倍首相は、核兵器は持たず、作らず、持ち込ませずの国是である「非核三原則」をあえて口にしなかった。
 「あえて」と記したのは、奇しくも、同日の朝刊には、5日の安保関連法案の参院特別委員会で、中谷元防衛相が、戦闘中の他国軍支援で行う弾薬輸送において「核兵器の運搬も法文上は排除していない」とする発言が大きく取り上げられていたからだ。
 つまりこの法律が出来たら、他国軍支援という名目においては、非核三原則を堅持しているとする日本は、他国軍、つまるところアメリカ支援のためならその核兵器を輸送してしまうのである。また彼は、核兵器を搭載した戦闘機への給油も「法律上は可能」と述べたという。

 世界で唯一の原子爆弾が投下された国家が国是として、核兵器は作らず、保有せず持ち込まさないと世界に向けて公言しているのに、海外では、核兵器を運搬でき、核兵器搭載中の戦闘機にも給油するのである。それをすれば事実上核兵器の使用に加担、協力していると誰だって理解する。矛盾とか二枚舌という言葉があるが、もしそれをしたら世界中から日本は支離滅裂、狂気の沙汰と糾弾されるであろう。
 これもまた憲法との整合性を無視したこの稀代の悪法の持つ根本的矛盾ある問題点だと誰もが気づく。この法律は全てが憲法違反であり支離滅裂なものでしかない。

 安倍首相はそうしたことが念頭にあったからか、あえて広島の記念式典では非核三原則は発言から抜いたのではないか。つまり憲法九条を変えることなく骨抜きにしようとしているように、この悪法を成立させれば三原則すら国是から取っ払い、近い将来に被爆国日本が核兵器を作って保有し場合によっては使用も選択肢の一つとできるよう変更をめざしている魂胆から外したというのは考えすぎだろうか。

 そして結果として当然のことながら被爆者団体のみならず内外から多くの批判や抗議の声が集まった。
 今日9日の長崎での式典では、抗議を受け仕方なく?しぶしぶと非核三原則は堅持すると彼はスピーチに入れざるえなかった。

 さらに平和宣言の中で、田上長崎市長から「国会では、国安全保障のあり方を決める法案の審議が行われ、日本国憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっている」、日本政府と国会には(法案への)「不安と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し慎重で真摯(しんし)な審議」を求められてしまった。
 会場からはそのとき期せずして大きな拍手が起こった。画面に映し出された首相の顔は見ものだった。もじもじとまさに居心地悪そうでバツが悪い顔をしてた。帰ってから下痢でもしなければと案ずる。