ヒッピーとフーテンと2017年07月31日 22時36分47秒

★慌ただしく過ぎた7月を振り返る

 今日で7月も終わる。今月は実に慌ただしかった。いろんな動きがあった。そして実にたくさんお金も使った。こんな月は我が人生で記憶にない。この先も起こるのだろうか。

 繰り返しになるが、まさか西荻のみ亭の店主、やっちゃんが突然亡くなり、店も閉店となろうとは月頭には予想どころか夢にも思わないでいた。病に苦しみながらも、彼はまだまだずっと生き続けると信じていた。

 それが、来月半ばの店の完全撤収に向けて、我も明後日、また車出して、やっちゃんのアパートに残ってるスチールの本棚など彼の生活品あれこれを運び出す予定でいるのだから、現実の事態は冷徹にちゃくちゃくと動いている。
 彼の死に顔と会えたおかげで、もう今はその死をきちんと受け入れられるし、哀しみや残念、悲哀の気持ちは今も強く大きく心に溜まってはいるけれど、事実、現実として起きた事態はしっかり認識、対応できるようになった。
 ただ今さらながら、片付けを通して彼の生き方と人柄にふれて、ひたすら感心している。本当に立派なきちんとした人だったと今さらながら思う。告白すれば、我は生前の彼とはそんな親しい関係ではなかったのだ。あくまでも店主と客の関係以上にはお互い求めはしなかった。私的なこと、プライベートのことは彼は自ら一言も話してくれなかった。彼はそうしたところの一線は常にきちんとしていた。お客のことを第一に思い、自ら出すぎることは絶対にしなかった。それがまた店の居心地の良さに繋がったと今気づく。

 なのに今、こうして最後の後片付けに関わっていることを思うと人の死が紡ぐ縁というものもあるのだと初めて思い知る。彼の死を問えして多くの出会いと再会があった。遺徳という言葉があるならば、まさにやっちゃんの遺徳だとつくづく思える。
 我は店でライブを頼み込み無理言った恩返しのつもりであったが、今でもまだ彼の恩恵を我は頂いていると思える。ならばこれでは永久に恩は返せない。どうしたらよいのだろう。
 まあ、天国でも彼はのみ亭を続けていると信じるので、近く我ももし行けたらば、天国の彼の店で、この世のその後のこと、皆はどうしているかをサカナに、いつもの濃い焼酎ロックを注文するつもりだ。

 さて、彼の死後、亡き人を知る人たちと話す折に、彼はヒッピーだったという話題をよく耳にした。ヒッピーとは何か今の人はピンと来ないというか、イメージもわかないだろう。
 我も言葉ではヒッピーとは何であるか、その定義をうまく説明できないが、まあ、彼は生涯長髪に髭を伸ばし、服装もライフスタイルも反体制思想も含めて実にヒッピー的な人であったと思う。
 しかし彼とほぼ同世代で嗜好と思考は近しくても我はヒッピーではない。ヒッピーが団塊の世代のそれだとすれば、我々はその世代ではないので(以前、何かの折、団塊の人たちのことが店で話題になり、普段温和な彼がその世代に対してかなり辛辣かつ批判的な言葉を口にしたのを不意に思い出した)、本物のそれとは違うわけだが、我が思うに確かに彼はヒッピー的な人であった。
 
 先に拙ブログで、中央線文化についてアイテムをあれこれ思いつくまま記したが、つまるところのそれは 一言でいえば「ヒッピー的なそれ」であったのだ。
 ならば、今さらだが、ヒッピーとはいったいどういう人たちなのか、何なのか、考えてみたい。似た言葉に「フーテン」もあり、我はすぐ同時に思い浮かぶ。今ではヒッピーもフーテンもこの国では死語であり、そんな人はまずいない。ならばかつてある時代に現れた「流行語」だと理解もできる。
 しかし、ヒッピーは外来語で、今もアメリカや西欧にはいるように思えるのに対し、フーテンは元々「瘋癲」と難しく書く日本語であって、全然出自が異なる。もし今でも使うことや耳にすることがあるとすれば映画「フーテンの寅」シリーズの渥美清演ずるところの主人公であろう。
 しかし、当人がそう名乗っているだけで、じっさいのところの寅さんは、ちっともフーテンではない。彼にはテキヤという職業があり、それがサリーマン的堅気の仕事でないとしても彼はきちんと常にどこかで働いている。失恋しても商売に励んでいる。ならば彼はフーテンではないのである。

 文学に「瘋癲老人」を題した作品があったと思うが、本来の意味とは離れてカタカナの「フーテン」とは、無職無気力の浮浪者的若者像を指し、そうした一群を「フーテン族」としてマスコミが取り上げたことで生まれた流行語なのである。

 では、ヒッピーとフーテンはどこがどう違うのか。長くなりそうなのでこの考明日もう一回書く。

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