古本稼業再考・消えていくのは本だけではない・12012年09月15日 08時41分30秒

★この商売も潮時か

 ネットで古本を商うようになって約10年が経つ。うんと儲かることはなかったし、そもそもが「家のことのかたわらに」家にいて収入が得られる、まあお小遣い稼ぎとして始めたものだから、一応古物商の鑑札もとったがそもそもこれだけをメインに本気本腰でやろうとは考えていなかった。いや、やがてはそういう方向に進むつもりだったと当初は考えていたはずだし古本屋という商売に憧れと尊敬の気持ちもあったはずだ。

 が、先の別ブログでその経緯は綴ったように、いつしか本のことよりも音楽、それも日本のフォークソングというものに強く魅かれるようになってしまい「商売」はましてなおざりとおざなりになってしまった。だから、自店舗での販売も新規出品は休止したままだし、月々本が売れて入って来る額は数万円程度しかなく、まさに「お小遣い稼ぎ」としか言えない状況となってしまっていた。

 ただ、振り返ると自分のやる気如何ではなく、以前は本自体の売値、単価も高く付けられたし出品数とは別に注文も多かった。だから昔はかなり儲かった。こんな楽な商売はないと思えたときもじっさいあった。
 が、近年、特に5~6年ほど前から、アマゾンマーケットプレイスで言えば出品されている本の最低値が1円という「1円本」が次々登場してきたあたりから本の相場自体が値崩れを起こしてもうほとんどの本が出して売れたとしても儲けが出ないので出品不可能となってしまった。

 そこに拍車をかけたのはAmazonから直接販売は送料無料というサービスで、中古の本を例えばウチから買えば、下がったとはいえ本代とは別に250円の送料が別途加算されるのが、Amazonから新品を買えば本代それだけで手に入る。だからもともと単価の安い、高い値は付けられなかった文庫など低価格の本は一切中古では売れなく(出品できなく)なってしまった。

 Amazon側としても、出品者からの売れたときの高い手数料で儲けてもいるわけで、1円本ばかしになってしまうとさすがに儲からない。そこで数年前から一般の現行に流通している本だけではなく、「古本・古書」もそこで扱うリストに載せ始めた。となると、そもそも新刊はない世界なのだから古本屋の出番となる。自店舗サイトでリストや目録を作り載せたとしてもまず誰も見ないし売れないが、アマゾンならば探している人は必ずそこにヒットする。そんなで、自分としてはホッと一息つくような気持ちで手元の「古本」それも専門書中心に点数は少なくとも高値で出して糊口を凌いでいた。

 だから気持ちとしては、今はまだ点数が少ないから小遣い程度しかの収入にならないが、もっと本腰を入れて、まさに文字通り「本に腰を入れて」沢山出品すればかなり安定した儲けとなると考えていた。
 しかし近年そうした古書自体も出しても反応が少なくよってすぐにも値も下げざるえなく、売れたとしても儲けは少なくなってきている。今さらだが、街の本屋がそうであるように、本自体、本そのものが売れない時代なのだと実感している。本が売れないということはとりもなおさず本が読まれない、読む人が減ったということだ。敷衍すれば、それは本だけに限らない。音楽、CDも売れないし、映画だって同じこと。世界はどうか知らないが、この国は文化全般が衰退に向かっているのだと考える。

 これからいったいどうすべきか。またその原因はどこにあるのか。簡単に答えも対策も出ないけれど、まず自分の稼業についてはそろそろ潮時かと考えている。膨大な在庫を抱えている身としてはそれを処分することもすぐにはかなわない。が、何らかの対策をとらねば身動きとれなくなるだけだ。自分の人生もそう先があるわけでなし。そろそろ不良在庫の処分、まずは棚卸しとしてタダ同然でも自店舗サイトに並べて求める人に持っていってもらおうと考えている。

 おかしな話だが、今時になって自分はようやく本にしかと向き合うときが来たようだ。
                    ※この稿何回か続く予定。